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Vermilion~ヴァンパイア+インキュバスでチートな少年(仮)~  作者: にゃさぎ
第一章 美の街と、『双子魔術師』と、白虎の少女
5/21

―5/ギルド―

 

「ニコ、貴族は絶対なの」


 何を思ったのかチェムが両手で制し、落ち着かせる。


「あ、あの、この国の貴族は国王でも裁ききれないくらいの強力な力があるんです、だから万が一事件を起こすと貴族に有利なように裁かれるんですよ?」


 リュミエールも必死に宥めるかのようにぽんぽん、と肩を優しく叩く。


 普段二人はフードをかぶって行動しているため顔は見えないのだが、どちらも中々の美形で、しかも顔つきがよく似ていた。ネメアという名前が同じだったこともあるので、この二人はやはり血がつながっているように見えるのだが果たして。


 それよりも気になったのはさっきの白い耳と尻尾がついた女のスキルである。この際鍛えれるものは鍛えようと賢者の目をフル活用してスキルを見ていたのだが、その女のスキルは他のスキルと何かが違った。




≪雷神:Lv3≫

 聖なる雷を操ることができる。一部の亜人のみが使える特殊なスキル。




「違う…僕は確かに見えた」


「見えたっていうことは何かの目の使いなのですか?」


 リュミエール曰く、人族の一部でも先天的ないし後天的に何かが見えるスキルを保有していることがあるらしく、それを目の使いというらしい。例えば≪心眼≫は数秒先の攻撃が見えることがあったり、≪商人の目≫はアイテムの効果が分かったりなど、目に関するスキルは様々なステータスが分かる優れたスキルだと言う。


「賢者の目、かな?まだ詳しくは分からないけど」


「…やっぱり只者じゃない」


 賢者の目、といった瞬間にチェムが反応したのかぽつりと呟き、警戒態勢を取る。


 慌ててリュミエールが止めようとしたところでどうやら最初の目的地であるギルドについたようだ。




「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


 受付にいた気さくな少女がにこりと挨拶をする。


 周りにいた何人かの人たちも僕…ではなくその前にいるチェムとリュミエールに注目しているようだ。


「あ、『双子魔術師』さんですか、本日はどのようなご要件でしょうか?」


 流石に受付も少々慌ただしくなったがそんな様子もチェムは気にしている素振りを見せずに要件を言う。というよりは双子だったんだこの二人。


「この子を冒険者ギルドに加盟してほしいの」


「あ、あと何かここで変わったこととかあったら言ってくださいっ」


 リュミエールも少々緊張している様子。僕はチェムの後ろでじっと手続きを見ていた。


「わかりました、先に銅貨三枚をいただけますでしょうか」


 …って、お金いるの!?


「手数料の関係」





 ここでの通貨関係はそれぞれ鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の五つがあり、銅貨一枚の単価は大凡こちら側でいう千円のようだ。


 銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚、金貨十枚で白金貨一枚というレートを考えると、白金貨1枚の価値は大体百万円ということになるだろう。


 また、鉄貨はおよそ百円くらいの価値と考え、チップとして日常で利用されていることが多いらしい。


 そう考えると銅貨三枚は少々高いような気がするのだが、これは半端な気持ちでギルドに入ってほしくはないという面もあるのだろう。


「私が払うから心配しないで、少しだけだけど、私の弟子だから」


 チェムが初めて笑みを漏らしたところで、ギルド加盟の書類を手渡された。




 ギルドの種類は、代表して戦士ギルド、魔術師ギルド、冒険者ギルド、生産ギルド、盗賊ギルド、裏ギルドとも呼ばれる暗殺ギルドに分かれるが、それ以外にも結構な種類があり、更に細分化している部分もあるため広義の意味でギルド全般をさす場合はそれこそ無数に存在する。


 まず、戦士ギルドは武術や剣術など、素手や各武器を使って戦う者たちで集められたギルドで、ここを加入するとギルド内での訓練や武闘大会の参加の許可など、主に王宮を守る騎士や兵士たちが多く入っている。


 次に魔術師ギルド。これはその名の通り魔法を習う人たちが集うギルドで、『双子魔術師』の異名を持つチェムとリュミエールも当然魔術師ギルドに所属している。加入すると戦士ギルド同様ギルド内の訓練や魔法大会の参加の許可が出る。


 生産ギルドは回復薬から武具、食料など様々なアイテムを生産するギルドで、ここに加入しないと露店や宿泊施設、飲食店で物を売れないという、商人にとってはとても大事なギルドだ。また、戦士ギルドや魔術師ギルドなどと協定して護衛を設けたりできるなどの利点もある。


 盗賊ギルドと暗殺ギルドを総称して「アンダーグラウンドギルド」又は「AGG」と呼ばれたりするが、これはそのギルドの特色にあるだろう。盗賊ギルドは主に荒くれ者たちが集い、金品を盗んだり裏での売買を取り組むという正直あまり関わりたくないギルドだ。


 暗殺ギルドの役割は大きく分かれて三つある。一つ目は諜報活動と情報提供、二つ目は保護対象になった人物の護衛、そして三つ目は個人若しくは集団で「ブラックリスト」に乗った異端者を裏から配下ごと抹殺するギルドだ。この「ブラックリスト」は事前に国王や貴族、更には国民を巻き込んで明らかに異端なものを探し、厳正な審査の上このリストに乗っかる犯罪者のリストである。


 重要なことはここに加入することによって「ビブリア」にある無罪放免の条件の一つ、相手側が明らかにわかる違法行為をしたために抹殺指令が裏ギルドで出た時の殺人によって守られることだろう。その他の理由も込みで各ギルドの一部に入っている人もそれなりにはいる。


 最後に今僕が入ることになる冒険者ギルドは、生産ギルド以外のギルド全般(ここでは代表するギルドを指す)の加入に必要であり、加入することで掲示板から張られる様々な依頼を受け、成功すれば報酬を受け取ることができる。


 因みに、冒険者ギルド以外にも各ギルドの規約に反しない限り掛け持ちも可能で、例えば魔法士は魔術師ギルドと戦士ギルド両方に加盟している人の総称であったり、これは後で分かったのだがチェムは暗殺ギルドの掛け持ちをしている、という例も見られたりする。


「はい、これで貴方は冒険者ギルドに加盟しましたよ」


 先ほどの受付の少女がにこり、と微笑んでカードと「貴方のスキル一覧」と書かれた冊子を渡す。僕はそれを受け取ると、足早に掲示板の方へ向かっていった。


 因みにチェムは裏ギルドに少し用事があるといってここから出て行き、リュミエールが僕を監視する役になっている。


 というのも、「リュミエールさん、えっと、僕は一人でも多分できるから監視しなくてもいいよ?」と言っても「駄目ですっ!チェムの弟子さんとしてあたしがちゃんと面倒見るんです!」と一点張りで言われ、結局押されてしまったのである。桜花の事もあるのだが、何故こんなにも女に対する押しに弱いのか。




 さて、世の中どこの世界に入ったとしても新人いびりというのは止まない。ランクというわけ隔たれた概念が存在するのならば尚の事、である。


 大まかなランクは高い順番でS、A、B、C、D、E、Fの7つに分かれ、その中で更に1~10の区分訳がされる。これは数字が小さいほどランクは高くなるため、僕は冒険者ギルドに入ったばかりなゆえにランクは最低の「F10」に所属する。


 そして「部下(弱い人)が上司(強い人)の命令に従うのは当たり前」という風潮がどこにでもあり、それに逆らう人は新人いびりから途端にいじめに変わる。というわけで今現在、僕は掲示板を背に二人の大男に睨まれているのである。


「よう新人、このギルドに入ったんなら俺様の命令にしたがってもらうぜ」


「そうだよ、新人は黙って俺らのいうことを聞いていればいいんだ」


 一人は大型の両手剣使い、一人はハルバード使いのようだ、慌ててリュミエールが止めに入ろうとするが、


「おい嬢ちゃんいい身体してんな」


 と逆に絡まれる羽目になる。


「やれやれ、そこの女から離れるっていう選択肢はないのですか」


 流石にチェムと一緒にいていろいろ説明された少女だ、気持ち悪い男二人が絡んでくると腹が立ってしょうがない。大男二人は尚口々に挑発しようとする。


「いいぜ、俺らに勝てるならなぁ?」


「ただこのギルドの規定であと一人いねぇと無駄だが、ヒャヒャヒャ!」






「それならこの魔術師さんも含めて、僕の相手になりましょうか」






 僕の指さした方向を見て、一瞬全員が固まったようだ。


ここにきてようやくテンプレ展開が発生しますよ!


※訂正コーナー

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