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Vermilion~ヴァンパイア+インキュバスでチートな少年(仮)~  作者: にゃさぎ
第一章 美の街と、『双子魔術師』と、白虎の少女
13/21

―13/異変―



「ふぁ……」


時刻は早朝、六時を回っている。空が一面曇っているのか、日の光は射さず、暗く陰鬱な世界を表現しているかのようだ。


「魔力のコントロールねぇ、いまいちつかめない」


あの事件からギルドに帰還後、ブレーダーズのゴードンから剣の裁き方と魔力のコントロールの仕方を同時に習った。スパルタ教育と心眼のおかげで一日でかなり剣筋を見極めるようにはなったが、そこからどう捌いて反撃するかという思考と、魔力のコントロールに関してまだまだ甘い部分がある。因みに僕の攻撃のメインは剣の二刀流。あくまでも鎖短剣は狭いところでトリッキーに攻撃する手段としてサブで使うことにした。


因みに昨日までに得たスキルはまだ数えられる程度なのだが、ここから先は寄生の能力で更に増えていくことになるだろう。そして一定数のスキルを保有するようになったからか、スキルブックが自動でソートしてくれるようになった。更に必要な情報に関してはそのスキルを言うと説明文が展開されるという機能までついている。なんかもう本じゃない気がしてきたがそこは突っ込んだら負けだと思う。


―武術―


≪魔剣術:Lv1≫

≪二刀流:Lv4≫


―魔法―


≪光魔法:Lv8≫

≪風魔法:Lv27≫

≪回復魔法:Lv6≫

≪闇魔法:Lv4≫

≪火魔法:Lv2≫

≪爆発魔法:Lv2≫


―目―


≪賢者の目:Lv11≫

≪心眼:Lv4≫

相手の次の攻撃が見える時がある。レベルが上がればより鮮明に、より確実に見えやすくなる。


―スキル―


≪隠蔽:Lv1≫


―アビリティ―


≪魔術の心得:Lv3≫

使っている魔法の威力(効果)と範囲が上昇する。

≪合成魔法活用術:Lv1≫(NEW!)

合成魔法を使うときの威力が上昇する。

≪無詠唱効果上昇:Lv1≫(NEW!)

無詠唱魔法実行時の消費MPが減少し、詠唱速度が速くなる。


―その他―


≪寄生:Lv3 CT19≫


新たに合成魔法活用術と無詠唱効果上昇も得、魔法も使いやすくはなったが、今あるだけの魔法を使いこなせるかどうかも少し厄介なところ、これ以上魔法が増えたらかなり偏りがでそうな気がするのだが。


それに、魔力のコントロールに関する説明をぱらぱらと見ていると、どうやらできるとできないとではその魔力の発揮率が全然違う。今の僕で精々30%ほど、ランクD上位の魔法使いと同じレベルの魔力しか発揮できてない。


さて、今日は生憎身近で特訓できる人はいない。全員が暗殺計画実行において各自調査や自らの修行をしているから、というのも理由の一つだが、そもそも『双子魔術師』や『ブレーダーズ』がここに来た理由は別のクエストを実行するためなのだ。




いつも通りの朝食を食べ、冒険者ギルドに足を運ぶ。掲示板で簡単にできるようなクエストをざっと確認していた。


低ランク向けだと、雑草除去や瓦礫の処分などボランティア活動みたいなことも多くあるのだが、その中でとある討伐依頼を見つける。


ビックボア討伐:ランクE

内容

森の中に出てくるビックボアが近頃畑に出始めてきている。

このままでは被害が相当大きくなる。駆除を要請したい。


ビックボア、か。ランクE相当の敵ならば、初めて相手するには丁度いい相手かも知れない。


早速受付嬢に依頼をしてみる。


「あの、このクエストを受けたいのですが」


「ビックボアの討伐?あら、あなたみたいな強い人が受けてくれるととてもありがたいわ!森にいるビックボアを最低10匹狩ればクエスト成功、期限は三日後までよ。あと、ビックボアの切り肉は切り分けたら売るわよ♪」


「切り肉って……解体とかするんですか?」


「ふふ、普通に倒すと部位を落としてくれるの、不思議だよねー?」


都合のいいゲームの世界の理論を引っ張ってきましたか。


「まあね……と、時間が惜しい。行ってきます」


「行ってらっしゃい、健闘を祈るわ!」


初めてのクエストに思わず浮き足立つ僕だが、早々簡単には討伐が成功しないのであった。




いない。


森の中に入ってから一時間程経過するが、大きい猪の様なモンスターが見当たる気配はない。


それどころか、草原にはある程度モンスターはいるが森の中はモンスターの気配すらなく、不気味な空気が漂っている。


猪と思わしきモンスターも現れるが、僕のことなどわき目に振らずに何処かに去って行った。


「おかしい……」


運よく僕の方向に向かって逃げてきた猪を風魔法で作られた球で仕留める。


今更だが、あっさりとそれは切り肉に変わってしまった。それだけ、強いということなのだろうか?


その後も探索を続けるが、猪を始めモンスターは何故か逃げに徹しているばかり。更に一時間ほど経過したところで倒せたのはその一匹のみだった。


「……みんな何かに逃げているけど……その何かがわからない」


探索の過程で誰も使っていない古ぼけた民家を見つけ、そこを拠点として活動している。今もその中に入って軽く休憩を取っているところだ。


この民家からは確かに何も違和感はない。だが、森全体が何か嫌な気配に包まれている。時々遠くから聞こえる声質様々な悲痛な叫びと、常に同じような低いうなり声も聞こえる。


森のバランス状況がどうなっているのかは分からないが、明らかにビックボアの狩りすぎで減ったわけではない。もっと、何かによって崩れて、あぶれて、逃げていく感覚だ。


今も、かなり早くばたつくような足音が聞こえてくる。どんどん、大きく。朽ちて壊れそうな窓の遠く……猪がきた、しかも群れだ!


好転とも言えるチャンスに思わず気分が昂揚する。風魔法を足に纏わせ、そのまま入ったドアに向かって飛び出せば、そのまま逃げる方向に仁王立ちをする。この走っていく群れを、実態のない魔法たちでどう止めようか。結論はとても分かりやすいものだった。


「すぅ……はぁっ!」


息を大きく吸い込むと同時に、魔力を自分から集めるようなイメージを作り、そして、僕に向けて物凄い風圧の追い風を吹かせる。当然猪の群れに向かってはそれが向かい風となるわけで。


そうしてぎりぎりまでその場にいた僕は、地面を蹴って止まる猪の群れに向かって……吹っ飛ぶ。背負うように差してあった剣二つを両手に持ち、光魔法の属性を付与すれば、それは綺麗な線を描いて猪を切っていく刃と化す。


この僅かな時間で、猪の群れは切り肉にと変化を遂げることになる。ノルマ数10匹は達成。後はギルドに戻るのみ……なんて思った時期が僕にもありました。




明らかに大きなそれは、低く唸るような声を以って、僕を威嚇してきた。

※訂正コーナー

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