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プロローグ
公孫讃の【忘れ形見】こと、公孫瑛。字は玄圭。後に、かの者も【白馬長史(白馬将軍)】と呼ばれることになる。
時は中国後漢時代。公孫讃。字は伯珪。後漢末期の動乱の中で、天下万民の為、果敢にも【天下に最も近い男】袁紹本初に挑んだ勇将である。この戦いを後に「易京の戦い」と人は呼んだ。
彼は白馬義従という、白の騎馬で組織された精鋭部隊を率い、かの袁紹を散々に苦しめたという。
劉備玄徳が一目を置き、袁紹に恐怖を植えつけた男、公孫讃伯珪――
かの者は自害の間際、不思議な程に落ち着いていた。――「これで命脈は保たれる」と。
父と運命を共にすることができず、生き残ってしまった、歴史に取り残された【忘れ形見】。
そんな、存在するはずのない公孫讃の【忘れ形見】が転戦し、勇躍した――もう一つの三国志が今。
幕を開ける。
しばらくはシリアス路線でいきます。史実と展開が異なりますのでご注意を。