え?何で自分は良くて、私はダメなの?
名前を借りました
フィクションです
私メティスとの約束をキャンセルして、病弱な幼馴染アマルテアの見舞いに行く婚約者アドラステア。
なら、私も、病弱な幼馴染のお見舞いに行こっと♪
きらびやかな王宮の夜会。
大広間で、婚約者アドラステアが叫んだ。
隣にはちゃっかりとアマルテアがいる。
「この浮気者め!」
自己紹介かな?
「自分の事を、理解しているようでなによりです」
私は言った。
「は?」
「幼馴染の見舞いに行ったら、浮気なのでしょう?ご自分の事では?」
「私は純粋に見舞いに行っているのだ。お前とは違う!」
純粋じゃない見舞いとは?
「私は、貴方との約束を破ってまで見舞いに行ってはいませんよ。貴方が見舞いに行ったから、私も見舞いに行ったまで。どこが悪いんですか?」
「アマルテアは大切な幼馴染なんだ!」
「私の幼馴染も大切な人です。それに従兄弟ですので、何も問題はありません」
「はぁ?」
「そもそも、見舞いに行った私に文句を言うなら、貴方も見舞いには行かないでくださいね」
「うるさい!」
都合が悪くなると怒鳴るんだから。
「婚約者より、赤の他人の幼馴染の方が大切なのでしょう?それなら婚約解消して、大切な幼馴染を存分に見舞えば良いのです」
「はぁ?大事な契約があるんだぞ!」
おまいう。
「大事な契約をしている我が家と私を蔑ろにし、幼馴染を大切にしている貴方が言うのですか?」
「生意気な!」
言い返せないんだね。正論だから。
「そもそも、幼馴染は何の病気なのですか?」
「し…心臓の病だ」
ほうほう。心臓の病ですか。
気不味そうにするアマルテア。
「夜会で元気に踊れるのに?」
「は?」
「昨日の夜会で踊ってましたよね貴方達」
私、黙って見てました。
そして、今、周りにいる貴族達も見ていました。
同じ招待客なので。
挙句の果てに、今日もです。
「先程も踊っていましたよね」
「…っ!」
「私の従兄弟も心臓を患っているのですが、ダンスなんて踊ったら、発作で死んでしまいますよ」
なのに、普通に踊ってましたよね。アマルテアは。
「3回も踊ったのでしょう?」
「…」
目が泳いでいますよ2人共。
「しかも、婚約者同伴で招待された夜会で」
おかしいなぁ…婚約者って誰だったかなぁ?
「一体どんな教育を受けたのですか?」
「わ、私は良いのだ!お前が男の見舞いに行くのが悪いのだ!」
何ですと?
「え?何で自分は良くて、私はダメなのですか?」
「は?」
「貴方が赤の他人の女の見舞いに行って許されるなら、私が従兄弟の見舞いに行っても許されるでしょう」
「お前は私の婚約者なのだぞ!婚約者らしくしろ!」
おまいう再び。
「婚約者の私との約束を、幼馴染の見舞いに行くからとキャンセルした人が、婚約者らしいのですか?」
「私は良いんだ!」
「どうして私は病人の見舞いに行ってはいけないんですか?」
「お前は私の婚約者だからだ!」
「何故貴方は良いのですか?」
「病人の見舞いだからだ!」
めちゃくちゃだなぁ…
「夜会でダンスを踊れる病人ですか」
私は肩を竦めた。
「うるさい!私の言う事を聞け!聞けないなら婚約破棄だ!」
あ、言い負けた人のセリフだ。
そして、待ちに待った婚約破棄がキター!!
「ありがとうございます!婚約破棄しましょう!貴方が言い出したんです!すぐにしましょう!」
私は、さっさと邸に帰り、両親に婚約破棄と言われたと報告した。
両親は、すぐにアドラステアの邸に行き、婚約破棄の手続きをした。まだ、アドラステアは帰っていないらしい。
浮気相手の病弱な幼馴染とお幸せに。
「テーベ兄様と結婚して、イオ兄様の領地経営を手伝うわ!」
テーベ兄様は、私が見舞いに行った幼馴染で従兄弟。イオ兄様は、テーベ兄様の兄。
「良いのか?俺は何もできないぞ」
テーベ兄様が困ったように言った。
「テーベ兄様と一緒にいたいの。私じゃダメ?」
可愛く見えるように、首を傾げた。
「お前が望むことは、何もできないぞ」
抵抗するテーベ兄様。
「テーベ兄様のそばにいたいの。それが私の望みよ」
「でも…子どもだって望めないぞ」
ごちゃごちゃ言うテーベ兄様に、ハッキリと言った。
「兄様!私と一緒にいたいの?いたくないの?どっち!?」
「…一緒にいたい…」
テーベ兄様は、俯きながら言った。
はい!言質取りました!
「じゃあ、結婚しましょう!」
「…何か…格好つかないな…」
それもそうか。
「じゃあ、兄様から言って」
私は、期待の眼差しで、テーベ兄様を見た。
「…結婚してください」
「はい!」
私とテーベ兄様は結婚して、領地に住み、跡継ぎのイオ兄様と領地の経営を手伝った。
王都より空気が良いのか、テーベ兄様は発作もなく過ごした。
元より、ベッドの上で書類仕事を手伝っていたから、今までと変わらない。
それが、私と一緒にいる事で、相談したり、気分転換したり、良い方に向かっていた。
私は、小さい頃から遊んでもらって、大好きなテーベ兄様に大切にしてもらい、幸せに過ごした。
ちなみに、元婚約者アドラステアと浮気相手アマルテアは、病弱だと嘘の理由で何度も会い、婚約者を蔑ろにした事で、社交界から冷たい目で見られ、社交界から消えていったらしい。
知らんけど。
読んでいただきありがとうございます




