第4話 はじまりの街
■ 街道
土の道は、村よりも広かった。
踏み固められた道の両脇に、低い草が続く。
遠くに見えるのは――
街。
「……あれか」
カゲトが呟く。
「うん」
ステラが軽く答える。
「ミザール」
■ 世界の広さ
近づくにつれて、人が増える。
商人。
旅人。
護衛。
装備も違う。
剣。
槍。
鎧。
カゲトは自然と周囲を見る。
(……強い)
一目で分かる。
動き。
立ち方。
村とは違う。
■ 入門
街門。
石で組まれた壁。
見上げる高さ。
「止まれ」
衛兵が声をかける。
「目的は?」
「冒険者登録」
ステラが答える。
迷いがない。
「……二人か」
視線がカゲトに向く。
一瞬。
測るような目。
「通れ」
門が開く。
■ 街の中
音が変わる。
人の声。
金属音。
呼び込み。
「すごいね」
ステラが軽く言う。
だが。
カゲトはそれどころじゃない。
(多すぎる)
人。
情報。
気配。
処理しきれない。
■ ギルド
大きな建物。
木と石の混合。
扉を開ける。
空気が変わる。
視線。
ざわめき。
「……新人か」
「また来たな」
笑い。
軽い評価。
慣れている者の空気。
■ 受付
「いらっしゃい」
受付の女性が微笑む。
「登録ですか?」
「はい」
ステラが答える。
「ではこちらに」
手続き。
名前。
年齢。
カゲトは淡々と書く。
■ 判定
「では、簡単な確認を行います」
「戦闘経験は?」
「少し」
カゲトが答える。
ステラは何も言わない。
ただ見ている。
■ 確認戦
裏庭。
簡易の訓練場。
「軽くでいい」
職員が言う。
相手は中堅の冒険者。
体格が違う。
(……強い)
構える。
呼吸を整える。
「行くぞ」
踏み込み。
速い。
重い。
受ける。
流す。
だが。
崩れない。
(……足りない)
削りきれていない。
間に合わない。
押される。
距離が詰まる。
「終わりだ」
剣が止まる。
敗北。
■ 評価
「……悪くない」
職員が言う。
「が、まだ足りないな」
当然だった。
「見習いからだ」
■ ステラの番
「次」
ステラが前に出る。
「軽くでいいって言ったよね」
笑う。
そして。
動く。
一瞬。
距離が消える。
「……っ!」
相手が反応する前に。
剣が止まる。
喉元。
静止。
■ 空気
ざわめきが止まる。
「……早いな」
職員が呟く。
「だが」
少しだけ考える。
「経験が足りない」
結論は同じ。
「見習いだ」
■ 結果
二人とも見習い。
当然だった。
だが。
差はあった。
(……届かないな)
カゲトは静かに思う。
ステラはすでに、上にいる。
■ 外
ギルドを出る。
夕方。
人の流れは止まらない。
「どうだった?」
ステラが聞く。
「……通用しないな」
正直に答える。
「いいじゃん」
軽い返事。
「伸びる余地あるってことだし」
前向きすぎる。
■ 決意
カゲトは剣を見る。
まだ無駄がある。
まだ遅い。
だが。
(ここなら削れる)
村では無理だった。
ここなら違う。
■ 終わり
「とりあえず」
ステラが言う。
「見習いスタートだね」
「……ああ」
カゲトは頷く。
弱いまま。
それでも。
進む場所は見つかった。




