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プロローグ 弱き剣聖
人は、強さに憧れる。
力。
魔法。
才能。
だが、それらを持たない者はどうするのか。
答えは単純だ。
削るしかない。
無駄を。
迷いを。
恐れを。
すべて削ぎ落とし、ただ一つだけを残す。
“斬る”という行為だけを。
それが――
「弱き剣聖」
そう呼ばれる男の剣だった。
彼の剣は速くない。
強くもない。
美しくもない。
だが、無駄がない。
だから届く。
届くべき場所に、必ず。
その剣は、誰かを守るためだけに振るわれる。
これは――
弱いまま、強さに辿り着いた男の物語。
そして。
その隣で、星のように輝く少女の物語。




