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婚約破棄された崖っぷち女騎手、第三王子に拾われ不吉な『黒いユニコーン』と伝説の専属騎手になる  作者: 目白シキ


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8/11

殿下は私を「僕の専属」と宣言する

数日後、フレデリック殿下からブラックヴェッセルの初勝利を祝う、祝勝会の誘いが来た。


私も久しぶりの勝ち星に、意気揚々と了承してしまったものの、王族の祝勝会というだけあり、場所は当然王宮の中だ。


その中に入れるような、それなりのドレスを見繕わなければならない。


それまで、小ぎれいな商人の一軒家でくらいでしか祝勝会を行っていなかったため、ここまで大規模なものは初めてだった。


そのため、クローゼットや引き出しを全てひっくり返してみても、出かける用といえば、少し小ぎれいなワンピースが一着くらいしか出てこず、あとは練習用の動きやすいパンツか、ちょっと町に買い出しに出かけられるくらいの短めのスカートしか無かった。


私は、ここまで来て少し後悔し始めていた。


どうせ行っても知り合いはフレデリック殿下か、セドリック調教師くらいで、孤立する未来は見えている。


ユニコーンと話すことが好きでも、私は人間と話すことがそこまで得手ではない自覚がある。


今から断ろうか。というところまで悩んでいたところに、扉をノックする音と、ハンナ先輩のおっとりした声が聞こえた。


「リア、入ってもいい?」


床に散らばった服を見て、今はちょっと、と言い終わる前にハンナ先輩は扉を開けてきた。


左手には、ハンガーに掛かった黄色い花がついたプリンセスラインの華やかなドレスを持っていた。


そして、床に散らかった服を見て、やっぱりという感じで肩をすくめた。


「リアがきっと祝勝会に招待されていて、着ていく服に困っているだろうと思ったの。」


と、ドレスを見せた。


「今回は私が貸してあげる。そこまで体格差がないからきっと大丈夫。」


渡りに船とはこのことか、この時ばかりはハンナ先輩が女神に見えた。


そして、ドレスを手渡す際に、彼女が大きな目で私の顔をまじまじと見た。


「お化粧もしっかりしていかないと、ね。」


気づけば、私はドレッサーに座らされ、彼女に化粧をされることになったのだった。


「先輩、ここまでしなくても…。」


「いいの、騎手は馬主さんが恥じないように、こういうところまでしっかりすることも騎手の仕事なんだから。馬主さんは、第三王子のフレデリック殿下なのだから猶更でしょう?」


彼女の言う通りだった。


フレデリック殿下の専属騎手が、すっぴんでダサい服を着ていたら彼の権威に関わりそうだ。


ここは、彼女の腕に任せてされるがままになるしかなかった。


ユニコーンの手入れは得意なのに、自分の手入れがこんなに難しいなんて…。


—数時間後。


「ほら、できた!うん、いい感じ。堂々と胸を張っていいよ。」


ハンナが全身鏡を近づけると、厩舎の臭いがしない、どこか遠い国の令嬢のような見知らぬ女性が立っていた。


これなら、フレデリック殿下の専属騎手と言っても遜色が無いだろう。


「ハンナ先輩、ありがとうございます!」


と、深々と頭を下げると、


「あまり動くと崩れるから、今夜はお淑やかにね!」


と、慌てて頭を上げさせて、ドレスと髪型を整え直してくれた。


会場に到着すると、フレデリック殿下が入り口で待っていてくれた。


私の姿を見ると、はっとした様子で聞いた。


「リア騎手…かな?」


いつもの腕白な感じではなく、少し緊張した面持ちで私に手を差し出してくれた。


「今日は来てくれてありがとう。さあ、どうぞ中へ。」


気が遠くなるくらい、高い天井に豪勢なシャンデリアが付いた広間へ案内され、慣れないドレスに覚束ない足元で歩いていると、彼はゆっくり私をエスコートしてくれた。


「その姿を他人に見せるのは少し勿体ないな…。」


殿下は私の耳元でそっと呟いた。


どういうことか分からず、私が狼狽えていると、さり気なく彼は私の腰に手を当てて大きな扉の中へ通した。


すると、大勢の人が私の姿を見て、嫉妬と驚きの声を上げていた。


「あのフレデリック殿下にエスコートされている美しい女性は何者ですか?」


「まさか、彼女があのブラックヴェッセルに騎乗していた騎手?」


明らかに自分のことを言われていることに、私はどんな反応を示して良いかわからず、下を向いていると、


「リア騎手、堂々としていいよ。今日の主賓は貴方なのだから。」


と、フレデリック殿下が気にかけてくれた。


フレデリック殿下が、私を導きながら壇上に立つと、それまでざわざわしていた会場が一瞬で静まり返る。


よく見ると、客の中にはあの第一王子の宮廷魔導師であり、ヴァングロリアの馬主でもあるシビュラも来ていた。


身体のラインがよく見える紫のドレスで胸元が大きく開いており、いかにも自分に自信があると言いたげな佇まいだった。


フレデリック殿下が目下の客人に向けて声を張る。


「今日は忙しい中、僕のブラックヴェッセルの祝勝会に来ていただき感謝します。ここにいるのは騎乗していた僕の専属騎手のリア騎手であり、彼女がいなければデビューすらできない状況でした。しかし、彼女は黒い嵐の如く素晴らしい走りで初戦を一着という華々しい成績で飾ってくれました。ブラックヴェッセルと、リア騎手と、そしてここまで育ててくれたセドリック調教師に乾杯!」


彼が金の盃を掲げると、客人たちも盃を掲げる。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

「この先の展開が気になる!」と少しでも楽しんでいただけましたら、

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次回、木曜日更新予定です。

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