ゲキウマ焼きトカゲとワクワク能力測定!
教会に着く前にシンディとカリオは腹ごしらえをすることにした。
シンディはもちろんお金を持っていないが、カリオもお金を持っていなかったためたまたま近くにいたカリオの飲み友達に借りることにした。
シンディが挨拶をすると、カリオの飲み友達のリュークは目をハートにして快くお金を貸してくれた。返済はキス払いでいいとのことなのですごく得した気分になった。カリオは「そういうのはよくない」と言っていたがなにが悪いのかわからなかった。
結局リュークの奢りといった感じになりつつ3人でご飯を食べた。
名物のトカゲ料理は現地の人が2日に1回食べるくらいのものらしく、全員それを頼んだ。
運ばれてきた焼きトカゲのムニエルはバターの香りが漂っており、頬張ると口いっぱいに広がるカリッとジューシーな幸せがそこにはあった。ここの厨房では火山の熱を利用して調理しているらしく、火力に見合った美味しさであった。
リュークとは別れ、教会に着く。
本題の属性数値である。
カリオは俺を上回ることは無いだろというスタンスでいるつもりだが、若干の不安が隠しきれていない。
頼れるアニキキャラで行きたいつもりのようだが、リュークにお金を借りた時点で無理である。
しかも返済はシンディひとりの力である。
自分の分は今度返すくらいいえばよかったのにと考えざるを得ないが、やはりそれでももうアニキキャラは無理である。
要らぬことを考えていると、神父は告げる。
「シンディさん。あなたの数値を発表させていただきます。」
火9/氷8/土9/風8
これが私の属性数値のようだ。
空いた口が塞がらない。
カリオは尚更だ。
カリオの目に若干涙が浮かぶ。
当然だ、得意な土ですら全属性に負けてしまっている。非常に無常である。
カリオは鼻声で言ってきた。
「これまじ?」
妥当である。
「まあ戦いは数値だけじゃないんでしょ?カリオは筋肉もりもりだし私より強いんじゃない?」
苦しい慰めである。さすがにカリオ以上に筋肉があろうとシンディの暴力的な数値の前には無力であろう。
一旦家に帰って落ち着いたあと、カリオは言った。
「シンディ、お前マスターを探さなきゃなんだろ?北の方に多くの書物を保有した国がある。まずはそこに行って情報収集してみないか?」
「そうすることにするよ、短い間だったけどすごい助かったよ」
「何言ってんだ俺もついて行くに決まってるだろ。」
「いいの?」
「いいも何もお前一人じゃ辿り着ける気がしないしな。俺がお前の盾になってやるよ。」
「ありがと、よろしくね!」
シンディはカリオと共に北の魔術大国、ノクス領を目指すことになった。