ちょっとした一悶着
短めに見やすい、書きやすい文章を模索しています。
「でかいな…。」
「大きいですわね…。」
「そりゃそうでしょ、うちの城の次に大きいんだからね。」
カリア魔術学園、いくつかある国の中でも最も大きな学校である。
大きいのには理由があり魔王様から賜ったらしい。その通りであるが…なんというかこう…大々的に宣伝されると小っ恥ずかしいなと思う訳だが。
「なんだか真ん中の道で人が捌けていってるな?」
「なんかあったんですかねぇ?」
奇妙なほど人が捌けていっているのを見てなにか痴話喧嘩のようなものでも行われているのかと考える…がその答えはすぐに分かった。
「貴様、俺様の臣下にしてやろう!」
偉そうな態度のやつとその取り巻き二人、その前には困った様子の…男?なのか?
(女の子みたいな奴だな…)
それは二人も思ったらしく、
「女の子を寄って集って卑怯ですわね。」
「本当にありえないよねー。」
なんて言っているが、そいつは男だと心の中で思う。
(早めに加勢しないとこっちの2人が暴走するかもな。)
この二人は割とすぐ手が出るタイプだから任せてはおけない。
「俺が行くから二人はここで見てて。」
一応、釘を差しておいて四人の中に混ざる。
「これは何をしているのかな?」
できるだけ温厚な態度で聞く。
「ん?あぁ貴様も俺様の臣下になりたいのか?」
なんだこのガキは捻り潰すぞと思いながらも笑顔を崩さない。
俺の苛立ちを察知した痩せている取り巻きの一人が口を開く。
「フラム様は友達になってくれと言っています。」
「そうだ!その通りだ。」
さっきまでの怒りは消し飛んだ。なんなら軽い思考停止に陥ってしまった。
そしてこう結論づけた。こいつは重度のツンデレ気質なのだと。
俺が来てから俺の影に隠れるように引っ付いてきたこの男の子も何がなんだか分からぬといった顔だった。
「なんなのだその顔は!何かおかしいことを言ったか!?」
フラム・ソルダ、こいつは知っている顔は覚えていなかったが思い出した。
確かヘルファ・ソルダ公爵の一人息子だったな…。
人を見下しがちといった悪い噂も聞くがそれ以上に人情溢れるいい噂を聞く不思議な人物だと思っていたが…なるほどと理解した。
悪い噂の殆どはこの謎のツンデレ気質にあるのかと。
残念ながら男のツンデレには興味がないので話を続ける。
「当たり前だろ。何一つ伝わらねーよ。」
するとフラムはまるでショックを受けたような顔で固まっている。
先程まで喋っていなかった太っちょの取り巻きが口を開く。
「そりゃそうですよ。だって分かりにくいもん。」
「貴様までそういうのか!?で…でも威厳あるってのはこういうことじゃないのか?」
威厳を身に着けろと親に言われた結果出来上がったのがあれらしい。
「威厳ってのはそういうんじゃないだろ。」
っとつい口に出してしまった。これは俺の悪い癖だ。
フラムはそんな…といった顔をしている。
「まぁいいや謎も解明したし友達になろうか。」
といって俺はフラムに手を差し伸べる。
「えっ?いいの?」
フラムは満面の笑みを向けてくる。尻尾でも生えていればブンブンと振っているであろうくらいに。
「よかったですね。」
痩せがそう言う。
俺とフラムは握手を交わし、試験が終わったらまた会おうと言ってフラムは試験会場へと向かった。
「さてと…君…名前は?」
フラムがいなくなったのを見届けてから男の子に聞く。
「僕の名前は、ユダ・フェアラート」
聞いたことない名前だな…平民出身か?と考えていると
「ねぇリュート、どうなったの?その子は大丈夫?」
とセシリアが聞いてきた。マリーも少し心配そうに彼を見つめている。
「問題ないよ。あの偉そうなの、フラムっていうんだけど友達が欲しかったらしい。ツンデレって難儀だよね。」
そう、フラム。根はいい子なのだろう、損をする性格なだけで…。
「で?その子は?」
あぁと話す前にユダが言う。
「僕はユダ・フェアラートって言います。」
タジタジの恥ずかしそうに言う。当たり前だろう、目の前のニ人は国一と言っていいほどの絶世の美女なのだから、無理もない。
「なんだか男の子みたいな名前ですね。」
まさかのマリーが地雷発言をした。
(こういうのってセシリアの仕事ではないのか!?)
などと思いつつ表面では冷静に返す。
「そりゃ男だからな。」
え?と微妙な空気が流れる。しばしの沈黙。
「「えーーー!」」
セシリアはいつも通りだし、マリーはお嬢様キャラを忘れて叫んでいる。
試験会場に向かうときは二人が申し訳なさそうにユダに謝るのだった。
取り敢えず更新が遅いのはゲームのせいです。決して僕のせいではありません。




