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Magnolia

お久しぶりです。何だかこう細かい描写は避けようと思った今作ですよろしくお願いします。

 城の門でパートナーが待っている。彼女はクラウン家に次ぐ強力な家の生まれでスキルにも恵まれている。周りの奴らはパートナーが誰なのかという話題で持ちきりだろう。

 俺が馬車から降りてきた時の周りの顔は予想通り、こいつ本当に来やがったといった嘲笑の顔だ。バカらしい、こうなれば最後まで道化師を演じてやるさ。

 「待たせてしまったかな?」

 "僕"を待っている彼女に声を掛ける。

「いえ、私も先程着いたばかりですわ。」

 うむ、毅然とした態度だ、素晴らしい。彼女を僕がエスコートできるのだろうかという考えが頭の隅で主張を続けてくる。黙ってくれ。

「それでは行きましょうか。」

 彼女の態度には紳士であり真摯な態度で臨むべきだろうと頭の中の阿呆を黙らせて言葉を話す。

「はい。」

「ではお手をどうぞ、フロイライン。」


 やはり王の城ってのは公爵家の家であろうと足元にも及ばない大きさと調度品の数は桁違いだ。気を抜いたらキョロキョロしてしまいそうになる。ただまっすぐ見ているだけなのに目が退屈しないというか、疲れるというか。

 王様に会うのもいつぶりだろうか…いや、割と最近か?少なくとも2年前?1年前?そんなことはどうでもいいが、いつもと違う城の様子に少し身が引き締まる。

 マリーと僕は互いに一言も話さない。それも当たり前だろう。王が溺愛する一人娘の誕生日であり、建国史上最大の成人式なのだから。

 パーティー会場前、深呼吸をして、近くの執事さんに扉を扉を開けてもらう。うん、やはり空気が違う息苦しささえ感じる。

「ここからは知り合いへの挨拶まわりだし、解散ということで、いいかな?」

 周りからの視線も痛いし、早く離れたいのは本音だが。

「では、ここまでありがとうございました。」

 彼女の礼をする姿は様になっている。社交界の華とはこういう人間のことを言うのだと思った。


「元気そうで何よりです。リュート様」

「いえいえ、おかげさまですよ。」

 馬鹿にしたような態度は不愉快だがこんなことにいちいち苛立つのも恥ずかしい、こういうのは流すのが良い。

「では僕はこれで失礼します。父上に呼ばれたので。」

 王と主役が来る頃だな。一番最初に挨拶するのだから手本になってやらねばな。

 両親の元へ行き王の到着を待つ…来た、扉が開き王が道のど真ん中を歩いて通る。もちろん俺たちは真ん中を開けて王が通るのを眺めている。その後ろを同い年くらいの白髪の女の子が通る。王の髪は黒だし母親似なのかなと考えてみたりする。

 王と娘が椅子に座り、執事の持ってきた飲み物が入ったグラスを手に取る。

「今日という日をワシは待ち望んでおった!皆、来てくれたことに感謝する!十分に楽しめ!」

 そう言ってグラスを掲げる。そろそろ王への挨拶かと両親の横について行く。

「アレク・ケーニッヒ王お久しぶりです。」

 王に頭を下げ社交辞令を交わしたあと王が立ち上がり俺の手を掴んで上げる。

「彼がわしの娘、セシリアの婚約者殿だ!」

 許せない…まるで騙すような手口で招待して、俺が挨拶に来た逃げられないときを狙ってこんな暴挙に出るとは…それに自分は婚約者に立候補した覚えは…いや、親がいる。

 それにしても王がノリノリなのは少しびっくりしている。魔力が重要な現代で魔力のないやつを嬉々として自分の娘と婚約させるとは思い切りが良いというかなんというか。

「じょ…冗談でしょう?」

 この悪ノリにいや…悪ノリだと信じたいノリについていけなくなった俺はつい言ってしまった。

「冗談ならばこのようなことすると思うか?好きな人がいるのならばその子を側室にすると良い。マリー嬢とかどうじゃ?今日は彼女をエスコートしてきたそうじゃないか。」

「ただの友人ですよ。」

「友人だからと側室にできないということはあるまい。セシリアと子作りさえしてくれるのならば問題無しじゃ。」

 こいつ…本人がいる前で堂々と言ってのける。王ゆえなのか?これが。

「そうですか…。」

 その後は何が何だか分からなかった。いつの間にか地獄の時間が進んでいき、家に時間になった。馬車の中で真っ白に燃え尽きてしまっていたのは言うまでもない。

ついに来ましたよ、婚約者。皆さんはマリーが婚約者になると思いましたか?王様の娘が婚約者だろうと思った人はおめでとう。ちょうど机に森永のアーモンドクッキーがあってだな、私が変わりに食べてやろうということでこれからもよろしくお願いします。

追記、フロイラインってのはドイツ語でお嬢さんって意味だったはず。多分きっとおそらくMaybe

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