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26.それからのお話

 今日も涼しげな秋風が私の髪をさわやかに揺らす。青い空も濃いしっかりとした夏色から、薄い水色に変わってきた。


 あれから数日後、私たちは再試験を受けさせてもらえて、無事に合格点を獲得した。

 試験はびっくりするほど簡単で、どうして迷子になったのかカイトくんはずっと不思議がっていた。ゲームの抑制力って本当にすごい。だって、道はほぼ一本だったんだから。

 

 先生方は呪いが解けたことをとても喜んでくれたけどそれと同じくらい、どうやって解呪したのかを相当気にしていた。

 恥ずかしいから言いたくなかったけど、かたくなに隠すのもおかしいし、もしかするとこの国において、ものすごい発見になるのかもしれない。


 だからシーラ先生にこっそり話すと、先生はぽかんと口を開けておどろいていた。すぐには信じられなかったみたい。だってそんなこと、この世界では聞かないことだもの。

 しばらく何か考えていたみたいだったけど、「青春ねえ……」と呟いて、私に激励を送ってくれた。

 

 そうして、学園公認のカップルとなった私たちは今日も仲良く登校している。もちろん、前を歩くシアちゃん、セレナ、ヨシュも一緒だ。

 セレナとヨシュはあの騒動のあと、すぐに付き合うことになった。デレッデレのヨシュがクールなセレナにまとわりついているようにも見えるけど、もちろんそうじゃない。セレナは照れているだけで、こっそり嬉しそうにほほえんでるのを私もシアちゃんも知ってるから。

 ちなみにシアちゃんには年上の許嫁がいるんだって。全然知らなかった。これもゲームにはない展開なのかもしれない。

 

「今時そんなしきたりなんて、古くさくて恥ずかしいから言いたくなかったのよ」

 

 と言っていたけど、彼を語るシアちゃんはとても可愛いから、きっと良い関係なんだと思う。今度紹介してもらうの。楽しみだな。

 まだ会ったことのないシアちゃんの許嫁を想像して、くふふ、と笑いがもれる。すると繋いでいたカイトくんの手が、くんと軽く引っ張った。


「なにか面白いことでもあった?」

「ううん、毎日すっごく楽しいなと思ったの。先の予定がたくさんあって困っちゃう」

「そっか、アリスはいつも楽しそうだもんな。入学式もニコニコしていて、可愛いなって思った。すぐに話しかけたかったけど、可愛いすぎるから気後れして」

「な、なに急に……」


 カイトくんはこんなふうに突然恥ずかしいことを言う。嬉しいけど、それより恥ずかしさが上回る。照れる私にかまわず彼は当たり前のように話を続けた。


「でもそれからすぐにシンシア、セレナと仲良くなっただろ? あいつらのガードが固くて、なかなかアリスに話しかける機会がなくてさ。あの二人、ほんと怖いよな」

「そんなこと言うのカイトくんだけだよ。シアちゃんもセレナも学年一の美少女なんだから」


 二人だから学年一、二を争う、かな? とにかく、超絶美少女の二人が高嶺の花になっていることを私は知ってる。

 まあ、私も美少女なんだけど。だって女神様のおかげで、乙女ゲーのヒロインみたいに可憐なんだから。そこは本当に感謝してる。

 

「ヨシュもそんなこと言ってたけど、アリスが一番可愛い。それはこの先もずっと変わらないと思う」

「えー、本当かな。二年になったらすっごく可愛い一年生が入学してくるかもしれないよ。先輩♡ とか言って……。どうしよう、やきもち焼いちゃうかも」

「ないない! やきもち焼くアリスは見たいけど、俺そんな器用じゃないしな」


 ありえない、と笑い飛ばすカイトくんだけど、残念ながら、ありうるのだ。来年は三人目の正式なヒロインである、ヨシュの妹が入学するはず。

 このルートでそうなるのかはわからないけどね。だってここはもうクリア後の世界。これからどうなるのかなんて、私にも予測不可能だもの。

 

 だけどこれだけは確実にわかってる。私はシアちゃんも、セレナも、ヨシュも、この世界も大好き。

 そしてなにより、隣で笑うカイトくんが好き。

 だから今日も明日も大好きな彼に、「好きだよ」と声に出して伝えるの。

 そうすると世界で一番大好きな笑顔が返ってくるから。

これにて完結です。

お付き合いいただきありがとうございました♪


一度は書きたい「愛されヒロイン&転生もの」ということで出来上がったお話です。

いつもと文体を変えてみたり、一人称だったり、なかなか普段と違った書き方も面白かったです(*^^*)


感想ブクマ評価いただけると嬉しいです(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)

また全年齢も書きたいな。

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