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その24「追加と頓挫」



 ディーヴァは1層とコアルームに、転移陣を追加した。



 次はどうするべきか。



(テレポートラビットの部屋に


 トラップを三つ追加しておくか)



 トラップが多ければ多いほど、テレポートラビットを仕留めやすくなる。



 今のところは、他にトラップの使い道も無い。



 そう思ったディーヴァは、迷わずトラップを追加した。



 トラップの追加を終えたディーヴァは、何かに思い当たったような顔を見せた。



(……あれ?


 魔獣の設置数も10に増えたから、


 テレポートラビットを


 10体まで追加できるのか。


 EXP10倍は凄いな。


 けど……。


 八つのトラップで


 テレポートラビット10体は、


 ちょっと手に余る気がするな。


 1体ずつ増やしてみて


 様子を見た方が良いかな?


 あとは、ダンジョンレベルを上げるための条件を


 確認しておくか)



 ディーヴァはダンジョンレベルアップに必要な供物を調べた。



 レベルアップには、やはり魔石が必要なようだった。



 レベルを5から10にする時は、大魔獣の魔石が有れば済んだ。



 だが今回は、関係の無い魔獣のイシが必要なようだった。



(ビッグレディビートルの魔石が300個)



 その魔獣の名に、ディーヴァは聞き覚えが有った。



 ガーデナーの間では、それなりに有名な魔獣だ。



(……アディスに居るって


 聞いたことが有るな。


 まあ、それは後回しだ。


 今までに稼いだ魔石で


 テレポートラビットを1体は追加できる)



 最近のディーヴァは、朝も夜も魔獣を狩り続けている。



 そして、今クオンダンジョンに居る魔獣は、全てがラビット系だ。



 そのおかげで、ディーヴァの手元には、既に1000個のラビット系の魔石が有った。



(イシを取りに上に戻ろう)



 最近ディーヴァが集めた魔石は、雑に1層に転がされている。



 狭い藁の家に、あまり物を置きたくないからだ。



 ディーヴァはコアルームの転移陣を踏んだ。



 ディーヴァの体が、1層に転移された。



 ディーヴァはクオンに声をかけた。



「テレポートラビットを追加してきますね」



「手伝うよ」



 二人で魔石を持って、コアルームに移動した。



 それからテレポートラビットの為の供物として、せっせと魔石を捧げた。



 供物を捧げ終えると、2層にテレポートラビットが追加された。



 ディーヴァはさっそく、追加された兎を狩りに行くことにした。



 1層でクオンと別れ、ディーヴァは2層に向かった。



 追加の兎は、1体目と同じ部屋に追加されていた。



 朝に狩ったので、1体目の姿は無い。



 ディーヴァは追加の兎と1対1で戦った。



 そして、追加されたトラップを利用し、手早く撃破した。



(良し……。


 この調子で、どんどん


 テレポートラビットを追加していこう)



 魔石を回収し、ディーヴァはクオンの所に戻った。



 レベルチェックを受けると、レベル19になっているのが分かった。



 やることが無くなったディーヴァは、普通の魔獣を狩って、ラビット系の魔石を集めた。



 翌日。



 ディーヴァはまた、テレポートラビットの部屋へと向かった。



 その部屋には、テレポートラビットが、1体だけ存在していた。



(まだ2体目はリポップしてないな)



 ディーヴァはテレポートラビットを撃破した。



 そして、2体目が出る時間まで、他の魔獣を狩って時間を潰した。



 やがてディーヴァは、2体目のテレポートラビットも撃破した。



 ディーヴァはレベル21になった。



 ディーヴァは休まずに、さらに魔獣を狩っていった。




 ……。




 やがてラビット系の魔石が、また1000個あつまった。



(これでまた


 テレポートラビットを追加できる)



 ディーヴァは3体目を追加した。



 追加した兎を、ディーヴァはさっそく撃破した。



 レベルチェックを受けたが、レベルは21のままだった。



(レベルの上がり方が


 鈍くなってきたかな……?)



 その翌日。



 朝にテレポートラビットを、1体撃破した。



 レベル22になった。



 それから少し時間を置いて、また同じルームに入った。



 するとルーム内のテレポートラビットは、2体になっていた。



 いつものように、罠での狩りをしようと、ディーヴァは兎の片方に攻撃した。



 すると……。



「えっ……!?」



 ディーヴァは驚きの声を上げた。



 2体のテレポートラビットが、同時に雷をはなってきていた。



 予定外の攻撃を避けきれず、ディーヴァは死亡した。




 ……。




「頓挫しました」



 クオンの足元で、ディーヴァは苦い顔をした。



 そんなディーヴァの言葉に、クオンはのほほんと答えた。



「頓挫しちゃったか」



「同じルームに


 テレポートラビットを2体入れると、


 1体がテレポートする瞬間、


 他の兎も


 同時に雷をはなってくるみたいです。


 つまり、兎を増やせば増やすほど


 攻撃が増えていって、


 地獄絵図になります。


 1回テレポートさせる度に


 こっちが死ぬので、


 狩りの効率は最悪になります」



「それで、どうするんだい?」



「兎のリポップ時間を


 徹底的に管理して、


 常に1対1で戦えれば、


 今のやり方でも


 なんとかなりそうなんですけどね。


 それだと他に手が回らなくなっちゃいそうなんで、


 トラップ四つのルームに


 1匹ずつ配置しておくくらいが


 最適なのかなと思いましたね」



「そう。


 今のトラップ数だと、


 2ルームが最大ということだね」



「はい」



「配置した魔獣は


 好きに削除できるのかな?」



「そうですね。


 捧げた供物は返ってはきませんけど。


 ……思いがけず、


 テレポートラビットの件には


 一段落ついてしまったので、


 ダンジョン攻略の方を


 進めていこうと思います」



「すると、


 供物を集めないといけないね」



「はい。


 次の供物に必要な


 ビッグレディビートルの魔石は


 アディスで手に入るみたいです。


 ギルドで魔石を買うにしても、


 ファングラビットほどは


 安くは手に入らないでしょうし、


 自力で魔獣を狩るのが


 最適なのかなと思いますね」



 ファングラビットは、最下級の魔獣だ。



 その魔石の値段も、最低ランクということになる。



 それでも百個あつめようとすれば、万単位のカネが必要になった。



 ビッグレディビートルは、ファングラビットよりも、明らかに格上の魔獣だ。



 それを300個も集めようとすれば、10万シーズでも足りないだろう。



 一応、今のディーヴァには、そこそこの収入は有る。



 高価なテレポートラビットの魔石を売っていれば、いつかは買えるようになるだろう。



 だがそれが最適な手段だとは、ディーヴァには思えなかった。



 自力で魔獣を狩った方が、効率が良い。



 そのように思えたのだった。



「アディスか……。


 ディーヴァ。覚えているかな?


 アディスでは


 ホームダンジョンと違って


 ベイルアウトはできない。


 死んだらそれまでなんだよ」



「そりゃ覚えてますけど」



「そう? それなら良いけど。


 くれぐれも、油断せずに慎重にね。


 レベルが上がったからといって、


 一気に先に進むのではなく、


 1層ずつ着実に攻略していくんだよ。


 良いね?」



「わかりました」



「それと、


 準備をしっかりと整えてから挑むこと。


 回復ポーションを忘れずにね。


 ああそれと、


 防具も新調した方が


 良いんじゃないかな?」



「……ちょっと心配性じゃないですか?」



「そうかな?


 いいや。


 そんな事は無いような気がするね。


 私が言っていることは


 一般常識の範疇だと思うよ」



「……そうですか?


 防具って言っても、


 あんまりお金はありませんけど」



「べつに立派な鎧じゃなくても良いさ。


 今のキミの服装は、


 下位クランに属する


 駆け出しガーデナーのそれだからね。


 そろそろマトモな服に


 買い換えたらどうかな?」



「それなら……」



「…………?」



「クオンさまも


 服を買い換えるのなら、


 俺も新しい服を買います」



「うん?」




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