契約成立、転生確定
「春風様が転生する世界には、童話や小説に出てくるような生き物が存在しています。ゴブリンやエルフ、スライムにドラゴンなど多種多様な生き物ばかりです。人間も存在しますが、春風様の世界ほどの数はおりません。また、この世界では人間は劣等な生物とされています。…そのため春風様には別の生物の姿で生活をして頂きます。」
「そうなんだー。それって人間にもなれるってことだよね、なんで人間じゃだめなの?」
「魂の転生には膨大な力が携わっています。直ぐに殺されてしまっては転生する意味がありません。長く生きていただくためにも、この条件は欠かせないのです。」
「ふーん。そうなんだ。じゃぁ私何になるの?」
(今期流行ってたちょっとエッチなアニメに出てくるクリムちゃんみたいなエルフになりたいなぁ……へへ)
春風は頭の中でエルフになっている自分を想像しながらヨダレを垂らしていた。
「それが、僕にも伝えられていなくて…。春風様の風呂場の扉から異世界に出ると姿が変わると聞いております。」
「えぇーーー。そーなのぉー。」
(まぁそれはそれで楽しみだしいっか)
「僕はこれから、ここで春風様の補助をいたします。頭の中で僕の名前を呼んでいただければ、通信することができます。それと、春風様がどこかしらの風呂の扉を開くとここに繋がります。春風様以外はこちらに入れませんので何かあれば風呂場へ。」
(風呂ってそんな危険な場所にないだろ。)
「…てか、それって私の事ここで見てるってことだよね。あと私いつ風呂入るのよ。」
「そうなりますが、カメラは色んな場所に切り替えられますし、トイレや着替えは見る気ないですから、安心してください。」
晴が手を叩くと、湯と書いた登りが出てきた。
「あと、こちらの銭湯をお使い頂けます。向こうの世界で人気の自然の中の風呂もございますので、そちらもご堪能ください。」
「あ、そう。」
(なんかムカつくわ。…露天風呂って事だよね、それは入りたいかも。)
「他にご質問は?」
「うーん…後々分からないこと出来たらその時に聞くようにするね。」
「かしこまりました。では、こちらにサインをお願い致します。」
春風は長々と綴られた契約書にサインをした。
(長すぎてあまりよく読まなかったけど大丈夫かな?…ま、何とかなるか!)
「ではこちらの書類をもって、契約成立となり、転生確定とさせていただきます。」
晴が手を叩くと風呂場の扉が出てきた。
「春風様を新たな世界が待っております。楽しんできてください。」
爽やかにニコッと笑いながら晴は言った。
(なんか爽やかだな。そんで色々長かったな…まぁ、エルフな人生待ってるし、いいや!よーし、気合い入れていこ!)
「じゃ!晴、私ん家の風呂場を頼んだよ!」
と笑いながら扉を開けた。
(エルフになりますように…エルフになりますように…エルフに…エルフ…。)
エルフになりたすぎる春風は楽しそうに扉の向こうに広がる草原に足を踏み出した。
こんにちは(ᐡᴗ ᴗᐡ)
有菜晴希です。
『風呂から転生しちゃったんだけど』を読んで頂きまして誠にありがとうございます。
楽しく読んで頂けるよう今後とも心がけていきますので、これからもよろしくお願い致します。