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青い彼岸花  作者: と或る学生
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兆候

ただの殴り書きです。誤字多そう〜

世の中には、「偶然」などない。




あるのは、必然のみだ。




人間は、予想外のことを「偶然」と呼んでいるが、それはただ、「必然」が複雑に絡み合っているだけのこと。




「偶然」が、ただの「必然」の集合体だと見抜ける人間は、本当に少ない。当たり前である。ほとんどの人間は私達のように術は使えない上、一生があまりにも短いからだ。




そして、その見抜ける人間こそがーーーーーーーーーーー





「おはよう」


いつもの朝が始まる。なんら変わり映えのない、平和な1日だ。


「あ、青彼!おはよう!」


「ああ、おはよう、隼人」


隼人という少年ーーー松浦隼人は、稀代の天才少年と言われている。元々生まれ持った魔力量が膨大で、桁違いだった上に、それをコントロールできるだけの才能、そして努力が出来る人間だからだ。

こんな逸材を魔術師連盟(エクソシストウィング)が放っておくはずもなく、即スカウトされ、現在は最年少での魔術師(エクソシスト)となっている。

ただ、その膨大な魔力量が仇となり、体が少々弱く、よく体調を崩してしまう。そもそも隼人の魔力量は、人間の体が耐えられる限界量とされる魔力量を遥かに上回っており、隼人が生きていること自体が奇跡なのだ。よって、まだ12歳の少年が己の魔力量に適応できるはずもなく、体が弱くなってしまうのだ。

この問題は成長するにつれて解決する問題なのだが、一部の心ない人間からはこの点を執拗に責められており、人間の醜い側面がよく分かる。


「青彼?どうしたの?」


「…いや、なんでもないよ。ごめんね、この問題はね、全ての出方が6!通りでこれらは同様に確からしいでしょう?で、この三つの事象は互いに排反するから、これら全てを足してーーーー」


「ああ、そういうことか!ありがとう!」


「また難しそうな問題解いてんなぁお前らは。一言も理解できなかったぞ」


「まあ、近い将来みんなやるよ?…僕は将来、まともに通学できるとは限らないから、保険としてやってるだけだからね…」


「おお〜、大変だな、天才少年君は!」クラスメイトが揶揄う。


「ちょっと、やめてよ」少し照れながら隼人が返す。


他愛ない会話を聞いてほのぼのしていたが、こういう時は必ず、教室のどこかでーーー


「なんだあいつ。またさりげなくマウント取ってんだけど。ムカつくわ」


「それね。魔術師様は学校なんて来ないで悪魔狩ってろっつーの」


「実は全部嘘だったりしてねw」


…下らない嫉妬だ。わざと教室全体に聞こえる音量で言っている。


「…気にすんな、松浦」


「…うん、大丈夫だよ、ありがとう」


「ちょっと一発…」


「大丈夫だって本当に、()()()()()()


授業開始のチャイムが鳴り、授業は始まる。

そう言った隼人の横顔は、ひどく悲しいものだった。

いつも通り、1日が過ぎようとしていた。




体育の時間にて。校庭で授業は行われていた。


まず最初に異変を感じた人間は隼人だった。


キョロキョロとあたりを忙しなく首を動かしてみている隼人に、クラスメイトが声をかけた。


「どうしたんだ松浦?さっきから落ち着きがないな」


「え、あ、うん…」


不安げに隼人の瞳が揺れる。


「なんか…良くない気配がするんだ」


…半径500メートル地点にいる悪魔に気づくのか。ただ、隼人が気づくということはーー

人間に対して、殺意を抱いている個体だということだ。


なんらかの対策を練ったほうがいいかもしれないと思った時には、

始まっていた。



「おい、なんだあれ!?」


「えっ、うわああああ!!!」


明らかに強いと思われる悪魔が校庭に出現していた。


「…ッ!!」


隼人が無詠唱で即座に攻撃する。さすがだ。

が、そんなことで倒されるほど悪魔も弱くない。


隼人は体力がない。長期戦は大の苦手なのだ。したがって、短期戦に持ち込まざるを得ない。それに気づいたのか、あるいは最初から()()()()()のか、悪魔は長期戦にしようと攻撃をダラダラと中途半端に続けている。


…これは少々よろしくないな…

聖火はほんの少しだけ、力を込めて攻撃を出した。


その瞬間、悪魔は吹っ飛び、悪魔が立っていた地面は大きく抉れていた。


「なっ…!?」


「えっ」


「お前…!!」


悪魔も、こちらに気づいたらしい。流石、魔力の波長を似せたのにも関わらず、発せられた場所を特定したか。


「…今すぐ攻撃をやめなさい、そうすれば()()()()()()


「何を偉そうに…ただの偶然の癖に!!」


偶然?そう…()()ね…




僕が一番、嫌いな言葉だ。





魔力を凝縮させ、相手の真核(コア)を刺す。


「え…?」


何が起こったか分からないだろうな、こいつには。


「…僕は、無闇に人間を傷つけるのは止めろと言ったはずだ」

悪魔にだけ聞こえる音量で言う。


「は…?何をーーー」


「大方、()()の差金だろうがーーー」


と言った瞬間、顔色が変わる。

相手の胸ぐらを掴み、一段低い声で言う。


「…魔界序列一位は、僕だ。勝手な真似をするな」


「…!!申し訳ござーーー」


最後までは聞かなかった。聞く価値などないからだ。

クルリと体の向きを変えて、隼人のもとへ向かう。


「大丈夫?」


「う、うん…」


流石に困惑するだろう。ただ、今はそれよりも先に取り掛かるべき問題があった。


「…隠れてないで出てきたらどうです、皆さん?」


悪魔との戦闘中、既に魔術師達が到着していたのは気配で感じ取っていた。


「…君は誰だ?」


一人が言う。


隼人が応えようとしていたが、目で制する。


「…この学校に在籍しているただの生徒ですよ?」


自然に微笑む。もちろん、彼らはより警戒心を強めるだけだが。


「あの松浦君よりも魔力量が多いみたいだな、君は。どうして連盟(ウィング)に報告が入ってない?」


「…」ただ沈黙を貫く。それでいい。


「…どうしてだろうね?」別の魔術師が言った。


この人間は…只者じゃないな。


「…もうあなたは、分かっているのでは?」


この人間は恐らくーーーー


「ふーん…動じないんだね」


言い終わる前に、攻撃が無詠唱で飛んできた。やはり、()()()


聖なる翼(ホーリーウィングス)の方と戦えるとは、光栄ですね」


「…君、本当に悪魔?全くーーー」


「当たり前ですよ。…生きてきた年数が違う」


相手が息を呑む。それもそうだろう。

魔法を使用した形跡もなく、背後にいるのだから。

しかし、それくらいで戦意を喪失する人間ではなく、すぐさま動いた。


「…これは参ったね」


「そうですか?人間にしては、あなたは相当強いと思いますけど?」


「…君には煽られたくないなぁ。全く、()()現場に来たら、こんな事になるとはね…」


どうして、人間も悪魔も、「偶然」と言う言葉を使いたがるのだろう。無性に苛立つ。


「…偶然なんて、この世にはない」


「…?」魔術師達は怪訝な顔をした。


「全ては、必然だけで成り立っている」


そう断言し、翼を広げる。長居し過ぎた。


「…!どこにーーー」


「隼人」


「…?」


「今までありがとう。じゃあーーー」


「待って!!」


「えっ」


「もう、会えないの…?」


…涙目で言われると流石に精神的なダメージを受けるのだけれど。

仕方がないので、


「…これを持っていて」


「…?」


「君が窮地に陥った時、あるいは命の危険が迫った時、必ず君を守ってくれるから」


「これ…!!」


隼人に渡したお守りは、純粋な魔力を固形になるまで凝縮して作った、超高濃度の物だ。まず普通の人間は持てすらしない。


「…きっとまた、近い将来会うことになると思うからーーーーーー元気で」


「…ッ、青彼…」


また捕まる前に空へ飛ぶ。


聖なる翼(ホーリーウィングス)の魔術師に言う。


「…近いうちに会いに行くと伝えておいてくれーーーーー」






「ーーーーーーー()()連盟(ウィングス)の長に」

























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