金色の雲
どんよりとした空に金色の雲が飛ぶ。眼下に広がる山のいただきを、わずかにさす光が
照らす。木々にぶら下がる秋の色づく葉を、ちらちらと僕に覗かせようとしているかのように。
たった一度、見た景色を決して忘れないように、その光がまぶしければまぶしいほど
あたりはかすむ。
町は小さく、コンクリートの照り返しもない。
ただ風にのり、ただただ揺れる。
完熟した風景に僕の心が躍るように、きっと意志もしめさない小さきものも踊っているんだろう。
バイオリンを手に取り今日も歌う。
黄金の雲にのって。