第八話
魔剣舞踏会当日
僕は何時ものように制服に着替えた。
戦闘ならもっと動きやすいものか防御力のあるものを着たほうがいいのだろうが、この制服は学園ないの乱闘なども考慮してある程度は強度にも耐えられ下手な刃物では傷一つすらつけれないという今の僕の持ち服のなかで一番戦闘向けな服なのだ。
制服に乱れがないか確認し家を出ることにした。
魔剣舞踏会会場に着くとそこは人集りで凄いことになっていた。
人波とはこのことだろう。
そんなにこの催しは注目されているということなのだろうか。
魔剣会場は天井は無い巨大なホールで行われるようだ。
円を描くような会場で周りに観客が観戦できるようになっていてその中心で僕たちが戦うようのだろう。
因みにこの大会ではA・B・C・Dと四ブロックに別れていてそのブロックに割り与えられた人全員で一人になるまで闘う言わばバトルロワイヤルせいとなっている。
そして、勝ち残った四人が各ブロックの代表となってA・B・C・Dでくじにより対戦相手が決まり準決勝、決勝の順になっている。
僕はBブロックで出場することになった。Bブロックの控え室で時間になるまで待機させられる。
勿論ほかのブロックの戦いを見てもいいのだが始めは人が多すぎて戦場の様子があまりわからないのでたいていの人はこの控え室に篭っている。
僕は出場経験がないからAブロックの戦場をお手本にしようと控え室のすぐそばにある選手用観戦席に座っていた。
「狐の仮面の君もAブロックを観戦しにきたのかい?」
そう言われ後ろを振り向くと僕よりも三歳くらい年上の青年がいた。
「ああ、今回が初めての参加だからね」
「そうか、僕は今回で二回目だよ。わからないことがあったら聞いてくれ狐の仮面君」
狐の仮面と呼ばれているのは僕が狐の形をした仮面で隠しているからだ。
金色に、狐特有のつり上がった目が特徴だ。
ファナさんから公の場に出すときは何らかの対処をしてくれと理事長に言っていたようで僕に用意したのがこれだった。
なんで狐なんだ? と疑問におもったが「どうだ可愛いだろ」と理事長が言っていたから、ああこの人の趣味だなと思った。
「そのときはよろしく」
「まあ、と言ってもこの大会はただ生き残れ! それだけどね。君は何ブロックなんだい?」
「僕は、Bだよ」
「そうか、なら今回は当たらないね。僕はCだからね。っとそんなことおいといて始まるよ」
その言葉でこの席に座った理由を思い出して会場の中心に集中した。
「いやはや、あれは反則だよね」
「だね、斬撃を残す魔法とは」
Aブロックの代表選手は正直言えば圧倒的だった。
代表選手の名前はデアハルガー=リューズ。
剣士の出で、彼自身も剣を使っている。
全身金の鎧をフル装備で、彼の髪の色も金髪だ。
僕自身観客席からしか見れていないから顔の詳細は分からないけど相当なイケメンだったと思う。彼は、剣士でもあるがどうやら無意識で魔法を使っているようだ。
「魔法というよりかは彼の場合は固有魔法かな? 固有魔法は魔法に属するけど魔法ではない。例えるなら今のアレだね。魔法ではあるけど属性が無いとか、他には誰にもマネできないのが固有魔法の特徴かな。まあ、あんなもの持っているのは稀だよ」
ならば僕の魔法も固有魔法なのだろう。
意外な場面で僕の魔法のことについて分かったような気がした。
「さて、次は君の番だよ。僕も一試合前から体を作っておかないといけないからね。僕はこれで失礼するよ……あ、自己紹介がまだだったね。僕はルドルフ=ローフィス。ああ、君はいいよ隠すために仮面お付けているんだろうからね」
そういって、ルドルフと名乗る青年はCブロックの控え室にもどっていった。
よし、僕もそろそろ。
立ち上がり会場の入口に向かった。