第三話
「こ、ここが学校!? こんなに大きいの……」
学校は、高等魔法学校と騎士養成学校の大まかに二つに分かれている。
この学校は魔法学校で、魔術師を育成する学校だ。
高等魔法学校と騎士養成学校は三十年前にあった、魔物災害以降に魔物に対抗するため、魔術師を騎士を鍛えるために作られた建物だ。
今ではこのマンドラ王国だけでなく、エルド帝国にラース王国と他のほとんどの国で設備されている。
それだけでなく、魔物災害以降人類どうしの争いは一切なくなった。
それだけ、魔物と魔族が人類を一致団結させたという事だろう。
魔物は、猛獣よりもでかい牙を爪を持っており、魔族は人間と同等の知性を備えている。
魔物・魔族が全世界で被害を広めている今、自国を守るため強いては魔物・魔族を滅ぼす為に魔術師と騎士の育成に力を入れている。
他にも力を入れてる理由はある。
魔物・魔族の騒動により『人類共存条約』が全人類で結ばれたその名の通り人類同士で争うのではなく魔物・魔族に対処すべく力を合わせようと言うものだ。
しかし、この条約も魔物・魔族が存在するまでの話。
もし魔物・魔族を滅ぼすことが成功したら、人類同士で再び争いが始まるのは目に見えている。
そう考えると、魔物・魔族は人間同士の平和を保つためには欠かせない存在でないのだろうかと僕は思った。
そして、ここは魔法学校のなかでも多くの有名魔導師を生み出した名門学校。シュベッツ学校。
マンドラ王国では、他にも魔法学校は存在しているがこの学校は他の学校とと比べ頭二つほど出ている事で有名だ。
修学期間は六年間……これはどの学校も共通だが中には、財政や、魔導師の人員不足などで四年間にしてすぐに魔導資格を渡す国もある。
「それにしても広い」
僕は、周りを見渡しながら口にする。
校門から校舎までの道がそもそも長く、横幅は人が三十人ほど並んで歩いても問題なさそうなくらい広い。
道の側にはベンチが設置してあり、朝なのに既に学生が座っていた。
シュベッツ学校の制服は、学年によってそれぞれラインの色が違う。
例えば、僕たち一年生は黒をベースとした制服に肩から袖辺りまで赤いラインが伸びていたりしているが、違う学年だと青・緑・黄・白・紫となっている。
周りには、赤色ばかりなので同級生だと一目でわかった。
周りの生徒は家族連れや友達と一緒に話しながら歩いている生徒も居た。
ファナさんも「愛しの息子の制服姿ぁあ! ハァハァ」と若干危なさそうだったから同行を拒否しておいた。
これから過ごす学校をゆっくり眺めていると、人だかりが出来ている事に気づいた。
「――っ!」
人だかりの中心には、アーガス家の人達が勢ぞろいしていた。
アーガス家の長女、イメア=アーガス。双子のバルスとクルトリア。
そして、アーガス家の現当主ハルス=アーガス--彼もそこに居た。
数年前の僕ならおびえ逃げていたかもしれないな。
僕は因縁の相手を見てそう思った。
――【只今より入学式を始めます。新入生は速やかに体育館に集合してください】――
学園中に放送が響き渡る。
僕は、その放送を聴いきて、体育館へと急いだ。
体育館に着くとほとんどの人が席についていた。
僕は、空いていた席に着く。
暫くすると全員揃ったようで、入学式が始まった。
開会の言葉から始まり校長の話と淡々と式は進んでいった。
――【続きまして、新入生代表挨拶です。今年度入学試験主席合格者ドロス=ケイリス】――
「はい!」
猛々しい返事が聞こえた。
「若い若葉ものび、桜は美しい桃色の花を咲かせまるで私たちの入学を祝ってくれているかのようにも感じます。――――」
その後も新入生代表挨拶は続いた。
僕は、後ろの席にいたから彼の姿は見れなかった。
それからも式は順調に進んで行き、最後の生徒会長挨拶にまで来てしまった。
――【最後に生徒会長挨拶】――
すると後ろからいきなり声をかけられた。
「おい、今年の生徒会長めちゃくちゃ美人らしいぞ!」
僕の耳元でそう言ってきた男は今まさに出てくるであろう生徒会長が立つ壇上を見つめていた。
僕はあまり興味がなかったため体育館をボーっと眺めていた。
しかし、僕は生徒会長の自己紹介で再び壇上に目が戻った。
「皆さん、ご入学おめでとうございます。生徒会長のイメア・アーガスです。さて、入学したみなさんは――」
壇上で生徒会長として姉さんは話始めた。
「以上です。改めまして皆さんご入学おめでとうございます」
――【以上で入学式を終わります】――
式が終わってから直ぐに、後ろの奴が話しかけてきた。
「んな! 美人だっただろ」
「あ、ああ。そうだね」
「ん? そういえばアーガス家ってもう一人御子息がいたよな。確か人類初の全属性適正者の、名前なんだったけ?」
「さ、さあ。僕はあまりそれは知らないかな?」
「ちょっとそこ! うるさいわよ静かにしなさい!」
前の席から、注意の声が聞こえた。
「ご、ごめん」
「なんだよ、折角話が盛り上がっていたのによぉ」
「まあまあ、悪いのは僕たちなんだから」
「しゃあねえ、すまんかったよ」
素直に謝ると許してくれたみたいで席に戻った。
「あ、そういえば俺の名前言っていなかったな。俺の名前はウザ、ウザ=ルサイだ」
「僕はレイノ=ランカスタ。こちらこそよろしく」
「オーケー、レイノ。所でこのあとクラス分けを見に行こうと思っているんだが、一緒にどうだ?」
「うん、同行させてもらうよ」
暫くすると解散の放送があったので約束通り掲示板にクラス分けを見に行った。
「二人ともEかぁ。よかったぜ、せっかく知り合ったなら一緒がいいもんな。んで、レイノは、どこかいい家柄かどこかの子供か?」
「はは、僕は普通の家の出だよ」
「そうか? なんか雰囲気が少し俺たちと違うぜ。そうだなぁ、例えるならば生徒会長とかと同じ雰囲気を出しているに似ているな。なんか上に立つ人のオーラが出ていたぞ」
「ないよそんなの」
僕は、少しはや汗をかきながらもなんとか笑ってごまかせた。
多分誤魔化せたはずだ……よね?
「いやあ、実を言うとさお前が今年入学してくるアーガス家の時期当主かと思ったんだぜ。さっきも言ったけど会長と似ているからな」
「――っ!」
今度こそ僕は動揺を隠すことが出来なかった。
完璧に縁を切ったつもりでいたのに……やはり切れないものなのか?
姉さんに雰囲気が似てる言われたとき確実に動揺してしまった。
どう足掻こうと僕は、レイノ=アーガスてわけか。
この事実が悔しくて、僕は教室に向かう足が重かった。
ファナさんには色々と報告しないと。
僕は、なぜここに通わせたのかほんの少しだけファナさんが考えていることがわかった気がした。
こうして、僕は今まで逃げてきたアーガス家と――アーガス家現当主ハルス・アーガスと再び対面するカウントダウンが始まった。