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さて朝飯を食べ終わったが、まずは、昨日採集した石を確認する為にザックから引っ張り出す。
色は全体は黒。中心部から放射状に虹色が広がっている。例えるならば、人の黒目の部分
と言えば良いのだろうか?
神秘的な色に見とれていると、放射状に広がった虹色の部分が明滅しだした。
『我は大地の聖霊王グノーシスなり』
???なんだ???
後ろ?を振り向いてみたが、もちろん違う。もう一度前を向いた途端、石が自然に手から離れたと
思ったら、額にぶつかり消えてしまった。何か違和感を感じ、眼を瞑ってもう一度開けてみる。
違和感が無くなってる。なんだったんだ、今のは?
『我をを取り込みし者よ』
って、誰の事?
『お主以外誰がおる』
確かに誰も居ないが…
取り込むって、さっきの石の事を言っているのか?
『そうじゃ』
で、その石がどうしたのだ!
『中々、そなたの素性面白き故、同化させてもらった』
同化って、別に変わり無いぞ?
『壁に手を当て集中してみるが良い』
半信半疑の状態ながらも、壁に手を当て集中してみる。
……………何かある。5mほど先に、金鉱床…銀も含まれている。
なんでわかったんだ?
『我と同化した事により色々出来るようになるぞ』
地中レーダーかよ!他に何かあるのか?
『土を操る力を得ておる。崩す事も、持ち上げる事も、掘る事など色々できる。
小手調べに先ほど探索により見つけた鉱脈まで掘ってみるが良い』
いやいや流石にこの岩を掘ろうと思ったら、鑿岩機が必要でしょう!
『鑿岩機?なんの事じゃ?範囲を指定して言葉にして見るのじゃ』
まぁ言われた通りやってみるか⁉︎
範囲は、自分が通れるくらいに指定してって、なんかひかりだしたぞ?
言葉は…[掘削]
ウオッ!岩石がこぶし大になってゴロゴロ転がってきた!
1m程度掘り進めて行ったら石が邪魔で入れなや。掘削ができるならこれもできるじゃない?
と言う訳で、移動先を指定して…崖下でいいか、、範囲を指定とっ!
[移動]…ゴロゴロ…なんかシュールだわ!
これを5回程繰り返し目的の鉱脈まで辿りついた。
ここまで約1時間。こりゃ参った、参った狸は眼を見りゃわかるって言うけど凄いなこれは…!
金鉱脈も同じく[掘削]ゴロゴロ…[移動]…ゴロゴロ…。
さてこれからどうするんだ?
『金を含んだ鉱石だけでは無価値じゃ!精錬をせねばいかんじゃろ』
もしかして精錬も出来ちゃったりするぅ?ヨシ!
[精錬]………………ピカッ!
びっくり仰天イタオドロ!3種類の金属と砂に分かれてしまっってる…。
2種類は想像つくが残りの1種類はなんの金属だろう?
きっとこれも出来ちゃったりしちゃったりするんだろうな。
[鑑定]…ミスリル99.99%ってミスリル?ってあれあのファンタジーな世界に良くあるあのミスリル?
なんでもありだな。これを集めて防具を作りたいもんだね、ウヒッ!ちなみに他の2種類も鑑定したら、
やっぱり金と銀でした。
量は…ザックザックと、ザックの中からキッチンスケールを引っ張り出し、目方でドン!
金が10銀が20gミスリルは1gでした。結構金の含有率高いみたいだし、期待出来そう。
『中々こなれて来たようじゃな、他にも色々できる事もあるが、要はお主がやりたい事を言葉にして
実行すれば良いだけじゃ』
質問しますが、これってなんの力を使ってるんです?
『お主の体に取り込まれた精霊素…お主の世界で言う所の【気】じゃな、それを使っているのじゃ。
お主には精霊素の容量が物凄いあるでの。どれ位かと言うと、この世界の一般人の1000倍はある。其れこそ聖霊並みじゃ。元々お主がおった世界はここほど精霊素が濃くないというかほとんど無い。その為精霊素を効率良く体内に取り込み溜め込める様になったのじゃろう。ちなみに今回の掘削から精錬までじゃが、掘削だけでも一般人は出来ない。地の精霊ノームでさえ掘削は掘削、移動は移動と分業している位じゃ!』
わかった様なわからない様な…。
まぁ子供の頃から毎日結跏趺坐をして来た事は無駄じゃあ無かったって事だ。
金儲けの手段より、これからの事を考えなくちゃならない。
薄々思っていたが、やはり元いた世界とは違う世界に来てしまったようだ。
今持っているものを確認しよう。まず食料だ。
今ある食料は、佐◯のゴハンが6個、戦闘食2型色々6袋、味噌汁のもとが一袋20個入り、缶のタクアン2缶
調味料が塩、胡椒、醤油くらい。精々ケチって1週間程度。
次に道具は、採掘道具として、ロックピックハンマー、4ポンドハンマー、バール
他にマタギ刀と棒手裏剣が10本、クナイが1本。あとはテントと寝袋にガス式のコンロ、チタン製の
食器くらいか。
喫緊の課題としては、食料の確保の為に周辺を散策してみるかな!