3,魔導師、魔力を動かす
何か三話~五話の予約投稿に失敗してましたすみません
母改めお母様の狩りに連れってもらったその夜。
僕は部屋で1人、魔法が使えないか試そうとしていた。
お母様が魔法を使うとき、彼女の体内で魔力が動くのはもう感知できる。お母様が読み聞かせてくれる絵本から得た知識が正しいのなら、感知できるということは僕に魔力適性、つまり魔法を扱う才能があるはずだ。
自分の中の魔力を探ってはや数時間。生まれて多分数ヶ月のこの身は眠気を訴えているが、しかし好奇心の方が圧倒的に強かった。
お母様の魔力はわりとすぐに感じられる。恐らく彼女の魔力総量が大きいためだろう。
対して自分の魔力は量が小さいせいなのか、匂いのように馴染んでいるためなのか、どうも感知できていない。
魔力の特徴と言えば、ぱっと思い付くのは春風のような暖かさ。
しかし今日お母様の上級魔法をすぐそばで感じたとき、嵐のような荒々しさで魔力が流動するのを感じた。
それはまるで、血の津波のような。
「……」
イメージしてみる。
自分の体の中を魔力が血のように巡っていると。
そしてそれが、荒ぶる様を。
「……」
ぐん、と。
自分の中で、何か熱いものが動いたのを感じた。
それはお母様の日向のような暖かさと雪原のような冷たさの両面を湛えた魔力とはまるで違う、荒ぶる熱湯のような熱さで。
その熱を、右手に集めるようとすると、特に抵抗なく動いてくれた。
「おー」
初めて感じた感覚に軽く感動する。できれば今すぐにでも魔法を使いたいが、何となく、僕の魔力はお母様のそれより酷く荒々しく熱っぽかったため、理性でその欲求を抑え込んだ。
お母様が読み聞かせてくれた絵本には魔法を暴走させた龍を勇者が討伐する、なんて話も存在したため、魔法を使うのはちゃんと成長してお母様に教わる時にしようと誓う。
ああ、早く魔法使いたい。