オリーブを食べるまで
やおら、彼は帽子を脱いだ。後頭部はまるで往年の元中日ドラゴンズのリー・ジョンボムのように楕円の形でハゲている。俺が一昨日延髄切りをおみまいした証だ。どうしてもむしゃくしゃした時って、生きとし生きている者は誰だってあると思う。ごくまれにない人もいるだろうが、その人にはきっとこの先10年間の間にその時が必ず来るだろう。また、今はむしゃくしゃした気分に滅多にならない、という人も、過去10年間は、絶対にむしゃくしゃしっぱなしだったはずだ。上司にいわれない理由でしかられたり、友人に勘違いされたあげく好きな女を奪われたり、恋人が自分の嫌いな奴のことを褒めたり、旦那に「俺の分の大根おろしはないんかい!?」と急に切れられたり、、、etc
俺が彼に延髄切りをぶっかましたのも、そんな感じの理由だ。全くとるに足らないような理由で。
この世にはバビロンシステムという、社会のしがらみと理不尽とがあって、その言うなれば人生の必要悪に出くわしていた時間は、俺が生きてきた25年間の、活動的に動いていた99,000(あくまで概算。計算方法は会ったときに直接聞いてくれ)の内、だいたい半分くらいになると思う。