零 逃走歯車(エスケープ・ギア)
特に言うべきことはない。
特に言うべきこともない。
零
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「逃げたぞ! 脱走者情報、品種四神獣、No.2エ……ク……キ! 総員に告ぐ! 直ちに捕獲せよ! 繰り返す! No.2エ……クが脱走! 直ちに捕獲せよ!」
その青年は未だ少年の面影を残していた。彼は走る。駆け抜ける。脇目も振らずに、ただただ走る。
身につけた軍服には、大量の勲章と中将の位を表すバッチがついていた。
腰には一振りの脇差、装飾を見ただけでかなりの業物ということが見て取れる。
しかし、彼は何故か逃げていた。その双眸は紅蓮を宿し、瞳の内は轟々と燃え盛っていた。
これより語られる物語は、蛇足になるかもしれない。必要ないものかもしれない。しかし語らないわけにはいかないだろう。歴史は紡がれ続けるのだから。
これより始まる幕は、人と人との醜い争いである。
十年前、人類の前に強大な敵が立ちはだかった。人類はいままで行われていたいざこざを締結させ、協力してそれらを撃退することに成功した。
それでハッピーエンドなら良かったのだ。だが、現実は違う。撃退後、我々は再び仲違いを始めた。
そんな話で良ければ始めよう。
——否、止めることなどできない。物語は既に、動き始めているのだから。
新シリーズ開幕です。
まだなにも書き終わってないくせに、なにやってんだこいつとか、言わないでください(笑)
書きたくなったんです。許してください。
次はファンタジーにチャレンジです。
よろしくお願いします。