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初夜をすっぽかされたと思ったら、崩壊寸前の公爵家と夫の隠し子を押し付けられました 〜旦那様は公爵家がいらないようなので、私がいただいても構いませんよね?〜  作者: ゆずこしょう
もう、あなたの居場所はここにはございません。

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まさかの事実。

「捕まえる方法が一つあるの。」


「まず侍女と従者を使って、この領地全体に私たちが王都に行っていると噂を流してもらうわ!」


二人の足でそんな遠くに行けるとは思えないから、きっとスフェレライト領のどこかに身を潜めているのではないかと思っている。


そこで領地全体に噂を流してもらう作戦だ。


この数年見てきたが、あの二人が頭がいいと感じたことはないから、上手く引っかかってくれるだろう。


「私たちがいないと知ったオディロンとレイナは、恐らくこの家にやってくると思うの。」


エリーとラルフお兄様は私の話を聞いて頷いている。


二人とも理解が早くて助かる。


「あの二人が来たタイミングで俺たちが捕まえるというわけか?」


「いいえ、あの二人が来たタイミングではダメ。」


「二人が作物や備蓄米、備蓄麦などを盗んだ瞬間に捕まえるの!!」


この世界にDNA鑑定なんてものは存在しない。


DNA鑑定が出来れば、二人が子供を捨てたと言う証明ができるが、いくら顔が似ていようが「自分の子供じゃありません!」と言われてしまえばそれまでなのだ……。


それに、あれだけ子供が小さいとなると、自分の親だと言ってもらうのは難しい。


なんなら言葉すら教えていないようだし……。


「なるほどな。現行犯という事か。それなら王族の俺がいるし、証人になれるだろう。」


「子供の件はどうする?」


「虐待していたのは確実だと思うけど、その証拠が無いのよ。」


「見たわけじゃないし……自分の子供じゃないと言われたらそれまでだわ……」


私にできるとしたら、オディロンが子供を袋に入れて捨てていったということを証言するまでだ。


そのときレイナはいなかったから、レイナが「私は捨ててない」と言えばそれまでだろう……。


ラルフお兄様も考えていたようで、ゆっくりと話し出す。


「その辺は少し難しいな。」


「証拠という証拠が揃っていればいいが、確実な証拠が無さすぎる。」


「俺たちの持てる証拠は三つだけだ。」


「一つ目は、カイトス、アルナイル、ステラを袋に入れて捨てたこと。」


「二つ目は、税金を横流しし、国に支払わず自分たちで使ったこと。」


「三つ目は、米や麦を盗んだ事だ……。」


「しかもこの中で厄介なのが一つ。」


ラルフお兄様の話を聞いていて、皆同じことを思ったのか声が揃った。


「「「レイナがやったという証拠がない……。」」」


そう。


この数年……動いていたのはオディロンと、レイナの親であるトンベリー・マラカイトであって、レイナ自身は子供を産んで、ただお金を使っていただけ。


しかもそのお金は上手いことトンベリーの名前を使っていて、レイナが使ったという証拠は見つからなかった。


「レイナは相当悪知恵が働くやつかもしれないな……。」


オディロンだって使われている可能性もあるかもしれない。


三人で今後の動きについて色々話をしていると、応接室の扉がゆっくりと開いた。


「三人で面白そうな話をしているじゃないですか。仲間に入れてくださいよ……。」


「「「フィリベール!?!?」」」


まさかの人物に皆の声が重なる。


「はい、皆の大好きなフィリベールですよ。」


「さっ、ここからは私も仲間に入れてください。」


仲間外れにされたのが少し嫌だったのか、いつもより拗ねているフィリベールを見て、思わずクスリと笑ってしまった。


「フィリベール。アクアマリン領の件はどうしたの?」


「それでしたら、ジェラルド様とフレデリク様が来ましたので預けてまいりました。」


「と、言うよりは二人に嫌な予感がするからスフェレライト領に行って欲しいと懇願された感じですかね。」


お父様とフレデリクお兄様がいれば、領地に関しては何とかなるだろう。


今はまだ野菜の収穫時期でもないし、あるとしても蒸気機関車の開通の話とか、道路整備とかの話がほとんどだ。


その辺は元々二人も関わっていることだから、安心して任せておける。


「そう……。お父様たちの嫌な予感は昔から当たるのよね。」


「今回もドンピシャよ。」


「あの二人……実は第三の目でも開眼しているんじゃないかしら……。」


私が冗談交じりに話すと、それを知っているラルフお兄様が「ブフッ」と吹き出した。


それから私たちは二人について改めて話し合いを始めた。


「まずレイナの件ですが……今回は放置しませんか。」


「今、下手に捕まえても、そこまで大きな罪を背負わせることはできません。」


フィリベールも裏で色々調べていたようだが、まだ確たる証拠がないらしい。


「ただ、恐らくですが……レイナは他の貴族の男とも関係を持っているみたいなんです。」


「オディロンは気づいていないと思いますが……。」


「私の予想ですが、人身売買に絡んでいたのはトンベリーではなく、レイナの可能性が高いのではないかと思っています。」


フィリベールは密かにホワイトベリル宰相に連絡を取ってくれていたらしい。


今もそうだが、アクアマリン領――元マラカイト領の周りには、小さい男爵領や子爵領が点在している。


大きくないということもあってか、昔から助け合って領地を繁栄させて来たらしい。


そのせいか、今でも懇意にしている所が多くあるそうだ。


「レイナには男性貴族の中に幼馴染が数名いました。」


「アウジリオ・アパタイト。」


「カルロ・オパール。」


「ジルド・カイヤナイト。」


「そしてメダルド・アレキサンドライト。」


「アレキサンドライト国の第三王子です。」


どの人も名前を聞いたことがあるような……ないような……って感じだけど、メダルド・アレキサンドライトは聞いたことがある。


かなりのクズだと有名だった。


確か海を渡った先の国がアレキサンドライト国だから、領地に来た時にでも知り合ったのだろう。


「恐らく、その四人とも関係を持っていて、さらに言えば人身売買に関わっているのもこの四人だと思われます。」


アレキサンドライト国に連れていかれたという事か……。


あの国は人身売買が禁止されていないし、この辺りの国で唯一奴隷制度が残っている国だ……。


「そう、そういう事ね。」


「隣国が関わっているとなると厄介だけど……この国ではこの国の法律が正だもの!」


「そこは揺るがないわ!」


「ただ、すぐに動けない理由がわかる……。」


「取り敢えず、あのクソ野郎だけ先に捕まえて去勢しましょう。」


「レイナについては泳がせて、クソ野郎共全員捕まえる作戦で行くわ……。」


何となく他の四人と関わりがあったということは……ステラは逆に言えば、オディロンの子供じゃない可能性が高いかもしれない。


だってこの国では珍しい黒い髪色だし……。


どうしてステラの髪色が黒なのか、ずっと疑問に思っていたから、やっと腑に落ちた気がした。


「……そう……。ステラはメダルド・アレキサンドライトの子供の可能性が高いのね……。」


「本当にクズはどこまで行ってもクズなんだわ……。」


アレキサンドライト国の王族の髪色は、黒髪で少し地黒だ。


今まで気づかなかった私も私だけど……。


本当に厄介な事に巻き込まれたと、ため息しか出なかった。

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