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対談。

「ジェラルディーナ・スフェレライト男爵。遠路はるばるよく来てくれた。」


「フィリップ・ホワイトベリル侯爵。先日はありがとうございました。本日はお招きいただき光栄です。どうぞよろしくお願いいたします。」


握手をすると、お互い対談の席に着いた。


私の隣にはフィリベール。


ホワイトベリル侯爵の隣には、フィリベールの弟であるベルリックが立っている。


「今回は鉱山の下見も兼ねているんだったな。心行くまで堪能してほしい所ではあるが、それ以外に話しておきたいことはあるか?」


今回ホワイトベリル領に来たのは、鉱山を見たかったのも一つだが、一番は何もせずに捨ててしまっているという、鉄鉱石のように固くて黒いと言っていたものだ。


私の予想が当たっていれば……恐らく石炭ではないかと思っている。


それが見つかれば……機関車事業が始められるのだけど……予算が結構かかるから、できれば共同出資としてほしいところだ。


「そうですね。ホワイトベリル侯爵に確認させていただきたいものがございます。以前仰っていた、廃棄してしまっているという黒い塊を見せていただきたいのです。」


「黒い塊だと? 構わないが……ベルリック、黒い塊は今手元にあったりするか?」


ベルリック様に確認をすると、机の上にことりと黒い塊を置いた。


「ありますよ。こちらでよろしいでしょうか?」


黒い塊を手に取って見てみる。


まじまじと石炭を見たことなんてないけど、確かこんな色をしていたような気がする。


それに他の石に比べて軽く、火をつければ燃えるという特徴があったはずだ。


私は一度石炭を持って外に出た。


何もないところに水と火を用意してもらう。


水はすぐに火を消せるようにするためだ。


私の行動を皆が不思議そうな顔で見ている。


「皆さん、私に近寄らないように、少し下がっていてください。」


皆が下がるのを確認してから、石に向かって火を近づける。


これですぐに火がつけば……。


………


火を近づけてしばらくすると、「パチパチ」という音と一緒に石に火がついた。


どうやら私が思っていた通り、使い道がなくて捨てていたのは『石炭』だったようだ!


「フィリベール! やったわ! これであの話が進められる。すぐに計画書を用意して頂戴!!」


フィリベールにカバンから計画書を用意するよう伝えると、急いで部屋に戻った。


「ホワイトベリル侯爵。鉄鉱石の鉱山とは別にもう一つ、事業計画のお話がございます。できれば他言無用で。うまくいくかわからないので。ですが、もしうまくいけば、スフェレライト領とホワイトベリル領の行き来が今より楽になるどころか、流通経路がよくなり収入源もあがる可能性があるのです。是非お話だけでも聞いていただけませんか!?」


石炭に出会えたことで、興奮して鼻息をふんふん鳴らしていると、ホワイトベリル侯爵がクスッと笑った。


「ハハハ。ジェラルディーナがそこまで興奮するんだ。とりあえず話だけ聞こうか。」


ホワイトベリル侯爵の言葉を聞き、先ほどいた部屋に戻ると、すでにフィリベールが計画書を準備していた。


フィリベールにありがとうと伝えると、ちゃっかり自分の分の計画書も準備している。


勿論、ベルリック様の分もである。


本当にこういうところは用意周到だ。


「では、今回の事業計画についてなのですが、『蒸気機関車』というものを作ろうと思っているのです。」


蒸気機関車について図をもって説明していく。


機関車とは二本の細い線の上をタイヤで走る乗り物のことで、馬車をさらに進化させたものであること。


それを走らせるには蒸気を利用することなどを伝える。


「蒸気機関車があれば、今まで馬車でかかっていた時間を大幅に削減できるだけでなく、たくさんの人を乗せたり、収穫した作物などを乗せたりすることができますし、お互いの領地を行き来できるようになるので、領地が今よりも栄える可能性もあるのです。今まで馬車で四日かかっていたような道のりであれば、一日まで短縮が可能でしょう。」


資料を交えながら説明をしていく。


ホワイトベリル侯爵にも興味を持ってもらえたようだ。


「四日かかっていた距離が一日だと!? それはもはや世界の移動手段全てがひっくり返ることになるぞ!?」


そうは言われても、すぐに全領地を繋げるつもりはない。


特にマラカイト子爵のある辺りは、何と言われようが作る気はない。


「はい、そのためにはいくつか準備が必要になります。」


まず機関車を走らせるレールが必要になることから伝えていく。


ホワイトベリル領からスフェレライト領までの間をすべて繋げなくてはならないため、他の領地にもレールを敷く許可が必要であることを伝えた。


「レールに関しては土壌改良法と含めてお話をするつもりです。そのために帰ったらフィリベールには招待状を送ってもらいます。次に必要なのが……蒸気で機関車を動かすために必要な燃料です。それが……こちらの石炭と呼ばれるものです!」


先程もらった石炭のあまりを机の上に出す。


そう、蒸気を起こすためには火が必要で、その火を作るのは石炭が一番使いやすいのだ。


すぐに燃えるし、火もつきやすい。


「こ、この捨てることしかできなかった塊が、捨てずに利用できるということか!?」


きっと今までにもたくさん出てきていたのだろう。


捨てても捨てても出てくるから、廃棄するのはとても大変だったはずだ。


「はい。そういうことです! 機関車を動かすには、この塊こそが動力源となるのです! ですので、まずは試しにスフェレライト領とホワイトベリル領を繋げてみませんか!?」


これが上手くいけば、よその領地で作ったお米なども素早く手に入れることができるようになる。


できたら素晴らしい領地改革……いや、国全体の行事になるかもしれない。


私の話を聞いたホワイトベリル侯爵は、結構前向きな方なのか、軽いノリで「いいよ! やってみよう」と返している。


国王陛下と謁見した時にも思ったが、見た目とは裏腹にかなり活動的な姿に吃驚してしまう。


そこから先は話がどんどん進んでいき、日が暮れるころには機関車についての話がまとまっていた。

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