表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

4:行商人 兼 便利屋

開拓者(シーカー)への切符を手に入れた俺たちはモロッコと相談したうえでリスポーン地点を極東の未開拓エリアにすることを決めた。

エリアはハニカム型になっており六方向を他エリアに囲まれるような構造になっている。

パスレコマップ東方はほとんど都会派(シティーズ)領地になっており、俺らのリスポーン地点である未開拓地:E22は二辺が都会派(シティーズ)領地、残りの四辺が未開拓エリアとなっているのだった。


全て初期装備、アイテム欄には使用済みのコンパスしかもっていない俺らはE22のリスポーン地点にワープした。

この未開拓地店のリスポーン地点はエリアの左端、神殿のような作りになっており一応モンスターや他の勢力は入り込めない安全地点になっているようだ。

そんな神殿を出てマップの中心地を目指し数分歩いた俺たちは一つの問題に気付いた。

「こんな森林で装備とかアイテムとか、どうやって揃えるんだ…?」

通常のVRMMOであれば最初の地は城下街が鉄板、そこら中に程ほどの品ぞろえの露店が立ち並んでおり、大抵は初期所持金で最低限の準備は整えられる。

しかしE22は未開拓地、周囲は森林、露店はおろか世界観を語るおなじみのNPC一人すら見当たらない。

周囲を見渡し次の行動を考えていると、リコが俺の袖を何度か引っ張り俺の注意を惹いた。

「こういうときは、チュートリアルって、書いてた」

「書いてたって、何に?」

「攻略本」

「攻略…本…だと…!?」

今時攻略本なんてキャラクターの設定資料集、並びに原画集のおまけ程度の内容しか載っていない熱狂的ファンが公式にお布施するためのトークングッズ。

リコ…まさかお前…情弱なのか…?

「響の足引っ張りたくないから、準備してた。私、ゲームあんまり、やったことないから」

「…リコ」

リコ…なんて健気なんだ……情弱なんて言った俺を殺してくれ。

一人で自己嫌悪に陥っている俺をよそに、リコは自身のゲームメニューからチュートリアルを確認している。

とあるチュートリアルを確認したであろうリコは握り拳をつくり、そこから人差し指と親指を伸ばして両手で横型の長方形を作る。

「…それは何ができるんだ」

「こうすると、モンスターの解析ができる、らしい」

「ほうほう」

俺もリコをまねて両手で長方形を作る、すると視界には『枠内にモンスターを収めてください』という文字が表示される。

「モンスター解析にひと手間必要になる運営の遊び心は嫌いじゃないが、戦闘中に使うにはちょっと慣れが必要そうだな」

「モンスター名:ラージリザード、レベル12、属性:葉、だって」

「名前だけじゃなくて、レベルや属性までわかるのか!敵に出会ったら自然に解析できるようにクセづけていかないといけない、かも、な…」

振り向くとリコとでっかいトカゲがいた。

カラダは苔むしたようにこびりついた緑色で、体躯はリコのアバターを少し上回るくらいの大きさだ。

「どうやって、攻撃するんだろう」

そういいリコはチュートリアル一覧から攻撃の欄を探す。

「いやいやいや!」

俺は大急ぎで彼女の体を担ぎ上げ一目散に逆方向に走り抜けた。

「おーすごい、響、力持ち」

「っお前、やけに重いな!そんなアバターにするから!」

それを聞いたリコはとてもうれしそうに鼻息を鳴らす。

「お前!多分喜んでるだろっ!」

顔は見えないがわかる、こいつは何か嬉しいことがあるときは闘牛のように鼻息を荒くする。

「重くて大きい、すなわち強い」

「馬鹿だろお前!」

そんなアホなやり取りを交わしながら俺は完全にスタミナゲージが切れるまで走り続けた。

大分走ったつもりだったがここは森林、まったく背景が変わった様子はないが巨大トカゲが見当たらなくなったためとりあえず逃げ切れたとしよう。

全力疾走したのなんて何年振りか、絶え絶えなく息切れし疲れ切った体とは反面、俺の心は高揚していた。

「ていうか、VR空間でも息切れするんだな…スタミナゲージがそのまま体の反応のパラメータ軸にでもなってるのかよ…」

「響、普通に走ってた」

「え、マジ?」

どうやら俺はこの空間でのみ足の不自由を克服したようだった。


試しに何度も小走りしてみてもかかとからつま先までしっかりと地面に着く事が出来た。

火事場の馬鹿力か、とっさのことで意識はしていなかったがVR空間で与えられた何不自由ない脚を地面につくことを克服したようだ。

パスレコに入って最初の方は歩行や小走りはできたものの、しっかりと足裏を付けることができず何だかぎこちない動作だったからな。

現実では脳から伸びた神経に問題があるためこうはいかないが、リハビリもといイメージトレーニングは完遂したといっていいだろう。

しかし…

「何だか、実感がないな…」

「何の話?」

「脚だよ脚、VR空間限定だけど歩けるようになったっていうのにあんまり感じないんだよな。感動とか…」

「…」

実際、こんなもんなのだろうか、物事か変わる瞬間ってのは。

「それはきっと、現実で本番が控えてるだけ」

「本番?」

そう聞き返すと、リコはただ「そう」と返した。

いつもよりも少し食い下がるリコの姿に少し違和感を感じつつ、俺はただ「そうかもな」と相槌を返す。

「それよりあのトカゲ、レベルが12もあったな。今の俺らじゃ倒すのはおろか数分も持たないかもな…まさか、あれがエリアボスだったりして…」

「それはないと思う」

「ん?」

彼女の目線の先を追うと、そこには青い飛沫が上に漂っていくエフェクトを帯びた光の固まりがあった。

「なんだこれ…」

かがんでそれを手に取ると文字が浮かび上がるとともに光の塊が収縮し物体の実像が現れた。

俺はその文字を読み上げる。

「素材:ラージリザードの皮…ってドロップアイテムかこれ!?確かあのオオトカゲもラージリザードって名前だったよな…」

「たぶんあのトカゲは一般モンスター、そして誰かがこのアイテムを捨てた。ドロップアイテムは自動的にストレージに入るから、拾い忘れってことはないと思う」

あんなでかいモンスター倒して素材は捨てるって、素材に価値はないってことか…?

いや、もしくはあのラージリザードとかいうのはさほど強くないか、またはレベル12を足蹴にしてしまうような高レベルプレイヤーがいるという可能性もあるな。

落ちているアイテムを拾い上げてみるとすごい速度でストレージが埋まっていく。

「うおっ、何個も同じ個所に集まっていたのか…って201個!?」

一体何体ものトカゲを倒したのかというのはともかく、どうやらこの世界に不法投棄という概念はないらしい。

アイテムストレージからアイテム詳細を開くと、詳細が表示される。

「武器・防具用素材、追加属性付与不可、売値:280コイン、か。とりあえず街か何かがあればこれを全部売って装備をそろえられるんだけどな~」

「未開拓地だから街、ないね」

「ないな~」

街が確実にあるであろう都会派(シティーズ)領地を目指してもいいが、それまでにモンスターに遭遇しないとも限らない。

ワープも一度立ち寄ったエリア、もしくは自身のリスポーン地点にしか出来ない。

早速詰みかと思われかけた瞬間、後方の茂みから物音が聞こえた。

瞬時に身構えその物音の主が姿を現すのを待つと、そこには常軌を逸した大きさのバックパックを背負った小柄の女の子が現れた。

身長は現実のリコと同じくらいだろうか、頭にはゴーグル、腰にはホルスターを身に着けていることから俺たちと同じビギナーではないことが一目でわかった。

こちらに気づいた女の子は警戒する様子も見せず、フレンドリーに話しかけてきた。

「やあやあ。君たちビギナーだろ?何してるんだい」

まあこんな武器も防具も装備していない姿をみたらさすがにビギナーだってわかるか。

「いや~ちょっと手詰まりというか、困っていて…」

「ん?」

「装備とかどうやってそろえようかなって…一番近くの都会派(シティーズ)領地まで行こうにもここからは少し遠いし」

「あ~なるほどね。君たちスポーン地点で開拓者(シーカー)を勧められた口だろ」

「え!?あ、もしかしてお姉さんも」

「いや僕は違うけど」

こいつ、一人称僕かよ。

「そもそも僕は開拓者(シーカー)じゃないしね。僕はれっきとした田舎派(ビレッジャー)だ」

田舎派(ビレッジャー)がどうしてこんなところに?ボーナスバフもないから危ないはずじゃ」

「まあそれはそうなんだけどね。いざとなれば脱出(エスケープ)っていう魔法で逃げることもできるし、ボス以外は大したことないからさ。危ないって程じゃない。それより君たちのことだけど」

彼女がそう言いかけた瞬間、俺らを追いかけてきたであろうラージリザードが木々の隙間から姿を現した。

一瞬竦んでしまった脚に力を入れた瞬間、背後からのつんざくような轟音が聞こえたと共にラージリザードは倒れてしまった。

彼女が銃を構えているその姿を見て、音の正体が銃声だと気が付くのにさほどは時間がかからない。

抜かれた銃は彼女の体には似つかわしくない程に、普通の拳銃よりも一回り大きく銃身は彼女の手首から肘程の長さがあった。

「急に撃ってごめん、うるさかったでしょ」

そう言い彼女は慣れた手つきでホルスターに銃を戻す。

「いや…問題ない…」

俺は驚愕していた、現実では体験できない間近の銃声と体に感じる空気の震えよりも、彼女の超人的反応測度による早撃ちとたった一発の銃弾でラージリザードを倒してしまったその攻撃力に。

「あれは銃火器さえ持っていればさほど苦労はしないよ。銃火器のほとんどは火属性に分類されるから、森林系エリアで遊ぶのなら一丁は持っててもいいかもね」

「属性…あの、やっぱりお姉さんもエリアボスを攻略しにきたのか?」

こんな小さな女の子アバターにお姉さん予備は少し違和感があるが、ここはプレイヤーキルが許可されている未開拓エリア。

言葉遣いで敵を作るわけにはいかない…というかこいつ、こんなナリをしている癖に妙な迫力があるな。

「いやいや、そんな無謀なことはしないよ」

「無謀って…一撃であいつを倒せるくらいなら、エリアボスも視野に入ってくるんじゃないのか?」

「いや~エリアボス討伐は開拓者(シーカー)の特権だよ。所属ボーナスバフなしじゃあ全く歯が立たない。ここには商売にきたのさ、僕はミナモ。君たちみたいな開拓者(シーカー)相手にアイテム売買をしている行商人兼便利屋、よろしくね」

「俺は、えーと」

そういえばゲーム内のハンドルネームを決めるのを忘れていた。

モロッコの時にはうっかり普通に響って名乗っていたけれど、これからは流石に本名は避けるべきか…?

リコに歩み寄り小声で相談しきった後、改めて俺はミナモに名を名乗った。

「俺はフブキ、こっちのでかいのはロコ、こっちに来て一時間も経たない初心者(ビギナー)だ。よろしくな」

「ロコです、よろしく」

我ながら安直すぎる名付けだが、こういうのはシンプルでいいんだ。

あんまり凝った名前を付けてしまうと、ふとした瞬間に恥ずかしい思いをしてしまうからな。

「よろしくね!僕はいつも未開拓エリアをぶらぶらしているから、なにか必要になったり不要なものがストレージを圧迫した時なんか声をかけてくれよな」

「そういえば、さっき素材アイテムを拾ったんだけどこういうのも買取してくれるのか?使い道もよくわからないし、街にも行けそうにないから早めに売ってしまいたいんだけど」

ストレージウィンドウを見せると、ミナモはふむふむといいながら一覧を隅々まで眺める。

「さっき見せた通りラージリザードはさほど強いモンスターじゃないんだけど、この皮はまあまあの需要がある。剣士ビルドに必須の皮鎧だとか寒冷地用の防寒装備とかに必要になるんだけど、要求個数が多いからね。市場では平均で150コインくらいで取引されている。表示売値を下回る額だけどね、201個まとめ売りなら気持ちもつけて31,000コインで買い取るよ」

表示売値を下回るのはこういったMMOゲームでは当然あり得る。

恐らくベテランプレイヤーであろうこの女と親交を深めるという点でも、多少損をする可能性はあるが取引はしておいてもいいかもしれない。

「よし、じゃあそれで頼む」

「あいよ!じゃあトレードリクエストをそっちに飛ばすから確認の上でOKしてくれ」

トレードリクエストのウィンドウを確認し、個数とコインに間違いがないことを確認したうえでOKを押下する。

「よし!これで取引は完了だ!あとはなんか必要なものがあればそのコインで買っていきなよ、転ばぬ先の杖っていうしさ」

「それでいえば、装備の在庫はあるか?俺もロコも丸腰だし、できればどういったアイテムがあるかも教えてもらえると助かる」

「ハンマー、ある?」

リコが唐突に口を開いたかと思えば、なぜにハンマーなんだ…

お前は本当に小学四年生の女子なのか…それとも今のガキはそういうものが流行っているのか…?

「ハンマーもあるよ!」

あるんかい。

「今の手持ちの武器としてはレア度低めのハンドガンが4丁、互換性弾薬が500発分、剣…はないな、無属性ハンマーがひとつ、毒属性ナイフとかワンドとか、色々あるよ!」

「ワンド?」

「ワンドっていうのは、魔法攻撃力を増強する武器だね。なくても魔法は使えるけど、攻撃魔法メインの人は良く装備しているよ」

「杖かあ…」

杖はいいかな、現実で常についてるし。


数分間武器や防具の説明を受け、リコはハンマーと銃と鋼鎧装備、俺はとりあえず銃と毒ナイフ、基本防具のみを買った。

「フブキくんはハンドガンと毒ナイフで戦うのかい?このハンドガンもナイフもどちらかといえばサブウェポン寄りだし、メインにするなら剣とか大口径銃だったりとかがいいと思うけどな。まあどっちも僕の手持ちにはないんだけれど、今後武器を揃えるときに検討したほうがいいかもね」

「今のところしっくりくる武器がないから、これからいろいろ触っていこうと思ってるよ」

素手でも一応は戦えるらしいし、無理に武器を選んで道を狭めることもないだろう。

これからレベルを上げてスキルツリーも開放していけば、今は見えていない道も見えてくるかもしれないしな。

「さて!装備はそろったし次はアイテムだ!アイテムはある意味装備よりも重要になってくる。特に脱出(エスケープ)のカードとかも一枚は持っていてもいいと思うよ!」

脱出(エスケープ)って魔法だろ?」

「そう!けれど魔法ってのは大抵カードっていって同じ効果を発揮する一度切りの利用アイテムが用意されているんだ。これなら魔法を習得していなくてもストレージから利用するだけで効果を受けられるからね。脱出(エスケープ)のほかにも加速(アクセル)回復(ヒール)強化(フォース)なんかもあるよ」

一通りカードの説明を受けた俺たちは、品ぞろえのカードを一枚づつ購入した。

移動速度にバフをかける加速(アクセル)、範囲内に持続でHP回復効果を付与する回復(ヒール)、筋力値増強効果を付与する強化(フォース)、ある意味どれも必須級のように思うが今の所持金では一枚づつ購入するのが限界だった。

「毎度あり!また困ったことがあれば声かけてくれよ!これ、僕のコールカードね」

どうやらこのコールカードを使うと、離れた場所にいたとしても会話ができるらしい。

他勢力同士の人間が合流するときは、これで位置を確かめ合うようだ。

「同じ勢力所属ならプレイヤーメニューからメッセージを送れるけどね。まあ開拓者(シーカー)同士はその機能も使えないけど。本当にかわいそうだよね、開拓者(シーカー)は」

その瞬間、俺はミナモにあった時に感じた違和感を思い出した。

「そういえばミナモ、最初に言ってただろ。誰かに開拓者(シーカー)を勧められたんじゃないかって。なんでわかったんだ?俺たちは開拓者(シーカー)だって名乗りもしなかったのに」

「わかるよ、そんなの」

ミナモはそういい、ため息をついた後少し頭を掻き話し始めた。

「まず初心者装備で未開拓エリアをさまよっているのは確実に開拓者(シーカー)だ。他勢力であれば自分の陣地でレベリングをして装備を整えてから未開拓エリアに出発する。そして普通の人はこのゲームを始めていきなり開拓者(シーカー)にはならない、何かの手違いがない限りはね」

「新天地のコンパスも手に入りにくいってことだし、ほとんどの人は二大勢力に所属するってことか」

「…言いにくいんだけど、新天地のコンパスは別にレアでも何でもないんだ」

…ん?

今なんて?

「多分君たちはスポーン地点で開拓者(シーカー)になるのは難しいだとか、そんな説明を受けたと思う。けれど、実際手順が複雑なだけで開拓者(シーカー)自体は誰だってなれてしまうんだ」

「ちょ、ちょっとまて!それは、新天地のコンパスが手に入る前提の話だろ?そのコンパスを手に入れるのが難しいって話じゃ…」

「初心者応援プレゼントボックスからは確定で新天地のコンパスが手に入る。あれは新天地のコンパスの配布だったんだよ。もちろん、ストレージボックスからコンパスを選択した状態でマップを開かないと未開拓地をリスポーン地点に設定できない、つまりは開拓者(シーカー)にはなれない。手順こそ複雑だけれど、権利は全プレイヤーが満たしていると言える。一度リスポーン地点を設定してもレベルを10まで上げてアイテムを使えば再度設定しなおせる。ゆえに、現状誰でも開拓者(シーカー)になれてしまうんだ」

「…マジか、じゃあいったい何のために」

俺の言葉を遮るように、ミナモは言葉を放つ。

「何のために君たちを開拓者(シーカー)にしたのか。理由は一つ、難易度緩和措置だ。一定人数のプレイヤーがエリアボスに敗れたとき、難易度緩和措置が取られる。エリアボスのHP、攻撃力の低下、攻撃パターンの緩和、ってな感じでね。要するに君たちがエリアボスに負けることを奴らは望んでいるわけだ、自分たちが直接攻略するために。それに君たちがエリアボスと対戦すれば、奴らは君たちからボスについて情報を得ることもできる。万が一君たちがボスを倒しても、取引は優先的に受けられる」

「…」

全て合致がいった、今まで言葉にならないような違和感がまとわりついていたが、これで納得がいった。

「別に新天地のコンパスはレアアイテムでもなんでもなかったってわけか…」

「まあレアはレアだよ、入手経路は限られているわけだしね。それに奴らは大手攻略サイトにも圧をかけて開拓者(シーカー)に関する情報を徹底的に統制している。悪質な奴らだよ、まったく」

「…ってことは、この未開拓エリアにも結構な数の開拓者(シーカー)がいるのか?」

「いや、それはないね。領地を変えると領地継続ボーナスがリセットされるからね、大抵の人は二大勢力から離れない」

「…なら、今から頑張ってエリアボスを倒せば、俺は領地持ちのトップランカーになれるってことか!」

「…ん?」

リコもうんうんと頷いている、やはり考えることは一緒のようだ。

「き、君、話を聞いていたかい?二大勢力ですら難易度緩和措置を待つほどにエリアボスは強い!それに君たちのステータスはほぼ初期値だ!このエリアのモンスターのレベルは平均15、一体目を倒すにも何日かかるか…」

「それに関しては、俺に考えがある」

「考え?」

そう、高レベルモンスターしかいないこのエリアでのレベリングについて俺にはささやかなアイデアがあった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ