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第69話 第十王子シン・フェイの視点12

 正妃と第一王子からの唐突なお茶会。

 嫌な予感しかなくて、プランAを考えた自分を恨んだ。まさか城に着いて使うとは思っていなかった。「誰だ、こんなん考えたの!?」と、叫びそうになり、それが自分だと思い出して苛立ちさが増した。


(ソフィが自分も何かしたいというので、プランだけでもと作ったものが、真っ先に使われるとは……)


 そわそわして、いても立ってもいられなくて、何度部屋を飛び出そうかと思ったことか。そのたびに「部屋で待っていて欲しい」とわざわざ出かける前に部屋に寄ってくれたソフィのことを思い出して、耐え抜いた。

 その結果、彼女は完璧な女王の顔をしたまま戻ってきた。


(ソフィ……!)


 過呼吸に陥るほどソフィは無茶して、弱々しくて、このまま死んでしまったらどうしようかと思った。それでなくとも『原初の魔女』の魔の手がいつ襲ってくるか分からないというのに。不安にさせては敵の思うつぼだ。


「ソフィ」


 抱きしめると彼女の温もりは温かくて、小動物のように震えている姿が痛ましく、できるなら私が代わってあげたい。時間が経つにつれて震えは収まり、呼吸も規則正しいものへと変わっていった。

 うつらうつらし始めたソフィの体温は少し暖かい。


(眠そうな顔も可愛い。真っ先に私の所に来て、私の傍で落ち着いて、気を許してくれて──本当に、可愛くて、愛しくて、好きだ)

「ん……」


 ソフィは無意識なのか私に擦り寄って、眠るための落ち着く場所を探している様だった。その仕草も見ていてほっこりとする。


「ここは安全で、温かくて、大丈夫」

(ああ、よかった。あの自称聖女の一件で信頼を失ってしまったから、また積み上げていくしかないと思っていたけれど──これなら)

「……どうやらわたしは、フェイがいないとダメに……なってしまう……わ」

「!?」


 危うく「私もだ」と声を上げそうになったのを必死で堪えた。


(可愛い──! ダメだ、私の婚約者が可愛くてつらい──っ!! なんでこんなに可愛いんだ? しかも呼び捨て、初呼び捨てだぞ! た、耐えられない、可愛すぎる、つらい。この素晴らしさを誰か──いや、誰にも分かち合ってたまるか)

「すう……」


 ふにゃ、と笑うソフィが好きで、ずっと笑っていて欲しい。

 今日みたいに泣いて、怖い思いをさせたくない──が、私を頼ってくれるのは嬉しくてたまらない。不謹慎だが、それでも手の届く場所にいることが、幸せでならないのだ。


「大丈夫。貴女がゆっくり眠れるように、害虫は駆除しておくから」

「殿下」

「来たな」


 楊明とその部下が音もなく姿を見せる。いつもと異なり楊明のいでたちは黒装束に身を包んでいた。私はソフィを抱きかかえたまま寝室へと移動させる。着替えなどはいつの間にか戻ってきたローズがしてくれるだろう。


「ローズ、後は頼んだ」

「はい」


 流石に私が着替えさせるわけにはいかなかったので、ありがたかった。ローズは妖精でもあるので、ソフィを浮かせながら引き取る──はずだったのだが、ソフィの手は私の服を掴んで離さないのだ。


(え。なにこの可愛い生き物)


 身悶えするのを全力で耐えた。

 ソフィの掴んだ手は、力を入れれば簡単に振りほどける。数秒待ってローズは首を横に振った。


「姫様は貴方と離れたくないようです。……妥協案として着替える間、目隠しをしていただいてもよろしいですか?」

「目隠しなど不要──いや、すぐにやってほしい」


 本音が漏れたが、なんとか言い直せた。ローズは僅かに眉根を吊り上げたものの、小さく頷く。


「──ということで楊明、この部屋に暗殺者が何人来る予定だ?」

「とりあえず斥候で一人、暗殺者の人数は七人でしょうか」

「私が居なくても?」

「むしろ殿下がいると後片付けが面倒なので、その場にいてください。可能なら手駒にしたいので」

「ソフィを標的にした時点で、五回は殺したい」

「『手駒にしたい』って言いましたよね」

「はあ。……わかった、任せる」

「かしこまりました」


 ソフィが離してくれないのだから、しょうがない。何を優先すべきかなんて最初から決まっている。私は彼女の掴んだ手に自分の手を重ねた。



楽しんでいただけたのなら幸いです( ´艸`)!


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