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第68話◇

「さてそろそろ戻りますか?」


 私がそう声をかけると工藤さんが振り返った。


「すいませんもう少しだけ試したいことがあるんですけどいいですか?」


「別に構ませんけど」


 一体何を試そうというのだろう。

 そう思っているとに近づいた工藤さんがスキルを発動した。


「……『水上歩行ウォーターウォーク』」


 彼女がスキル発動すると私たち4人の足元が一瞬だけかすかに光った。


「もしかしてこのスキルは…」


「はいっ以前戦闘でも使った水の上を沈まずに立って歩けるようになるスキルです。もちろん走れますよ」


 工藤さんの言葉を聞いて早速アヤメが水を上に立ってみる。

 普通に立てた、少しフラついたけど。


「これはなかなか面白いスキルね」


 次に月城さんが少し慣れないような感じで立ってみる。

 そして私と工藤さんも海面に立った。


「殆ど波がないのに…立つのも難いです」


「慣れれば大丈夫よ、それに結構楽しいんだから」


「水の上に立つなんて少し新鮮だね」


 さてっ工藤さんは私たちにまでスキルを使って一体何がしたいんだろうか。

 我々はしばし海面を歩いて進む。

 工藤さんが我々の数メートル前と進んでこちらに振り返る。


 そこでふと気づいたのは満天の星空、そしてその夜空の輝きが強く波が少ないからなのか海面にもその光が映っていた。


 そこに立つ工藤さんはさながら星の空を飛んでいるようだった。

 妖精的な存在に見えた。

 思わず見とれてしまった私だ。

 そんな私を横目にアヤメと月城さんも工藤さんの隣に進む。


「この辺りまで来ると島からの光がほとんどないから本当に星空の光がハッキリしてるでしょう?」


「はいっ星の光が海面に反射してますね」


「うんうんワタシたちのダンジョンながらなかなか綺麗じゃない、こういうのも悪くないかな~」


 そう言って3人は近くに集まっている。

 何と言うか、かなり幻想的な光景に思えるのは3人が3人とも美女だからなのだろう。


 同じ場所にアラサーがいるというのが 少し不釣り合いな気がしてきたな、まあいいか。

 多分こういうのもこのダンジョンも手に入れたことの役得の一つだと思うことにする。


 彼女たちが何かしら会話をしている。

 どんな会話をしているのか気になったが、さすがにここで聞き耳を立てるのもあれだろう。

 少し距離をとって波の音だけに集中するか…。


「それじゃあ本当に一河さんがこのダンジョンの所有者はなんですか?」


「その通り、ヒロキ君はすごいんだから~」


「本当にね、見た目は普通に優しそうなおじさんなのにね」


「その通りですね」


 おや?

 何故か心にほんの少しのダメージが来たような。

 気のせいだよな、きっと気のせいだ。

 私は全集中で波の音を聞くことにした。


「どんどんその姿を変えるこのダンジョンを誰よりも楽しそうに探索している姿を私も何度も見たわ、正直少し尊敬してるの」


「そうなんですね」


「ちなみにヒロキ君はこのダンジョンでは最強よ? スケルトン軍団も瞬殺してイフリートも瞬殺してスケルトンキングも瞬殺するくらい強いんだから~」


「さっ流石にそれは嘘では…?」


「何ですって~~信じてくれないの~!? このっこのっこのっ!」


「やっやめて下さいよ~~~!」


 アヤメが月城さんの肩を前後に揺らしている、ケンカでも始めたのかな。

 ここは止めに入るべきなのか?


「あっ亜梨沙さ~ん」

「ふふっそれも本当の事なのよ」


「えぇっ!?」

「そうよ、ワタシ嘘つかない!」


 あっ落ち着いた。

 果たしてどんな会話をしているのだろうか。

 私もまた星空を見上げながらそんなことを考えていた。


 そして翌日の朝。

 月城さんは今日は休日をもらっているということであり昨日の晩は我が新居に泊まってもらった。


 流石に一人で寝るというのはあれだから工藤さんも今日は休みということだったので2人でお泊まり会をしたらしい。


 そこにアヤメも入り込んできたそうた、なんやかんやと仲が良くなって私も嬉しい。


 私はワゴン車の方で寝た。

 朝起きて新居の方で顔を洗って歯磨きをしているとハルカから朝ご飯の準備ができたと言われたのでに再びダンジョンの方に向かう。


 そこには工藤さんと月城さんもいて合計5人での朝食となった。

 この朝の時間帯からこれだけの人数がいるというのは珍しいな。


「おはようございます一河さん」

「おはようございます」


「おはよう月城さん、工藤さん」


「おはよ~」

「おはよう、アヤメ」


 朝の挨拶、これは大事だよね。

 朝食の時もあれこれと会話をしながら 食事を進める。

 その結果、今日は朝の海の方に行こうという話になった。

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