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第53話◇

「ほっ本当に温泉がありますね…」


「ですね、私も最初に見つけた時は驚いたよ」


 その日はダンジョンに来た工藤さんを連れてあの火山の温泉に来ていた。

 他のメンツは忙しくて来れなかったので先ずは彼女1人だけでもと温泉に案内したのだ。


 ダンジョン内ならハルカの瞬間移動で一瞬だからね。


 実は昨日この温泉を見つけてから他にもないかと思っては探したら、なんと更にもう一つ新たな温泉を発見したのだ。


 この火山は温泉火山だった、今度から温泉火山の名称で呼んでいく事を布教しようと思っている。

 ちなみもう一つは露天風呂的な感じであった。

 後で工藤さんをそっちの方にも案内しようと思っている。


「まさかダンジョンに温泉があるなんて、探索者として幾つものダンジョンに行きましたが初めてですよ」


「ええっいくらダンジョンでも滅多にあることじゃないわね」


「ここはモンスターが襲ってくる事もないし、この温泉にも実際に入ってみたけど気持ち良かったよ」


「あっもう入ったんですか?」


「そりゃあね」


 昨日発見した時にハルカにも安全だと確認をして速攻で入った……アヤメが。

 私がハルカに話をしに行ってる間の凶行であった。

 お陰で出遅れた私は洞窟の外で強制的に待たされてしまった。


 あの時ほどアヤメめ許さん!

 と思った事はなかったな。

 日本人は温泉をお預けされるのを何より嫌うのだ。


 それは工藤さんも同じだ。

 だって目の前にいる彼女はとても入りたそうにしているから。


「あっ実は他にも温泉が見つかっていて、そっちも見に行く?」


「その温泉はどんな感じてなんですか?」


「露天風呂かな」


「行きます!」


 食い気味で工藤さんが返事をした、ハルカにお願いして露天風呂の温泉の方に瞬間移動をしてもらった。


 瞬間移動した先は火山の中腹辺りで山肌が段々畑みたいになっていてそこに温泉が湧き出ている場所だ。


 結構標高の高い場所なので露天風呂からの景色も悪くない。

 こんな所で一杯やれればとても心がリフレッシュするだろうな。

 いつかやってみょうと思う。


「あっ亜梨沙ちゃんにヒロキ君もきたの~?」


「アヤメさん!」


「……………」

「……………」


 アヤメがいつの間にか先に来て露天風呂を楽しんでいた。

 本当に行動が速いな君は。

 どこまでもフリーダムなダンジョンコアの片割れを横目に工藤さんがこちらをチラチラ見てくる。


「あっ入るならどうぞ、私はハルカに頼んでさっきの温泉に入りますから」


「おっお願いしま」


「え~~4人で入れば良くな~~い?」


「エエッ!?」


「真に受けちゃ駄目だよ、アヤメも工藤さんを困らせないようにね」


「は~~い」


 アヤメの悪ノリには困ったもんだ。

 顔を赤くする工藤さんをその場に残して私とハルカはさっきの温泉に戻った。


「ヒロキさん、私も入りたいのだけど」


「………」


 ハルカには向こうの露天風呂の方にまた瞬間移動してもらおう。

 そして1人で温泉に入る。


 チャプン……。


 う~~ん最高だな、まさかダンジョンで温泉に入れるなんてと思わなかった。

 きっとこれまでの頑張りのご褒美とかそんなやつだな。

 私たちはこのダンジョンを育成するのを頑張ったもの。


 この洞窟の中の温泉も悪くない、露天風呂のような素晴らしい景色はないがとても静かで落ち着く。


 洞窟なのに内部は光がある程度確保されているというダンジョン特有の仕様も相まって不思議な空気感に包まれている。


 ただ洞窟の中だけあって着替えとかを 置く場所がないのが困ってたりする。

 今回はブルーシートとかをリュックサックに入れて持ってきてたが昨日は本能のままに温泉に入ったので少し困った事になった。


 まあその話は忘れよう。


「あの露天風呂もそうだが…せめて着替える場所とか用意したいな」


 荷物や着替えを置けるようにしたいから、そこら辺のちょっとした場所をこれからどうしようかなと考える。


 工藤さんとその仲間である彼女たちが 来たらそっちの方を今度は手伝ってもらおうかな。


 広くなった森林の方にしても新たな採取ポイントができてたり新しいモンスターが現れたりしてるかもしれない、そっちも今後は確認していく必要があるだろう。


 ダンジョンが成長するのは嬉しいがいろいろ確認するのが増えて大変だ。

 …そういえば私たちはこの火山に何か目的があってきたような気がするのだが… 。


「まっ気のせいだな」


 思い出せない事は大した事じゃないから忘れても良いのだ。

 今はこの温泉を楽しむとしよう。

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