第48話◇
「……工藤さん、さすがにこの戦力差は絶望的ですダンジョンから撤退を提案します」
さゆりが工藤さんにダンジョンからのを脱出を口にしている。
当たり前だな、彼女たちを含め、この場にいる探索者の大半が勝ち目がないと判断していた。
「スケルトン相手に逃げるしかないなんて最悪よ」
「仕方ないよ。いくらなんでもあんな数、日本の自衛隊にいるっていうダンジョン専門の特殊部隊でも出張ってこなきゃどうにもならない…」
「もう一度言います。これ以上の戦闘は無謀、早く撤退をするべきです…」
響に回復系のスキルを使いながら高見さんも私に向かって提案してくる。
「……以前言っていた通り彼女たちの命を優先させてもらっていいかしら、今回の依頼は失敗したってことで…」
工藤さんもこちらを見る。
しかし何も言わない、まあ確かに工藤さんは一度私たちがイフリートと戦うのを見ていたし、ハルカやアヤメがちょっととんでもな存在であることも理解しているからだろう。
ハルカもアヤメもこと戦闘において彼女たちが勝てるというのであれば私は絶対に勝てると思っている。
だからイフリートの時も普通に喧嘩を売れた。
怖くてもね。
だから今回も最後まで彼女たちに付き合うつもりだ。
無職アラサーの本気を見せてやる。
「……工藤さん、高見さんたちを連れて私の後ろにお願いします」
「一河さん……本気ですか？」
「ええっ本気です」
迫るスケルトン軍団を見る、スケルトンサモナーたちが今度は協力して完全に使役できる状態でイフリートたちを何体も召喚している。
本当にどこまでもふざけた戦力を出してくるよな………だが悪いね。
こちらも全ての準備は整っているんだよ。
「ここから先は私1人で全て相手します」
「ちょっとヒロキ君～～」
「………そこは私たち3人でっでお願いします」
「そうだったね、ごめんごめん…」
改めてスケルトン軍団を殲滅することを宣言する。
「ハルカ、アヤメ。それじゃあ 3人で行こうか」
「はい」
「オーケー！」
私は数歩前に出る。
それを見た高見さんたちがなんやかんやと止まるように言ってくるが……すまんね、一度やる気出したら止まらないよアラサーは。
私はハルカとアヤメが変身した二丁の銃口を右方向に向ける。
そして新たなスキルを発動した。
食らえ、これが私たちの切り札だ！
「『黒刃鎖龍弾』！」
二発の銃弾が放たれる、それはまっすぐ飛んでいき砂浜の先のさらに向こうにある一番右端っこの魔法陣のさらに向こうに飛んで行った。
そこで2つの弾丸がぶつかるとそこに紫色に光る魔法陣が出現した。
その魔法陣にはなんとなく見覚えがあった、あのスケルトンサモナーがイフリートを召喚する時に使っている魔法陣にどこか似ていた。
というか有する能力も似たようなもんである。
詰まるところは新たな戦力の召喚だな、紫色に輝く魔法陣から一体の巨大な龍が現れる。
その体は黒いの鎖のような形状をしていて無数の黒い刃が全身から生えている。
そしてその頭はドラゴンのそれに近いが頭の先端は巨大な刃のようになっていた。
まさに全身凶器な漆黒の龍が現れ、右の端っこからスケルトンたちに突撃を仕掛ける。
その突進の威力はまさに圧倒的だった、通常のスケルトンたちが一瞬で切り刻まれるのは当然としてスケルトンメイジたちが様々な魔法系の攻撃スキルを発動し止めようとするがその全てが意味をなさない。
何のダメージも与えられず全てのスケルトンメイジたちも細切れにされた。
スケルトンナイトたちが盾を出して一カ所に集まり止めようとするが、その盾も鎧も全て粉微塵に切り裂かれスケルトンナイトもまた全滅した。
スケルトンサモナーが無数のイフリートを使役して攻撃を仕掛けてくるがその全ても無意味だった、スケルトンサモナーもイフリートも全て黒刃の龍に切り裂かれ全滅した。
スケルトンキングたちが手にした戦斧やら槍やらで必殺の一撃を放つ、おそらくは何かしらの攻撃スキルだろう。
そんな攻撃を仕掛けたスケルトンキングから順番に細切れにされていった。
逃げ出そうとしたスケルトンキングもいたが龍の頭に貫かれスケルトンキングも全て全滅した。
時間にしておそらく十数秒と持たなかった、それで全てのスケルトン軍団は全滅したのだ。
