第45話◇
現れたスケルトンがいつもと違う。
頭に赤いバンダナを巻いて半袖シャツを着ている、 そして手には 片刃の曲剣。
何と言うかまさに海賊のコスプレをしたスケルトンって感じだ。
無論手にする武器は曲剣以外にもボウガンだったり槍だったり斧だったり棍棒だったりと様々である。
とりあえずアヤメのスキルで砂浜に現れた連中の足止めのすべきかと一瞬そんなことを考えていたら工藤さんがこちらに向かって言ってきた。
「一河さんは船を沈めることだけに集中してください、こちらを私たちで全て対処します!」
「全てをですか!? しかし砂浜にいるスケルトンの数は三十以上いますよ」
「おそらく問題はありません!」
工藤さんの言葉を聞いて彼女たちの方を見てみる。 あの数のスケルトンを前にしてもやはり一切引く気はないようだ。
最初に海賊スケルトンシップを見た時はめっちゃビビってたくせに一体どうしたというのだろうか?
「ふふ~~んワタシが事前に発破をかけておいたのが効果を出してきてるのかもねぇ~」
そんなことを銃となったアヤメが言ってきた。
「……何かしたの?」
「別に何も~ただこれから私たちが戦って連中を掃除するからお子様たちは安全なところに隠れてるか~私たちの後ろで戦うのを見てるだけでもいいんじゃないかしらって言っただけよ~?」
「……それはまた」
「そんで戦いに勝った後は焼肉パーティするから楽しみにしてなさいね~って言っただけ、あっもちろんお腹を少しくらいは空かせておくようにとは釘を刺したわよ?」
「…………」
アヤメのやつわかってて言ったな。
元プロの探索者っていう高見さんもそうだが、他の女子高生3人も言葉遣いや態度から元から優等生な感じの子たちのだ。
そして優等生というのは口には出さないが内心のプライドというものが結構高い。
そこのところを意識してツンツンしたに違いない。
結果としてこちらが連中の戦力を削ぐことが可能であることを理解した彼女たちはその刺激されたプライドが再燃。
一気に戦闘意欲をかき立てられたというわけか。
いつもはクールな高見さんが声を張る。
「砂浜に上がったスケルトンたちは、全て私たちが殲滅するいくわよ!」
「当然よ、私たちがお荷物か何かじゃないってことを見せてやるわ!」
「僕だってここに遊びできてるわけじゃないんだから!」
「私たちの実力を見せてや……あげるわ」
そんなやる気というか殺る気のある宣言をする彼女たちだ。
スケルトンたちに武器を手に意気揚々と襲いかかる。
「『聖光鉄槌』!」
先制で攻撃スキルを発動したのは高見さんだ。
スキルが発動すると同時に空中に白い光によって形成された大きなハンマーが現れる、高見さんはそれを意思ひとつで操れるのか宙に浮かんだハンマーが独りでにスケルトンたちに振り下ろされる。
地面に伝わる衝撃は結構凄い、数体のスケルトンがあの光るハンマーに叩き潰されたのだろう。
「まだまだぁあっ!」
今度はハンマーを横に向けてぶん回す、ハンマーにぶっ飛ばさるスケルトンたちはホームランボールみたいに跳んでいってるな。
あの直接手で持って振り回さなくても、ものすごい勢いで暴れ回る感じの攻撃スキルすごいな。
「なら次は僕だよ!」
あの子は確か矢野アズサって名前の子だったな、確か弓道部と兼任でダンジョン部もしてる子だとかって話だ。
確かに弓道部の服装っぽい格好をして手に弓を持っている、だが矢はどこにもないぞ。
彼女が弓を構える、すると手のひらに緑色に光る 細長い光が現れた。あれは魔法の矢を形成するスキルなのか?
「……疾風迅矢」
矢野アズサが放った矢は空気を切り裂くような異様な音を発しながらスケルトンたちへ向かって飛んでいく、そして前方のスケルトンにヒットすると同時に 爆風が巻き起こった。
複数いる周囲のスケルトンを巻き込んで吹き飛ばす、よく見ると巻き込まれたスケルトンはまるで全身をかまいたちか何かで切り刻まれたかのような傷が見て取れる。
一本の矢で数体の敵にダメージを与えるスキルか、あれもまたいいスキルだ。そして弓道をしている矢野アズサもよく使いこなしていて様になってる。
「かかってこいっ全員近づく前に僕の矢で始末してやる!」
さらにスキルによって魔法の矢を出してはそれをスケルトンに放つ。
彼女は部活でダンジョンに来てるだけ何だって話だったけどがいっぱしの探索者よりもは強いんじゃないのか?
彼女たちの頑張りに触発されたかほか2人の女子高生探索者たちも動き出した。