表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/129

第43話◇

 そしてモンスターの襲撃がある当日となった。


 最もハルカとアヤメの話によると襲撃する時間のタイミングすら彼女たちのさじ加減ひとつでかなり自由になるらしい。


 だから今回は夕方以降、工藤さんたちが全員揃うタイミングでそのモンスターたちをダンジョン近くの海上に出現させるそうだ。


 それもこれも新しい探索者たちが増えて彼女たちのダンジョンコアパワーが増大したから可能となったらしい。

 ダンジョンコアって何でもありだね。


 そして今はまだ朝の時間である、工藤さんたちはまだダンジョンに来てないし時間的にも余裕がある 、というわけで何かしようか考えているのだが。


「アヤメ、今日はまだ時間があるけどモンスターの襲撃に際して何か準備をする必要があったりするかい?」


「もちろんあるわよ~」


 アヤメはこちらまっすぐ見て力強く発言した。


「ふふ~ん、モンスターたちをパパッと掃除した後は当然祝勝会よ。今回のモンスターたちを退治すればダンジョンは翌日には見違えるほど成長するはず、 その事も祝って焼肉パーティーでもしたらいいんじゃないかしら~?」


 私はただ無言となった。

 勝つつもり満々なのはいいけどもう勝ったつもりでしかいないらしい、モンスターの襲撃に対して少なからずビビっている身としてはアヤメのこのめちゃくちゃ能天気でお気楽な感じがある意味羨ましいよ。


「……アヤメ、まだことが済んでもいない事に対してあまり安直なことを言ってはヒロキさんも混乱してしまいうわ」


 そう言いながらもハルカはハルカでダンジョンに用意した折りたたみ式のテーブルの上に朝食を用意している。


 今日の朝ご飯は焼いたトーストに目玉焼き、それとサラダだ。飲み物はコーヒーである。

 ハルカは最近海外の映画とかを見ている。

 多分それに出てきたシーンにこんな朝食があったのだろう。


「無論私たちがいれば負けることはありえないわ、しかし同時に私たちの敗北はダンジョンに呼んだ彼女たちの命を危険に晒します、万が一にもそんなことを起こしてはいけません。故に冷静にそして確実に勝つための行動を心がける必要があるのよ」


「分かったよハルカ、確かにその通りだ」


 ハルカの言うとおりだ、大人として冷静にそしてしっかり働かねばいけないな。


「あっ! この目玉焼き半熟じゃないんですけどぉっ!」


 ……アヤメは全然話を聞いてない。

 ちょっと真面目に話したのに完全に無理矢理されたハルカが少しイラッとした顔をしている。


 常に凛々しい感じの表情をしているハルカだが見慣れてくるとその表情の違いが分かってくるようになってきた私だ。

 ハルカが無言でアヤメの食べてる途中の目玉焼きにソースを垂らした。


「ちょっ私はソースじゃなくて醤油派なんだけど!?」


「あらごめんなさいね、私はソース派なので少し手が滑ってしまったわ」


 ハルカの反撃に対しぶ~たれるアヤメ、なんと言うか平和な光景である。

 ちなみに私はソースでも醤油でもどっちも美味しい派だ。


 2人を見てるとモンスターたちのことが本当にどうにかできてしまうんだろうなと自然と思わせてくれるな…。


「焼肉パーティーね、悪くないじゃないかな? ちょっと良い肉を買ってこよう」


「ちょっとと言わず最高級の肉がいいんじゃないかしら?」


「分かったよ、けど野菜もきっちり買ってくるし食べてもらうつもりだからな」


「エェ~~~」


 私の言葉にさらにぶ~たれるアヤメであった。

 そして朝食を食べた後は食器を片付けて、私とアヤメは早速買い物に出かける。


 買ってきたものは全てアヤメのスキルで手の平に乗る大きさのキューブにしてもらう必要があるのでまとめ買いする時とかはアヤメには買い物についてきて貰ってるのだ。


  生物が傷まないスキルというのは本当に素晴らしいな。

 あやめのおかげで大量の食材を買い込んでもえっちらおっちらと走って家に帰る必要がないのはとても助かる。


 そして買い込んでしまった物の重さで苦労する必要もない、本当にアヤメのスキルはダンジョンで生活する為にあるようなスキルだ。


「ヒロキ君~海老にホタテみたいな海鮮系もあの子たちは食べるかもしれないわよね~」


「そうだね、じゃあそれも買おうか」


 アヤメは実は海鮮系の食べ物も好きなのだ、アヤメにもハルカにも何度も助けられているのでそのお礼も兼ねてアヤメには彼女の好みの食べ物も大量に用意するとしよう。


 まあ私は海鮮系も肉も野菜もみんな焼けば大抵のものは美味しくなり焼肉のタレをつければ大抵のものは最高に美味しくなると思っている。


 しかしアヤメは少なくとも海鮮系は塩をふるか醤油でいいというタイプである、そこだけは相容れないのが残念だ。

 まあ塩も醤油も美味しいんだけどね。


 そんな感じで買い物を進めていく、そして夕方となりダンジョンの外は冬という季節なので真っ暗なのだが、我がダンジョンの方は綺麗なオレンジ色の空である。


 買い物を終えた我々は砂浜に陣取っていた。

 これから派手に戦うのだ。


「……来たか」


 ダンジョンには私とハルカとアヤメ。そして工藤さんたちが砂浜に集まっている。

 オレンジ色の光に照らされた海上にいくつもの魔法陣が出現した。


 さあっ本日の大一番、どれほどのものか見てやろうじゃないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ