マイダンジョン育成中！

第39話◇

　さらに数日の時が過ぎる。

　モンスターの襲撃の方は問題なく対処できて採取も順調。

　換金も順調である、 やがて予定であるハルカが言っていた大規模なモンスターの襲撃の四日前、工藤さんから連絡が来た。

　紹介したいクランメンバーがいるので午前九時過ぎにダンジョンセンターの部屋を借りているのでそこで会ってほしいそうだ。

　そしてその日は日曜日、どうやら本当に学生を紹介する気みたいだ。

　今回はハルカとアヤメはブレスレットの姿を変えてついてくるそうだ。

　工藤さんがその正体を明かしている可能性はまずないだろう、ダンジョンで知り得た情報を口外しないという契約をしているのだから。

　だからハルカとアヤメを連れて歩くことはしない、 まずは相手の人となりを確認してこちらの情報を与えるべきかを判断するのだ。

「ハルカ、その姿のでも瞬間移動って使えるのな？」

「もちろん使えるわよ」

「それじゃあお願いできるか？」

「わかったわ」

　最近、街中での移動に彼女の『瞬間移動』のお世話になることが多い。

　ハルカ曰く『瞬間移動』は行ったことのある場所でかつそこがどういう場所かを頭の中でイメージしなければ使えないのだそうだ。

　そしてその場所を強くイメージすると現在その場所がどんな風になっていて、人がいるのかどうかなどが把握できるのらしく、その上で人目がないと判断した場合に彼女は『瞬間移動』を発動してるらしい。

　どうりで今まで移動した先に誰一人として人間がいなかったわけである。

　ただ単に一瞬で移動してるだけじゃないんだね。

　ハルカの力を借りてダンジョンセンターにパパッと移動する。

　中に入り工藤さんの言っていた階の部屋へと向かう、その部屋の中に入ると工藤さんを含め5人の女性がいた。

　工藤さんが入ってきたこちらに気づき挨拶をする。

「おはようございます一河さん」

「おはようございます工藤さん、こちらの方たちがクランのメンバーの方達ですか？」

　4人の方に視線を送り尋ねる。

「はいそうですよ」と工藤さんが返事をして他の4人がそれぞれ挨拶をしてくるこちらも返事をして軽く会釈した。

　見た感じ変わった感じの子たちはいないようだ、みな優等生という印象を受ける。

　まあ工藤さんがいるクランのメンバーのだしそうそう変な人がいるとは思えないけど。

　 4人それぞれと挨拶をする時に自己紹介もする、ここで顔と名前を覚える私だ……物覚えが悪いのでわりと必死に記憶するぞ。

「おはようございます僕は矢野《やの》アズサ、ダンジョン部兼弓道部で弓が得意です。どんなモンスターも射貫いてやりますね」

「おはようございます、確かに立派な弓矢ですね」

　耳が隠れるくらいの長さのみ黒髪と緑がかった黒い瞳を持つ少女だ。

　服装は本人の言う通り弓道部のそれに近い、しかしここで部活の格好をするというのもおかしいのでおそらくはダンジョンで活動する時の装備なのだろう。

「おはようございます、私は赤城響《あかぎひびき》です。剣道部兼ダンジョン部にも所属してるわ。武器はこの竹刀を使っています、主に前衛担当よ」

「おはようございます、モンスターと正面からやり合うとは、その胆力は凄いですね」

　腰まである黒髪のストレートロングヘアー、そして赤みがかった黒い瞳を持つ気の強そうな印象を受ける少女だ。

　服装は女子高生のそれでありモンスター相手に本気で竹刀で戦うのかとは思うが、あの竹刀もただの竹刀ではないのかもしれないな。

「おはようございます。紺野《こんの》さゆりです、役割は主に後方からの魔法系の攻撃スキルによる援護です」

「よろしくお願いします」

　こちらは紺色に近い深い蒼色に近い黒髪ストレートロングだ。そして黄色い瞳を持つ少女である。

　メガネをしているからだろうか、他の2人よりも知的で冷静沈着って感じの印象を受ける。

　服装は女子高生のそれだがローブの一つでも着れば確かに魔法使いっぽい感じの女子高生である。

「おはようございます、学校教師でダンジョン部顧問の高見《たかみ》ルイシュです。元はプロの探索者で回復系のスキルでパーティーを支援していました」

「おはようございます、回復スキルですか滅多に居ないと聞くレアスキルの持ち主なんですねダンジョン部の顧問を任せられる訳だ」

　高見さんはハーフなのだろう、月城さんと同じく 金髪碧眼で背も高い。

　背中にかかるくらいまである金髪を後ろの方でまとめていて服装は黒のウーマン スーツ、下も黒ロングなタイトスカートだ。

　確かに女教師っていう感じがする人だな、もしかしたらハルカみたいに街でもダンジョンでもスーツ姿で過ごす変わり者タイプの人間なのだろうか、いやハルカは人間ではないのだけど。

「この4人がクランメンバーです無論他にもいるのですが、まず紹介するなら彼女たちからかなっと思って……」

　なんか言葉的に後には変わった子が控えてそうな雰囲気を感じる、まっまあ今はこの4人の子たちだ。

「わかりました、それじゃあいくつか質問があるんですが、それに答えてもらってもいいですか？」

　工藤さんの紹介だし見た目の印象も悪いものは感じない、ただまぁこちらとしてもダンジョン育成計画について多少は話すからな。

　やはり見た目より中身。

　探索者として雇っても問題ないのかどうかそれを調べさせてもらおう。