第37話◇
さてっ工藤さんに探索者の用意をお願いしたわけだが、当たり前の話だが昨日今日で人が来るわけも用意できるわけもない。
おそらく何日かは調整に必要になるだろう。
「というわけでまたしばらくの間はダンジョン生活をもっと便利にするためにいろいろやろうと思うんだ」
「それならもっと採取した資源を換金して資金を準備する必要があるかもしれないわね、このアヤメさんが魚を釣ってくるから待ってなさい!」
「アヤメはまだ1匹も魚を釣っていないわよ、時間を無駄にできないのでやめなさい」
ハルカの冷静な言葉にアヤメが図星なのでビクッと肩を震わせていた。
そんなボウズ連続記録を更新するアヤメである。
確かに時間を潰すだけの魚釣りはもっと余裕ができた時にしてほしいという気持ちもわかるが本当にハルカはアヤメには遠慮ないもの言いをするね。
「まっもう何日かは採取の方に専念してアヤメも資金の調達に協力してよ、これも大事な仕事だからさ」
「う~~ん……分かったわ」
「資金に余裕ができたら好きな釣用具でもキャンプギアでも買っていいからさ」
「このアヤメさんに任せなさい!」
魚は釣るのは苦手なアヤメだが物で釣られるのは得意らしい。どのみちダンジョンの生活を便利にするならキャンプ用品みたいなものも必要になるだろうしね。
後はほぼ毎日いい天気で太陽の光があるのでソーラー充電が出来るポータブル電源を複数用意できればダンジョンにいながら様々な電化製品も使えるだろう。
テレビまで見れるかわからないが、まあダンジョンではスマホを使って動画も見れるんだしその手のサイトなら問題もないだろう。
無論あくまでも予定の話ではあるがどんどん便利な感じになっていくダンジョン生活、実にワクワクするものだ。
「よしそれじゃあ今日からしばらくはダンジョン資源を採取しまくるとしますか、新しい採取スポットを見つけたらちゃんと教えて欲しい」
「分かったわ」
「オ~ケ~」
それからしばらくの間は無事に過ぎる。イカダに乗ったしょぼいスケルトンたちを退治しながら我々は順当に資金を調達していった。
結構な頻度でダンジョンセンターにダンジョン資源を持ち込むものだから月城さんがちょっと呆れたような顔をしていた。
まあそれについてはしょうがない、こっちも金が必要なのでダンジョンセンターには是非ともお金を出してもらわなければ、そして集まった資金を使って様々なものを購入した。
アヤメは釣り用品を購入してた。
そんなキラキラする派手なルアーとか川の釣りで使うつもりなのかと思っているが……まさかいずれは船で買って海に繰り出すつもりではなかろうかという不安が頭をよぎる。
ハルカの方は意外というわけではないがなんかもふもふのぬいぐるみを購入していた。本当にああ言うのが好きなんだな~。
ちなみにテントの数も増やしてた、以前はアヤメたちには銃になってもらい私がテントで寝るという行動をしていたのだが、その時から特にアヤメが不平不満をブーブーと漏らしていた。
そこで 3人とも人間の姿で生活できるようにとテントを購入したのである、私は自分が横で寝れればいいので以前から使っていた安物のテントのまま、ワゴン車でも車中泊もできるので今の所は十分だ。
ハルカとアヤメは結構大きめで値段も結構するヤツをそれぞれで欲しがりね……。
とくにアヤメはその上でキャンプギアだったりを欲しがる始末だ。
いずれは先のポータブル電源だったり電化製品だったりを狙っている彼女たちだ………金が入ってきたら入ってきた分だけお金が出て行く。
この調子だと税金関係とかで後々苦しいことになったりしないだろうか。
この頃生活のレベルというものが目まぐるしく変化している。
変化というものに疎いアラサーには色々とついていくだけで大変だ。




