第34話◇
ハルカと共にダンジョンゲートを通りアパートを出て近所のスーパーに向かう。
今回はアヤメがいないので好き放題に物を買うことはできないな。
今晩ハルカが使う晩御飯の材料とそれ以外はお昼ご飯としてパンとかデザートの何か甘いものでもを買うつもりだ。
本音を言えば車でも走らせれば数分で着く場所なのだが残念ながら私が買ったワゴン車は車体だけの車中泊専用車両である、車を買ったので乗って行こうとは言えなかった。
今日も散歩気分で徒歩だ、三十分くらい歩きで移動するとスーパーが見えてきた。
そこまで大きくはない普通のスーパーで我々が買い物するのならこれくらいで十分である。
「ところでハルカは一体何の料理をするか決まってるの?」
「もちろん決まっているわ、カレーよ」
カレーか、料理の初心者さんが手を出すなら妥当な線だな。
素人が適当に考えたアレンジでも加えない限りはまず不味い物はできないはずだ。
「分かった。だったらカレーのルーをどれにするか選ぶから考えといて、それ以外は玉ねぎ、人参、じゃがいもかな。ご飯の方は湯煎で用意できるやつがあったからそれを使えば問題ないと思う」
「そこら辺はすでに調べてあるなら問題ないわ」
ハルカがそう言うのなら本当に問題ないってことなのだろう、とりあえずはスーパーに入ることにする。
そして早速カレーの材料を集めるわけなのだが意外なことにハルカは甘口のカレーを買っていた。
何でもハルカもそうだがアヤメが特に中辛以上のカレーを嫌がるそうだ、実は私もカレーは甘口の方が美味しいなと思ってるので普通に嬉しい。
しばらく前にカレーを披露した時があったのだけど好みが分からなかったからルーは甘口と中辛を用意したんだ、そしたらアヤメがキツそうに中辛も完食していたんだよね。
あの時は内心ゴメンって思った私だ。
買い物を自分以外の誰かと一緒にするなんて一体何年ぶりだろうか、そんなことを思い出しながら買い物をハルカとする。
そして無事に買い物が終了した。
「それじゃあハルカ、戻ろうか」
「それなのだけど、もう一つ行きたい場所があるの。 付き合ってもらえる?」
「行きたい場所?」
「そうっダンジョンセンターに行きたいの」
「ダンジョンセンターに行くのがいいけど、もう買い物もしちゃってるし一旦帰らないといけないだろう」
「ふふふっそれについては問題ないわ」
余裕の表情のハルカが説明する。
何でもアヤメが新たなスキルを得たようにハルカも新しいスキルをゲットしたそうだ、そのスキルとは『瞬間移動』。
特定の人物または物を自身が行ったことのある場所になら一瞬で移動させるスキルである。
普通に超有名で強力なスキルだ、はっきり言って何でハルカとアヤメはそんな強いスキルをポンポン手に入れられるのだろう。
私はまだ『ダンジョン』のスキルしか持ってないというのに…。
そんなしょうもない嫉妬の感情がふつふつと湧いてしまう。
まあそれについてはいいだろう、まずはそのスキルを一度使ってみようということになった。
「それじゃあいくわよ……!」
スキルを使ってもらう為に人目のない場所に移動し『瞬間移動』のスキルを使ってもらうと本当に一瞬でアパートまで戻ってきてしまった。
「これは凄いとしか言えないな…」
「ふふっそうかしら、さあっ買った食材を冷蔵庫にいれましょう」
冷蔵庫に買ったものを全てしまう、アヤメがまだ森の中ならキューブにしてもらえないからだ。
そしてもう一度『瞬間移動』を使ってもらうと我々はダンジョンセンターの近くにいた。
以前採取したアイテムをダンジョンセンターに持って行く時にはハルカやアヤメがブレスレットの状態で一緒に来ていたこともあったのだ。
だから瞬間移動で来ることができたのだろう。
「スキルは問題ないわね。これからは行ったことがある場所なら一瞬で移動できるからタイムパフォーマンスが向上するはずよ」
「確かに瞬間移動なんてスキルがあったら時間を無駄にせずに済むね」
「そうでしょう? ふふっ」
個人的には時間を無駄にしながらもゆったりと過ごすそんな時間もいいと思うんだけどね。
まあそれはそれ、これはこれだ。
「それでハルカはなんでダンジョンセンターに来たんだ?」
「もちろん新たな依頼を出すためよ」
「一体なんの依頼を?」
「ヒロキさんが以前言っていたアパートを引き払うって話だけど…」
「ああっあれね、と言ってもまだ色々と準備をしなくちゃいけないから時間がかかると思うんだけど」
「実はその引っ越しの前に少し問題があるわ」
問題? 一体どんな問題があるのだろうか。
「多分だけど今後のモンスターの襲撃は三回くらいはイカダに乗った大した物じゃないわ。だけど四度目のモンスターの襲撃の時は今まで以上の規模でくると思うからこっちの戦力ももう少し増やす必要があると思うのよ」
「…………え?」
そんなことをハルカは何食わぬ顔で言ってきた。




