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第31話◇

 というわけで今日から我がダンジョンに新たに車中泊用のワゴン車が二台来た。

 工藤さんとハルカは戻ってきていないのでアヤメと2人で改めて白と黒のワゴン車を見ている。


「これが人間の世界にある車ね、不思議な形をしてるわよね~」


「まっ車体だけだけどね、ボンネットの中はエンジンも入ってないからそこにも荷物を入れようかと思ってるよ」


「荷物?」

「アヤメのスキルでキューブにしてもらった食料だったり、飲み物だったりを入れておくんだよ。後ろだけじゃなくて前の方にもいられるから二台のワゴン車だけでも結構荷物が積めると思うんだ」


 今後アヤメのスキルはかなり重要になってくると思う。

 食料だけじゃなくダンジョンで生活するために必要な道具とかあるだろう、特に利便性を考えればその手の道具というのいくらあっても足りないくらいだ。


 それらをお金を貯めて補充して、このダンジョンでの生活を向こうと大差ないくらい便利なものにする。

 その為にはやはりお金が必要なのである。


「今後もきっとアヤメのスキルにも協力してもらうことが増えると思うんだ、食料関係以外にも例えば…… キャンプ用品みたいなやつとか予備も含めればそれなりの数を用意する必要があるし」


「キャンプ用品? ヒロキ君の部屋にあった雑誌のアレよね。確かにあのランプとか焚き火台とかってのは欲しいかもね~」


「アヤメもそう思う?」


 探索者になる時にちょこっとキャンプ用品について調べてみたのだが、これがまあパッと見なんかいいなあと思うものが無駄に多いのである。

 当時は財布の中身なんて増やせる当てもなかったので身の程を弁えて諦めていた。


 しかしここに来てお財布を中身にも余裕が出てくると、その物欲がふつふつと湧いてくる。

 このワゴン車にしたってお金がかかりそうな部分を全てカットしたのはこっちにお金を注ぎ込む為だったりする。


 南のおっさん曰くやはりあのワゴン車に自動車税もかからないと言われた、なぜならこれは車じゃないからだ、本来なら処分する廃品を業者じゃなくて 一般人に売っ払ったようなものらしい。


 そんなことをして問題はないのかと思わなくもないが私と南のおっさんの個人的な取引なので警察が入ってくるような要素はない。


 何よりワゴン車はダンジョンの中にあるしな、問題があったとしてもバレるわけがないのだ。

 そんな仄暗い思考をする私である。

 テントの中にいれてあったカバンを肩に掛けて探索準備完了。


「まっそうは言ってもこのワゴン車を買って工藤さんたちに払う報酬を考えたらこれ以上はあまり買い物はできないんだけどね」


「ならまずは地道に採取してお金を稼がないとね~」


「その通り、それじゃあ行くか」


 そんなわけで我々もダンジョンでのアイテム採取へと向かう。


 そして森へと足を踏み入れたわけだが、まずは以前工藤さんに教えてもらったポーションの材料となる薬草採取でもするか。


「草むしり? 言っとくけど草なんか刈っても多分いくらでも生えてくると思うわよ?」


「むしろありがたい話だ。実はこの草、ただの草じゃなくて薬草らしいんだよ、つまりはお金になるわけ」


「こんなのが人間の世界では金になるの? 変なの~」


 全くもってその通りだ。

 人間の世界っていうのは変なことばっかりだよ……けど回復ポーションとか現実にあるとやっぱりすげえなって言う気持ちもわかる。


 それにそのおかげでこの草むしりが結構なお金に変わるのだからいいじゃないか。

 私は目につく薬草をとりあえず全てむしる、むしった薬草はプラスチック製の容器を取り出す。


 以前工藤さんに言われて採取の時に必要な道具として採取した物を小分けして入れる容器を用意したのである。


「これに入れるから」


「そんな容器の中に適当に入れといて大丈夫なの?」


「それが大丈夫なんだこのプラスチック容器みたいなヤツね。実はダンジョンで採取したアイテムの時間経過で痛むのを遅らせてくれる優れ物らしいんだよ」


 まあゲームみたいにずっと放置すればさすがに売り物にならなくなるけどね。

 そこもゲームみたいに採取したものが時間経過でダメになったりとかしなければいいのに。


 よしっ薬草の採取も完了だ。

 そんなことを考えるとアヤメが何かに気付いたようだ。


「…ねぇヒロキ君、近くで水が流れる音が聞こえない?」


「水が流れる音?」


 まだまだこの森の全部を見たわけじゃないから何とも言えないけど、もしかしたら水源の一つでもダンジョンに現れたりしたのだろうか。


「どの方向か聞こえる? 確認しに行ってみようか」

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