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第124話◇

「オォオオオーーーーーーーーーーーーッ!」


 あのバーサーカークラブといいこの巨大ブルーザリガニといいこんな大きくて不快な声をよく出してくれるものだ、とてもうるさくて嫌な感じだ。


「アヤメ、あの巨大な青いザリガニはどんなモンスターなんだ?」


「ワタシはハルカじゃないからモンスターの名前なんて知らないわ~」


 そっそうだった。ここにはあのポ○モンの図鑑的にモンスターの名前とかを教えてくれるハルカがいないのだ、どうしょう……もうこのままブルーザリガニと言う名前を広めていいのだろうか?


「一河さん! あのロブスターに似てるモンスターはタンザナイトロブスターと言うモンスターです、あそこまで大きいのは初めて見ましたがザリガニではないと思われます!」


 高見さんの言葉に、ロブスターもザリガニも大きさが違うだけで一緒じゃんと子供の頃、夏休みにザリガニを捕って遊んだ過去を持つアラサーは思った。

 しかし皿で出て来たらザリガニとロブスターではお値段が違うのでここは高見さんの言葉を否定する事は出来ない。無念である。


 それはそうとしてタンザナイトロブスターとやらと先陣を切って突然した工藤さんたちの勇姿を解説しようと私はバトルを見守ろうとした。

 すると隣に何食わぬ顔で東雲さんとアヤメが現れる、ホントにこの子たちは……はぁ~っ。


 気を取り直して心の中で解説する私だ。

 先ずは工藤さんが剣を抜いてタンザナイトロブスターの青色の甲殻に突きを放つ、ギィンという完全に金属を攻撃したような音がした。工藤さんは直ぐに引いて回りに声を飛ばす。


「スキルなしの攻撃を仕掛けると武器を無駄に消耗するだけよ! 甲殻の関節を狙って、それとボスクラスならスキルも使ってる可能性が高いから注意をして頂戴!」


 工藤さんの言葉を聞いた四人は散開してタンザナイトロブスターのターゲットになる人間を前衛の工藤さんと響に絞らせるように動く。

 ヘイトを稼ごうと響がネシアからのレンタル刀を振るって攻撃をする。工藤さんのアドバイスを聞いたからなのかスキルも合わせての攻撃だ。


「焼いてあげるからその青い殻を赤くしなさい! 『火焔刃バーンブレイド』!」


 響の持つ刀が炎を纏う、燃え盛る斬撃を何度もタンザナイトロブスターの甲殻に放つ。恐らくは同じ所を攻撃して甲殻を破壊、それが無理なら少しでも脆くしてそこを起点にダメージを与えようと、それを狙っているんじゃないだろうか。

 

 しかし攻めに集中し過ぎた響にタンザナイトロブスターの巨大なハサミが振るわれる、クラブハンマーだ。やられると思った私は咄嗟に助けに入ろうかと思った。

 しかし他のメンバーは誰も助けようとしない、そこに違和感を覚えた私は助けに動くのを辞めた。


 タンザナイトロブスターのクラブハンマーが響を捕らえる。すると攻撃された響が幻のように消えた、そう言えば響は幻術を操るスキルも持ってるんだっけ?


 あまりにも出番がなさ過ぎて忘れてた。

 攻撃を外したタンザナイトロブスターだ、そんなヤツに他の四人のスキル攻撃が放たれる。

 光のハンマーにその巨体の至る所を打っ叩かれ、風を纏った矢が目や口に放たれる。そして雷撃や水流の斬撃まで襲いかかっていた。


「懐に入ればこっちのもんよ! 『火焔刃バーンブレイド』!」


「一気に倒しきる、『疾風迅矢ゲイルアロー』!」


「『聖光鉄槌ホーリーハンマー』! ヤツの甲殻を破壊したわ、そこにスキルを集中して攻めるのよ!」


「『雷撃晶体サンダークォーツ』……これでも食らいなさい」


「畳み掛けるわ、『逆巻水流撃タイダルウェーブ ストライク』!」


 工藤さんとさゆりのスキル攻撃がタンザナイトロブスターの四本あるハサミの内それぞれ二本を吹き飛ばした。苦しそうに呻くタンザナイトロブスターは明らかにその動きが遅くなっている。


 遠距離からの高見さんとさゆりのスキルがエグいな、タンザナイトロブスターも青く巨大なハサミをブンブン振り回してダメージがデカい攻撃をしてくる二人を狙うが全て躱されている。


「工藤さん、ヤツの全身をずぶ濡れにしてやって下さい」


「ふふっいいわよ!」


 工藤さんがわざわざスキルをタンザナイトロブスターの真上に放った、当然タンザナイトロブスターは濡れる。するとさゆりが再びスキル攻撃、すると雷撃を受けたタンザナイトロブスターは全身感電してしまう。


 まあ濡れたらそうなるよね、元からカニとかザリガニって電気に弱そうなイメージあるし。

 タンザナイトロブスターはさゆりに向かって突撃をする、すると響がその進行方向に割って入った。


「次はその動きを封じてあげる、『火焔刃バーンブレイド』!」


 響の燃え盛る斬撃がタンザナイトロブスターの前足数本を切り飛ばした。恐らく狙って関節から切ったんだろうけどあのシャカシャカ動いてる脚を切るとか、響は器用な戦い方もするようだ。


 的確にダメージを与えていく皆、そしてタンザナイトロブスターもやられたくないのだろう、ここで切り札を使ってきた。


「オォオオォオオオオオーーーーーーーーッ!」


 タンザナイトロブスターが口から大量の水流を放つ、ウォーターブレス的なヤツだ。モンスターの口から放たれる水には生理的嫌悪感を覚えるのか戦う女性陣たちは全力で回避していた。


 更にタンザナイトロブスターが残った二本のハサミで地面を叩くと地面から大きな岩がドンと出て来て足元から工藤さんたちを襲う。

 大量の岩が皆の移動出来る範囲を限定させて動きを阻害する、タンザナイトロブスターがハサミを振るうと斬撃を飛ばしてその岩を切り裂いてきた。


 咄嗟に伏せて躱した皆だったがあのスキルのコンボはかなり厄介だな、自分で出した岩はいつでも無視して攻撃出来る。一方の工藤さんたちは移動にも攻撃するにもあの岩が普通に邪魔になるのか。


 さゆりが黄色い結晶体を操り上のほうから雷撃をお見舞いしようとするがタンザナイトロブスターのハサミから放たれた斬撃がアッサリと結晶体を破壊する。

 攻撃も反応も速いな、結晶体を破壊されたさゆりはとてもショックを受けているようだ。


 こちらの攻め手が止まる。

 流石にピンチなので私もそろそろ参戦かとアヤメを見ると彼女は既にいなかった、見るとタンザナイトロブスターの方に移動している。


「はいっそろそろ終わりにするからね~」


 アヤメが両手から出した鎖、その先には大きな大きな鉄球が付いている。その鎖を高速で振るって鉄球をタンザナイトロブスターの頭にズガンと叩きつけた、それも二つの鉄球を何度もだ。


 これは堪らんとタンザナイトロブスターがヒビが入った頭を振って逃げようとする、しかしいつの間にかその脚には黒い鎖が縛り付けられていた。


「はいはい逃がさないからね~それじゃあさよなら!」


 アヤメの容赦ない鉄球攻撃によってタンザナイトロブスターはボコボコにされ、そして動かなくなってしまった。

 まあ……負ける事はないと思ってはいたけどそこまでやるのアヤメ、皆の活躍を横からかっ攫うとかさ。


「まっありさたちも少しピンチっぽかったし、これで良かったんじゃないですか?」


「そっそうですか? まあそう言う事にしときますか」


 東雲さんがそうまとめたので私はそれに乗っかる事にした。

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