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第122話◇

 そして結果を言えば四体のバーサーカークラブに囲まれてしまったタナカちゃんゴーレムはヤツらのクラブハンマーでボコボコにされて全身がヘコんだブリキ人形になってしまった。


 あっもちろんその後は工藤さんとアヤメがそのバーサーカークラブを倒してタナカちゃんゴーレムの仇は取ったのであしからず。


「タッタナカちゃーーーん!」


 まあゴーレムを破壊された東雲さんは涙目だけどね。


「ほらカナ、、いつまで泣いてるのよ。アヤメさんに早くそのゴ……ゴーレムをキューブにしてもらいなさいって」


「今アンタこの子をゴミって言おうとしなかった!? ねぇっどうなのよ!」


 掴みかかってくる東雲さんを鬱陶しそうに相手をする工藤さんだ、本当に工藤さんは東雲さんに厳しいね。

 しかしそんな微笑ましいやり取りもずっとしている訳にもいかない。


「東雲さん、気持ちは分かりますがここはダンジョンです。それもしっかりモンスターが我々を襲ってくるね、あまりのんびりし過ぎるのはよくありませんよ」


「う~そっそうですね、分かりました……」


「それじゃあそのゴーレムの残骸をキューブ化するわよ! それそれそれーーーーー!」


「ざっ残骸じゃありませんからね!」


 タナカちゃんゴーレムの残骸が光となってアヤメの手元に集まると透明な四角いキューブが現れ、その中に小っこくなったタナカちゃんゴーレムの残骸が入っていた。

 何度みても不思議なスキルだ。


 

 その後はタナカちゃんゴーレムの末路がトラウマになったのか、東雲さんは他のゴーレムを使って戦闘することを嫌がるようになり「仕方ないわね」と工藤さんが遭遇するバーサーカークラブを退治していった。


 そして話し合った結果、一度は別ルートに行った我々だが引き返して響たちの方に合流しようという話になった。


 理由としては彼女たちが探索者をしてる姿を一度は見てみたいとは前から思っていたので、サマダン島へ来たこの機会に見学しようと言うことになったのだ。


 東雲さんは完全に戦意を失っているし、これ以上ゴーレムの戦闘をするつもりもなさそうだからね。

 それに工藤さんも私もイケイケどんどんな響たちの姿も見てみたい気もするし。


 そして来た道を引き返して今度はダングローブがやたらと伐採されてるルートはと向かった。

 ルートを通ると倒されたバーサーカークラブの骸が幾つもあった。


「ヒロキ君、あれも一応回収する?」


「お願いするよアヤメ」


 基本的倒されたモンスターはゲームみたく消えてはくれないのがこの世界のダンジョンだ。


 以前倒しまくったスケルトンとかは大抵がハルカとアヤメのスキルによって消し飛ばされていたし、骨なので骸があっても異臭とかはしなかった。


 そもそも島に住む精霊だかモンスターなみんながいつの間にか綺麗に片付けていたので気にならなかったのだが……。


 このサマダン島に来て気付いた、倒されて放置されたモンスターの骸は超臭い!

 故にアヤメには見つけた死骸は率先してキューブにして欲しいとお願いしているのだ。


 何よりここも一応は我がダンジョン、その景観がドデカいカニモンスターの骸で穢されるのもなんか嫌なのだ。

 アヤメは鼻歌を歌いながらバーサーカークラブをキューブにしていく。


 しかしあのカニたちのリサイクル方法については未だに決まっていないのが、実は悩みの種だったりするのである。


 まあそれは後で考えよう、自慢にはならないが私は問題を後回しにしてもとくに気にしないメンタルの強さをこのダンジョンに出入りするようになってから手に入れたような気がする。


 人生は一度きり、なら楽しまないと損なのである。

 そして面倒くさい事は全て最後にちょちょっとまとめてする、それはまるで夏休みの宿題のような物だ。


 間に合わなかったら?

 …………諦めるのである、そして大人にめっちゃ怒られてイヤイヤするかなんとかしてそれから逃れる為に奮起する。


 そこまで含めて夏休みの思い出だ。

 我ながら碌な学生じゃなかった私だ。


「ヒロキ君~~な~にを黄昏れてるの~? 近くで戦闘する音が聞こえるから響たちが多分近くにいるわよ~?」


「分かったー、今行くよー!」


 私が夏休みの日々に思いを巡らせていたらいつの間にか響たちとの合流も近づいていたらしい。

 な~んか夏空とか入道雲って見てると日本人は自分の夏休みの時を思い出だしたりするもんなのだろうか。


 まあそんなのは社会で忙しなく働いてる時には感じる余裕のなかった物だけどね。

 ふと気付いた、そう言うのも感じるようになったんだな……私は。


 おっと何時までも過去を振り返るアラサーをやっている暇はない、今を青春している響たちの頑張りもこの目で見に行かなくては。


 そして私たちの視界に彼女たちが飛び込んできた。


読んでいただきありがとうございます。

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