第115話◇
入り口はまさに大きな半円形で横幅は車が三台は並べるくらいある。
高さも五メートルくらいはあるか、かなり大きな入り口だ。
ハルカやアヤメの言葉を信じているのでモンスターがいたとしても敵対するとは思っていないが…なんか不気味だ。
内心少しビビりながら中に入る。
中は少し坂になっていて上がっている、少しくらいな。
「少し待っていてくれるかな?」
私はキューブ化してあったアヤメのランタンを三つ取り出した。
アヤメのコレクションだ、もしも壊したりしたらきっと彼女はブーブー言うだろうな。
それを工藤さんと東雲さんに渡した。
「これで少しは中が見えると思います」
「このランタンってアヤメさんの私物じゃないですか?」
「その通り、なんかコレクションが増えてきたからって幾つかキューブ化させてたのを借りてきたんだ」
探索ならランタンくらい使う機会もあるかもと借りといたのだ。
まっ無断でだけどね。
「コレクション? 確かにデザインが凝ってるヤツですね、多分値段も高めのヤツですよこれ、本当に使って大丈夫なんですか?」
「まあ壊したらアヤメが怒ると思うけどね」
「アヤメ……さん?」
「あのネシア、レッドドラゴンにゲームで勝っていた女性だよ」
「ああっあのとんでもない存在とゲームをしてた頭のおかしい子か!」
東雲さんの言葉は私が責任を持って伝えるとしようかな。
「カナ、彼女もかなりの実力者よ。変な事を言うと恥ずかしい目にあわされるから言葉には気をつけてね?」
「えっそうなの?」
「そうですね…念動力で私服のまま海に放り込まれるとかあるかもですね」
「一河さん、さっきの言葉はオフレコでお願いしますね」
「…………」
「一河さん!?」
そんなやり取りをしつつも洞窟の中を進む私たちだ。
そしてある程度進むと何やら怪しい存在を発見した。
それはフヨフヨと浮かぶ……。
宝石だった。
「「……………」」
「なっ何あれ? なんで綺麗な石が浮いてるのよ…」
東雲さんの疑問はもっともだ、ここにハルカがいないので詳しくは分からないけど多分宝石とか原石の精霊とかじゃないのかな?
「一河さん、アレって」
「ええっ恐らくは野菜の精霊と同系統の存在かと」
「二人ともアレが何か知ってるの?」
話しているとその浮く宝石みたいなのがこちらに来た。
あっ野菜の精霊と同じで黒いつぶらな瞳をしている。
なんか…少し困ってる?
何となくそう感じた私だ。
すると推定、赤い宝石の精霊は私たちを案内するかのようにゆっくりと移動をし始めた。
何が何なのか分からないが取り敢えずついて行く事にした。
そしてついて行くと火山の壁の方に向かった、そこは採取スポットだった。
採取スポットは壁に一部が崩れ何やら鉱石らしき物の鉱床が見えていた。
しかし何か様子がおかしいぞ。
あっ赤い宝石の精霊が採取スポットの回りをフヨフヨと浮いて回っている。
う~ん?
採取スポットをよくよく見てみると鉱石らしき物以外にも何やら綺麗な鉱石が……。
「あっまさか仲間が埋まってるとか?」
赤い宝石の精霊は上下に動く。
どうやら当たりらしい。
「一河さん?」
「工藤さん、東雲さん、どうやらあの宝石は仲間を助けて欲しいみたいです」
「そうなんですか、それなら私が」
「え、本当に助けるの? 確かに困ってるみたいだったけどモンスターなのよ?」
「ここは一河さんのダンジョンだから色々勝手が違うのよ」
東雲さんは普通に意味不明って顔をしている、その辺りの対応の差は仕方ないな。
工藤さんは腰の剣を抜くと採取スポットの前に立った。
えっ鉱石の採取ってピッケルとか使わないの?
キューブから元のピッケルを取り出そうとして私は固まった。