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第109話◇

 その後も現れるのはバーサーカークラブだけで、しかし数が多くそれに加えダングローブ密林での動きにくさが厄介だった。


 しかしハルカのスピードと腕を刃に変えて放たれる斬撃の威力は圧倒的でダングローブ密林の中をまるで忍者かはたまたジャガーみたいに縦横無尽に移動してバーサーカークラブを切り裂いて倒していった。


 高見さん? 彼女はあの釘…確か魔銀製の釘だったか、それを手の平で弄びながら出番が来ないですな~って感じでハルカの戦闘を眺めていた。


 そしてある程度数が減らされたバーサーカークラブを相手にするのは響とアズサである。


ハルカ曰く、少しでもこのダンジョンのモンスターとの戦闘経験を積む事は大事だとか。

 なんか先生の高見さんよりも先生みたいな事を言い出したハルカだ。


「食らいなさい! 『火焔刃バーンブレイド』!」


「こっちも決める! 『疾風迅矢ゲイルアロー』!」


 響の刀の刃が炎を纏う、見た目だけでなく攻撃力も上げる響のスキルだ。


 その炎の斬撃はバーサーカークラブを切り裂く、ハルカみたいに真っ二つとはいかなかったが見事な一撃であの黒いカニを倒した。


 アズサの放つ風を纏った矢はバーサーカークラブの稼働する関節に的確に突き刺さる。


 それと同時に矢から放たれる風の刃がバーサーカークラブの関節から先のハサミや脚を切り落とした。


 動けなくなった所で口の中にスキルを纏った矢を打ち込み、頭からボンって音がしたらバーサーカークラブは動かなくなった。


「二人とも見事な戦いよ」


「「ありがとうございますハルカさん!」」


 ハルカに褒められて嬉しそうな響とアズサである。

 それを遠目に見る高見さんの所在なさげなあの感じ…。


 かつてとあるブラック企業で空気さんみたいな扱いを受けて、肩身が狭かった一人のアラサーを彷彿とさせる。

 なんかやるせないので話しかける。


「たっ高見さん…」


「はいっ何ですか?」


「先程の戦闘での高見さんの実力も素晴らしかったですよ?」


「……一河さんはハルカさんの戦闘に釘付けだったように見えましたが、一体いつ私の戦いを見ていたんですか?」


「……………」


 めっ面倒くさい……。

 わりと回りをよく見ているタイプの子だったよ高見さん。

 私がハルカの方しか見てなかったのが完全にバレてる、これでは上手いことヨイショする隙もありはしないぞ。


 結果として私は早々に会話を切り上げてすごすごと引き下がった。


「だから言ったじゃないですか、ルイシュさんはああなると長いって…」


「……すいません」


 工藤さんに呆れられ、私は高見さんをヨイショする事を諦めた。

 取り敢えず、気を取り直して探索を再開しようと思います。


 その後も何度かバーサーカークラブと戦った。

 高見さんも戦闘は真面目に戦っていた、以前使っていたスキル『聖光鉄槌ホーリーハンマー』ってスキルでカニたちをガンガン叩いていた。


 そして何度目かのバーサーカークラブとの戦闘にて…。


「隙あり! せやぁああーーー!」


「ッ!? 響さん、安易に突っ込みすぎよ!」


 高見さんが響を注意した、その指摘は正しく何度か問題なく倒せた事で響はバーサーカークラブ相手に油断して先走ってしまった。


 スキルを発動してバーサーカークラブに一撃を入れるが切る途中でその刃が止まってしまう。

 そこに別のバーサーカークラブが接近して来た。

 運悪くハルカとアズサは別々のバーサーカークラブを相手にしていた。

 高見さんと私は助けに向かう。


「響!」

「響さん!」


「こんの……舐めるなぁああーー!」


 響は力ずくで刀を引き抜いた。

 そしてそのままスキルを発動して迫るバーサーカークラブに燃え盛る斬撃をぶちかました。


「フッフン! ざまあ見なさ……!?」


 切られたバーサーカークラブは倒れる。

 しかし響の目はカニなんて見ていなかった、なんか刀を見ているけど。

 ……まさか。


「わっ私の愛刀がーーーーーっ!」


 よく見て見ると響の刀の刃が途中でポッキリといっておりました。

 あーあ、無理な扱い方をしてたんだね…。

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