第104話◇
二回目に現れたカニはどうやら敵モンスターだったらしい。
大きさはさっきの隠れクラブよりも二回りは大きく身体は黒い、そして目が赤色と言う配色だ。
確かに見た目は完全に敵モンな感じがする、けど見た目で判断するべきじゃないと思ったら敵だった。
世の中って中々上手く行かないね。
そんな黒いカニがハサミを構えてこっちに向かってきた。
何気にここまでモンスターに接近されたのなんて殆ど未体験な私だ、普通に怖いぞ。
ハルカもアヤメも銃に変身してもいないし少し離れてる。
あれ? これは結構ピンチなのでは?
「おっそいカニね~まあ前に歩けてるだけ大した物だと褒めてあげるわ…あっそれ!」
アヤメが『念動力』を発動させた。
あの大きなカニが地面から浮いてしまった。
更になんとアヤメの片手からかなり大きな鎖がジャラジャラと現れた。
先には丸い鉄球が付いている。
その鎖をグルングルン回すアヤメ。
あっまさかあれって…。
「せいやぁああーーーっ!」
鉄球でカニの頭を……うわぁ~。
あの大きさのカニだと潰れる姿もしっかり目に出来てしまうとちょっとくるものがある。
アヤメ、もう少し絵面が優しい倒し方とかなかったのかい?
それにしてもあの鎖は一体。
分からないので聞いてみよう。
「アヤメ、その鎖はまさか…」
「ええっダンジョンが成長したんだから新しい能力もゲットしたわ、このアタシの意思一つで自在に動く黒い鎖と鉄球がそれよ」
いいな~私もそんな戦えるスキルとか欲しい。
て言うか…。
「そんな力があるならもう私が銃に変身したアヤメたちを装備する必要もない感じなのかな?」
「ふふっヒロキさんとのコンビネーション攻撃の火力は流石に私たち個々ではとても出せないわ、強大な敵が現れたらやはりヒロキさんの力が必要になるわね」
「そうよヒロキ君、大将は最後にドーンと当時するのがバトル漫画の王道よ!」
私はこのダンジョンにバトル漫画の王道展開とか求めてないんだけどね。
そんな消去的な事を考えたのが悪かったのか、そこら辺の地面からその黒いカニが次から次へと現れてしまった。
皆さん赤い目をこちらに向けておりますよ、動物とかと違って甲殻類って怒ったり興奮したりそもそもするのかな、表情とか全くないから逆に怖いぞ。
「ハルカ~ヒロキ君について」
「…分かったわ」
ハルカが銃に変身した。
そして私の元にとんでくる、ハルカガンを装備した。
確かにあの数だ、ここは私も頑張るべきだろう。
「アヤメ、私が出来るだけ数を減ら…」
「そいっと!」
アヤメば再び黒いカニをスキルで浮かせる。
しかも今度は一体とかじゃなくて現れた黒いカニ全部を。
そう言えばあのスキル、複数の相手にまとめて使えるんだったね。
そして浮かんでジタバタしてるカニを指差してアヤメが言った。
「はいっ準備完了ね、ヒロキ君そのままやっちゃって~~」
「………」
やっちゃって~って、そりゃ命狙われた訳だしもちろん倒すけどさ。
けどあんなまな板の上のカニさん状態の敵を倒すとか、普通に良心的なものが…。
いやっいやいや、ここはしっかり倒すけどね、倒すけど…。
私は浮かんだカニモンスターを全てハルカガンで撃って倒した。
「これに何の意味が…」
「ヒロキ君も活躍したかったんじゃないの?」
どうやらアヤメが変に気を利かせたらしい、まあ次からは余計な事は言わないようにしようと決めた私だ。