第103話◇
「ヒロキ君、どうかしたの~?」
「アヤメ気を付けて…確かマングローブにはノコギリガザミとかって大きなカニもいる、それのモンスター版が出て来たら危険かも」
「相変わらずよねヒロキ君は~このダンジョンにワタシたちを襲うモンスターなんて」
「分からないだろう? あのスケルトンみたいな例外がこの島にいないと言い切れる理由はないんだからね?」
あのスケルトン軍団だって何故船に乗って現れ私たちのダンジョン島を襲うのか、その理由は謎のままだ。
今でこそ島のモンスターたちがお手軽に退治してくれているけれど、このダンジョン島にはそう言う友好的なモンスターとはまだ出会ってもいない。
油断禁物を忘れないようにしなければ。
そう考えて改めて回りへの警戒をしていこう。
そして更に進むと完全に地面が海面の下になっている場所になった。
「これ以上は先に行くのはよした方がいいね」
「膝くらいまでなら行けると思うんだけど…」
「流石に海面の下からモンスターに襲われたら大変だし、今日はまだまだ探索してない場所が多いんだ。ここは別の場所を探索しよう」
「ふ~ん、分かった」
少し不満げなアヤメ、ゴメンね。
流石にまだまだ探索したいからここで下半身ずぶ濡れとか勘弁してほしいんだ。
その後はちゃんと地面がある密林を進んでいく私たちだ。
するとやっとのことで新しいモンスターを発見した。
現れたのはカニだ。
色合いは濃い緑色をしていてその大きさは一メートル以上はある。
あのハサミでチョッキンとされたら私の足くらい切断出来そうだぞ。
なんか普通に怖い。
しかしやはりと言うべきか現れたカニは若干強めにデフォルメされていた、白い目も身体のラインもなんだか丸っこい。
結構プリティーなカニさんである。
「アレは隠れクラブよ、基本的に探索者とは戦わずに穴を掘って隠れたり海面の中に逃げるモンスターね」
「臆病なのかい? ならなんで私たちの前には普通に現れてるのかな…」
私たちの前に現れた隠れクラブは普通にしている、一応チラチラとこちらを見ているがハサミを見せてきて威嚇とかもしてこない。
なんかハサミで砂をほじほじして砂を口に運んでいる。
まさか砂の中の餌であの巨大な身体を満たしているの?
なんてエネルギー効率のいいカニモンスターなんだ、なんか格好良く見えてきたかも。
「ふふっハルカ、この隠れクラブは襲って来たりしないんだよね? 近くで見てみると案外可愛いかもね」
「ええっその子は……」
あっ逃げた、しかも結構速い。
どうならいきなり近づき過ぎたみたいだ、今度会ったら離れた所から観察させてもらおう。
そんな出会いもあり進んでいくと…。
「あっまたカニ系のモンスターだ、あれも隠れクラブみたいに安全なヤツなの…」
「グジィイイーーーーーーッ!」
なんか今度の黒い大きなカニは全力で威嚇してきたんですけど?