第100話◇
ダンジョンでの日々がそれからも過ぎた、今は日本の季節も移り変わりつつある。
そんな今日、やっとこさダンジョンの新たな成長が見える日となった。
先日、相変わらずのスケルトンシップ艦隊をダンジョンモンスターが殲滅するのを見守っていたらハルカが教えてくれたのだ。
「ヒロキさん、恐らく明日、ダンジョンがまた大きく成長するわよ」
「本当に? 今回は前回より大分時間がかかったもんだね…」
「何言ってんのヒロキ君~ゲームでもキャラのレベルが上がると次のレベルアップまでの経験値はモリモリ高くなるものよ~?」
ここでまさかのゲームの話。
しかし言われてみるとその通りだ、むしろここまで大きくなってまだ成長を続ける我がダンジョンが誇らしく感じる。
「ふふっ確かにそうかもね、それにしてもこれ以上の成長か。次はどんな姿になるのか想像もつかないな」
「そうね、よりこの世界は大きくなってヒロキさんや私たちをも驚かせてくれるわよ」
「ああっとても楽しみだ」
と言う感じの会話があったのだ。
その日の夜はワクワクして若干寝不足となってしまったよ、昨夜はダンジョンじゃなくて新居の方にて寝た。
次の日にダンジョンに向かったらその成長をサプライズで確認したかったからだ。
天井は素人仕事だが何とか直した……のだがそれをみたネシアが「あんなので直したなどと言えるか!」と怒ってこの頃はドラゴンメイドさんを派遣して我が新居の大幅なリフォームだかリノベーションを検討している。
いやっ今は新居よりもダンジョンだな、起きた後は歯磨きと寝間着を着替えて身支度を整える。
その後は朝食だ。ダンジョンが変化をしてたら直ぐに探索に向かいたくなるに決まっているからね。
ハルカとアヤメも昨日は新居の方で寝たので3人で朝ご飯を食べる。
「ごちそうさま、ハルカ、アヤメ準備はいいかい?」
「ええっ問題ないわ」
「いやっそもそも2人とも何にも荷物ないじゃないの! ワタシだけじゃないリュックサックにキューブ化させた食べ物や飲み物や使うかもな荷物を入れてるのは!」
確かにその通りだ、だってキューブ化させたら荷物なんて1人分で十分なんだもん、仕方ないのである。
そして朝の七時過ぎには全ての準備は整った。
「……ダンジョンゲート!」
そして私たちはダンジョンゲートを抜けた。
そしてその先には……。
何にも変化がない我がダンジョン島があった。
「……………え?」
「何にも変わってないわよハルカ?」
「ふふっそれはどうかしらね?」
どうやらハルカは何か気づいている様子だ、どこだ?
どこかに変化が起きている筈だ。
しかし私がいくらダンジョンを確認しても変化は見つからなかった。
するとハルカがふうっと溜め息をついて私の肩をトントンとする。
振り返った私の視線に飛び込んできたのは……。
「え?」
「ようやく見つけたわね、ヒロキさん」
そうっ白い砂浜と青い水平線しかなかった我がダンジョンの海。
そこに新たな島があったのだ。
しかもよく見るとそこまで離れてもいない、砂浜の方から白い砂丘の道が出現していてそれが新たな島まで続いている様に見えた。
何という事だ、まさか新たなダンジョン島が出現するだなんて…。
「さすがにこれは予想出来なかった…」
「ワタシもよ~アヤメは直ぐに情報を集めて~~」
「ふふっ3人とも無情報で行くのはさすがに私たちでもナンセンスでしょう?」
私は改めて新たに出現したダンジョン島を見る、ここからだとさすがに距離があるのでその全容は分からないな。
けど、だからこそ行ってみたい欲がモリモリと湧いてくる。
とっ言うわけで…。
「アヤメ、ハルカ……今すぐ行こうか!」
「ええっもちろん」
「イエス! ゴーゴーッ!」
そして私たちは新たなダンジョン島に向けて砂浜を進み始めた。
白い砂を踏みしめるとキュッキュッと音がする、いつだって未知の場所に行くのは少し緊張して。
そしてワクワクするものだ。
これからもこんな日々が続くのだと考えるだけで、ダンジョンに行く前には全くその価値も意味も何も感じる事がなかった『未来』にそれこそ使い古された言葉だが…無限の可能性を感じる。
そんな事を考えると進む足にも力が入るな。
私はハルカにアヤメやアンジェさん、それと工藤さんにアズサたち探索者やネシアたちダンジョンの存在。
その全てのお陰でここまで来れた。
その恩を返しつつ私自身の人生を謳歌して行ければと思うんだ。
「本当に面白いね…ダンジョンは!」
ここでお終いにする予定でしたがもう少しだけ続けて見ることにしました。