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日曜日

作者: アキ

 「明日になればまた会える」

 だから日曜日の夜が好きだった。そんな当たり前が幸せだった。

 もうあの場所を離れてかなり経つのに未だに日曜日の夜、明日になればと思っては悲しくなる。もうあの場所には行かないのにな。だから日曜日の夜は大嫌いだ。

 いつまでも続くと思っていた。永遠なんてないと言いつつもどこか心の奥ではそれを信じていた。失って知る大切さなら知らないままでいたかった。何気ない話も喧嘩も馬鹿なことをして笑ったり怒られたり、その全ては他の誰でもなく君とだから楽しかった。自分の心に素直になれなかった日々でさえ今となっては愛おしいが大嫌い。

 実感がなかなか湧かずに最後の時さえまた明日になれば会える気がしていた。一週間ほど会えなくなってから実感が湧いた。頭では分かっていたはずなのに何故か受け入れられなかった。その夜は何故か涙が止まらなかった。ほんの数日前ならばまた会えるから好きだったはずの日曜日の夜だった。

 願わくばもう一度会って話がしたかった。何か直せるところがあったのではないか。何が足りなかったのかだけでも知りたかった。そんな後悔とあの頃の幸せを思い出させる日曜日、電気を消すと涙が出る。だから嫌なんだ。強がりだって笑われても構わない。思い出したくないからあえて自分にも大嫌いだと言い聞かせる。

 その日曜日がいつか好きになれる日は来るのだろうか。再びあの高揚感と多幸感に包まれる時は来るのだろうか。そんなことを考えていた日もあった。やはり視界の滲む日曜日の夜は大嫌いだ。

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