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ダンジョンにて・・・・・・E級険者アル

主人公じゃ


「はあ、はあ、サラ大丈夫か」

「あったり前よ!あんたこそいき上がってきてるんじゃないの?」

「ちっ、大丈夫だってーの。まだまだいけるぜ」

「「げぎゃげげげ!」」


大丈夫だといいながらももう、息が上がって上がってしんどい。それは相方のサラおんなじだ。しかし、止まるわけにはいかない。なんといってもあのむかつく多くの声がそう遠くない距離から聞こえてくるからだ。


追ってくる魔物どもの名前はゴブリン。外で戦うには最低ランクのモンスターたちだ。上位種のゴブリンが発生したときには強くなることもあるが、今追ってきているのはただのゴブリン。俺たちが金に困ってダンジョンに突入した新人だったとしても簡単に倒せるはずのあいて。


「くっそ、ダンジョンの魔物が強いったってこんなに強いとは聞いてねー!」

「酒場の飲んだくれどもがいってただろーが。つよい、つよいって」

「しるかっ、あんなみっともねーやつらのいうことなんて。大体おまえもらくしょー、とかいってただろ!」

「最終的にいくって決めたのはあんだでしょっ。もう、出たらご飯おなかいっぱいおごってもらうからね!」

「おごるって、財布は共有だろっ。」


知っている。こんなことを言い合いながら逃げるより、黙って逃げた方がいいってことは。でも、こうでもして空元気でも出しておかないと体の前に心が折れてしまいそうだから。まともな村じゃなかったけど「諦めたらそこで終わりだ」っていう大人達の言葉だけは納得した。外の依頼に失敗したり、まともな稼ぎがとれずにこんなダンジョンに無理矢理来るぐらいの状態になってもその言葉は胸に抱えていた。

とはいえこのまま二人とも逃げ切るってのは厳しい。


「・・・・・おい、次の角のところで例の作戦な。」

「ちっ、どんな結果になっても恨みっこなしだよ。」

「当たり前だっての今更そんな確認いらねーよ。」


憎まれ口をたたき合っているうちに次の角がもうすぐに迫っている。ここで俺たちは一つの決断を迫られる。けど、もう俺の気持ちは決まってる。だからこそこの作戦を事前にサラに伝えていたのだから。


「心は決まったな」

「あんたこそ決まってるんでしょうね。」

「決まってるっての。それじゃあ「せーのっ!」」


どうしようもない状態になったら二人のうちの一人がおとりになってもう一人を逃がすという作戦。どちらが逃げて、どちらがおとりになるとかは決めてなかった。そんなことまで決めるとあいつは意地を張って自分が残るとか言い出しそうだし、俺はあいつのために残るって決めてたから。あいつだって命は惜しいだろう。だから、一つの足音が遠ざかっていく。


そうなればよかったのに!!


「おいおい、二人とも残ったら意味ないだろーが。今ならまだ間に合うからおまえ逃げろよ。」

「はー?ざっけんなっての。このサラ様が敵から逃げ出すわけないだろーが。あんたこそ逃げろよ。

 こういうときに片方だけでも助かるためにあんたが決めた作戦だろ。」

「女残して逃げられるかっての。」

「あーうっざ。そういう男女差別がいけないんだって村の奴らもいってただろ」

「その村の奴らを一番信用してなかったおまえがよく言うよ」


所詮お互いに疲れている身だ。時間稼ぎのおとりになったところでそんなに時間は稼げない。だからこそ視線が途切れる曲がり角でおとりになろうって話だった。

そんな作戦がむちゃくちゃになってどちらも逃げられず、それでいて言い合いをすることになってしまったがまあ、悪くない気分だ。だってそうだろう。俺がこいつのことを生かそうとしたように、こいつも俺のことを生かそうとしてくれたっていうことなんだから。


「はあ、しゃーねー。精一杯暴れてやりますか。」

「まっ、もう、そうするしかないよね。やってやろうじゃない。」

「・・・・・なあ、サラ」

「何だよ、アル」


すぐに追いついてきたゴブリン共に強い視線を向けているサラの横顔を見つめ。


「おれさ、・・・・いや、何でもない。やるかっ。」

「変なの」


それっきり俺もゴブリンの方に全神経を向けたから俺は知らない。サラが「いくじなし」とゴブリン達のに紛れてつぶやいていたことを。


ないです

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