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復活の『粉微塵』

「02と04は何をやっているんだ!」


 ファントムリーダーは小声で毒づく。

 敵の奇襲を受けていた。

 『物体の発見』のマギウススペルによって魔石兵の位置を特定したまでは良かったが、『物体の発見』のマギウスロックを感知されたのだろう。魔石兵は手ぐすね引いて待ち構えていたのだ。

 スラムの爆発の様子を見に行った小隊員二人は、未だ音信不通である。




 『物体引き寄せ』に胸ぐらを捕まれ引きずり込まれていくファントム03は、マギウス通信越しに悲痛な声を上げる。


『隊長!助けてください!隊長!!』


『慌てるな03!ロックを切れ!演習を思い出せ!!』


 最下級スペル『光球』にマギウスロックをなすりつける。『光球』は『物体引き寄せ』に引かれて猛烈な速度で地上の路地に飛んでいった。


 だが、即座に再度の『物体引き寄せ』がファントム03の顔面を掴む。『仮面』がミシミシと軋み音を立て、割れ砕けて飛ぶ。ファントム03は、空中でつんのめった。


『仮面が!仮面がないと!!』


「おちつけ03!立て直せ!『飛行』を切らすな!」


 ファントムリーダーはそこまで言って、マギウス通信のための『ひそひそ』が切れていることに気づく。ファントム03は自分の『ひそひそ』まで、敵のマギウスロックとともに擦り付けて外してしまったのだ。

「くそっ」



『隊長!仮面がないと!顔が!顔が!わあああああっ!!』


 空中でバランスを崩したファントム03の足を、『物体引き寄せ』がぐいっと引っ張る。ファントム03はパニックになり、そのまま落下していった。



「若い力を信じろなどと、無責任なことを言って!!」


 ファントムリーダーは、新人を押し付けてきた上役へ、恨み言を言う。

「『物体引き寄せ』を向けてきたら、『爆裂火球』を押し付けてやる」




 路地に潜む『粉微塵』は左手で、地面に激突した瀕死のファントム03の頭を掴む。ファントム03は弱々しくうめき声を上げた。

 『粉微塵』の折られた右手と両足は、なにかパテのような白いもので覆われ、関節もなにもない円柱と成り果てていた。

 鉄仮面の奥から、詠唱の声が響く。

『マギウススペル【マジックジャー】、発動』


 左手から放たれた電撃は、ファントム03の体を激しく痙攣させる。

 やがて白煙をあげたファントム03の体を打ち捨てて、『粉微塵』は言った。

『…理解した』




 突如『飛行』のマギウスで上がって来た『粉微塵』を見て、ファントムリーダーは目をむいた。

「マギウススペル『マギウス弾』、発動!」


 ファントムリーダーの放った『マギウス弾』を、教本通りの回避運動で躱した『粉微塵』は、ねじり込むようにファントムリーダーに肉薄する。


「訓練を受けた動きだと!どこの所属だ!」


 緑の光をたたえた左手が、ファントムリーダーの『盾』を穿ち、腕を掴む。



 ファントムリーダーは、何かを言う暇さえ無く、粉微塵になって消えた。



 路地を低空で飛翔しながら、『粉微塵』は新しく覚えたマギウススペルを使う。

『カトブレパス・ゴルゴーンの死骸を対象に、マギウススペル【物体の発見】、発動』


 マギウスの信号が、『粉微塵』にその位置を伝える。


『決着を付けるぞ、銀色の化け物』

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