祐と御門
7時50分、この時間帯が1番登校中の生徒数が多いのだ。
そんな中、師子堂祐はベンチに座り1人の生徒を待つ。それは唯一無二の親友である三千院御門である。
御門の姿が見えると軽く手を振る。
「おはよう、祐。今日は早いね」
「普通にいることに驚かないのかよ」
「何となくいる気がしてたし」
伊達に十年以上の付き合いではないようだ。
「そういや、家出少女のことはどうなったの?」
「恵梨香な、あいつはしばらく俺の部屋で預かることになった」
「そうなんだ、それはそうとちょっと後ろ向いてくれない?」
「ん?」
疑問に思いつつも大人しく後ろをむく。
すると、後ろからコブラツイストを決められた。
「ぎゃあああ!」
「あの後、自体の収集つけるの大変だったんだからね!分かってるの!」
「俺があの攻撃に突っ込んだことは怒らないのかよ」
「それはもう今更って感じ」
ようやく解放される。未だに身体中が痛い。
「祐は自分のことよりも他人のことを1番に考える主人公気質だからね」
いつも通りの優しい笑顔で御門が言ってくる。
何だか、こそばゆい。
「ほら、行こう」
「あ、あぁ」
そして少しの間だけ日常が流れる。