第3回 聖徳太子(2)
蘇我と物部の戦いは結局仏教擁護派の蘇我が勝利したが、これがもしも、仏教排斥派の物部が勝利していたら、どうなっていたかという視点で。
物部が勝利すると、物部守屋が率いる仏教排斥派がますます勢いを増し、一方で蘇我氏らは窮地に追いやられる。
が、馬子や蝦夷らは、なおも屈することなく、厩戸皇子=聖徳太子を担ぎ上げて、抵抗を続けていた。
厩戸皇子は、蘇我氏の残存勢力とともに、物部守屋ら仏教排斥派に立ち向かおうとしていた。
そのことは物部守屋も知っていた。
「蘇我の残党どもを始末せよ!」
そして、これが最後の戦いと決めた、天下分け目の戦い。
「どんなことがあっても、この戦いに勝たなければならない、そうでなければ、仏教は本当に排斥される。」
幸いにして、物部の治世に不満を持つ者たちが、蘇我に次々と味方していた。
するとその強いこと。ここが天下分け目の戦いと挑んだこの戦いで、蘇我軍が見事に勝利。
「た、大変です!守屋様!」
「どうしたのだ!?何があった!?」
「物部軍の半数以上が、蘇我軍に寝返りました!」
物部軍にも呼び掛け、蘇我軍に寝返らせたのが、他ならぬ厩戸皇子。
物部軍も半ば無理矢理士気を高めるため、他の豪族らを味方につけるために、
あの手この手を使って、他の豪族たちを懐柔していたが、やはり一枚岩ではなかったようだ。
「我が物部軍の中に、寝返る者が続出、また蘇我軍と秘かに内通する者も多く、
大した戦闘とならないまま、物部軍の多くが蘇我軍に着き、
我が軍の戦力は大いにそぎ落とされてしまっています。」
「な、なんだと、そんなことがあるのか!?
いったい誰がそんなことを、いったい何が起こっているんだ!?」
物部守屋からすれば、もはやどうすることもできないような状況。
そんな時だった。ついに蘇我軍の兵たちが物部の屋敷まで攻め込んできた。
カキン!キン!
「おのれ!こしゃくな!」
カキン!キン!
ズガッ!ドスッ!
「がっ…!」
ドシャッ…
こうして物部守屋は討ち取られた。
残った物部軍の兵たちはもはや戦意喪失し、白旗を上げて蘇我軍に降伏。
「おおっ、白旗だ、物部軍の兵たちは降伏したか。」