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みんなの卯の花祭奮闘記・三嶋


 体育館に行ったら誰もいなかった。


 待ってたのに、誰も来なかった。


 練習終わったのか。


 帰るか。


 あと3分待って誰も来なかったら帰ろう。


「三嶋」


 来ちゃった。テオドール。


 腕を組んで笑ってる。目は笑ってない。


「今、何時だかわかる?」


 知らない。時計してない。


「日村を保健室まで送ったら、すぐ戻るって約束したよね?」


 してない。こいつが勝手に言っただけ。


「何で日村に付き添ってた紫音さんの方が先に戻ってくるんだ」


 さあ。


「それに、何で体育館にいるんだ。被服室にいるからね、と言ったはずだけど?」


 そうだっけか。


「話してるんだから、返事くらいしろよ」


 苛ついてる。


 こいつ怒るとめんどくさいから。


「ごめんね」


「悪いと思ってないだろ?」


 頷いたら、前髪を引っ張られた。


「痛い。禿げる」


「そんな強く引っ張ってないよ。明日からは絶対練習に参加しろ。いいな」


 乱暴。横暴。嫌な奴。


「別に俺がいなくてもいいじゃん」


 王子の側近なんて、一人いれば十分。


 セリフらしいセリフもない役。


 俺が出る必要なんてない。


「僕が嫌なんだよ。あいつらだけじゃ、つまんないだろ」


 テオは手をはなした。


 無事だったか、前髪。


「よし、こうしよう。お前が始めから終わりまでちゃんと練習に参加すると約束するなら、とびきり美味しいオヤツを用意してやる」


 ちょっと考える。


 練習はめんどくさい。


 何時間も拘束されるのもうざい。


 でも早く家に帰っても、寝るか食うかくらいで、特別やることもない。


「どうする?」


「約束する」


 ただで美味いものが食べられるなら、いいか。


「約束したんだから、明日からはちゃんと来るんだぞ。今日はもう帰っていいよ」


 テオドールは、今度はちゃんと笑って、言った。



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