みんなの卯の花祭奮闘記・三嶋
気付いたら4時半だった。
練習は3時半から。一時間の遅刻。そのくらい問題ない。
マドレーヌが残ってるか心配。
保健室を出たら同じクラスのチビがいた。
野良犬っぽいやつ。
犬種は毛の長いポメラニアンみたいな。
野良のポメラニアンなんて見たことないけど。
「またさぼりかよ、三嶋」
なんか絡んできた。
犬って目があうと吠えるっていうしな。
「いいなあ、保健室登校は自由きままでさ。俺もめんどくせー時は保健室に逃げ込もうかなー」
バカにしたような言い方。
「黙ってないで、なんか言えよ」
なんか。なんか?
「誰だっけ」
「聞くのおせーだろ! つーかクラスメイトの名前くらい覚えとけよ! 小日向だよ!」
コヒナタ。そういえばヒナタって呼ばれてた気がする。
コヒナタだからチビっこいのか。
コヒナタ・ポメラニアン。
「おまえ、練習行かなくていいのかよ」
ポメ(コヒナタもポメラニアンも長いし言いづらいから、これでいいや)がたずねた。
「今から」
「今から? とっくに練習始まってんぞ?」
「知ってる」
「おまえ、本当にマイペースな」
呆れたように言われた。
よく言われる。