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ザコル幼年期

初投稿になります。

今回の小説は、実験の様な物なので文法や描写力には自信が無いです。


内容は短く纏めたので3話で完結になりますがご了承ください。


 

 

 


「ザコル。貴方はどうしてそんなに剣の練習をしているの?まだ6歳なんだから遊びに行きたくないの?お昼なんだから、お友達も外に居るわよ?」


 自分で作った木剣で素振りをしていたら、母さんがそんな事を聞いてきた。

 

 「母さん俺にはやりたい事があるんだ。それを成すには努力を欠かす事が出来ない。これだけは絶対に譲れない!」


 「どうしてこの子は…。少し前までやんちゃな子供だったのに、今はまるで別人ね。……ザコルは冒険者とか騎士になりたいの?母さんとしては、あまり危ないことはしてほしくないんだけど」


 「確かに俺は冒険者になるつもりだよ。でも、冒険者になるために特訓をしているわけじゃなくて、冒険者になることで起きるイベント(・・・・)の為に特訓しているんだ」


 「???えっと、母さんよくわからないんだけど…」


 「いいよ別に。ただ、ちゃんと考えて特訓してるって分かってくれればそれでいい」 


 「そ、そう。よく分からないけど分かったわ。ザコルは頑張ってるのね……」

 

 母さんはそう言うと家の中に戻っていった。それを見届けながら木剣を振り続ける。

 何度も何度も何度も何度も振るう。体が自然に剣の振り方を覚えるために何度も振るう。


 きたるべき決戦の為に俺は自分を徹底的に鍛えることにした。




 つい一週間前の事だ。俺はこの世界とは別の人間の知識…所謂前世の記憶を思い出した。

 最初は頭がイカれたかと思ったが、徐々に知識が融合して落ち着いたとき俺は悟った。


 この世界は前世でやった【ブレイブソード】というゲームの世界とそっくりだと。

 

 ストーリーはこうだ。

 日本の高校生が突然異世界にあるヴァルク国という場所に勇者として召喚されてしまう。そうして、国王に魔王を倒してほしいと頼まれ了承。

 魔王を倒す旅に出かける事になる。

 その際に冒険者登録をする時に出会うのがザコルだ。


 ザコルというキャラクターは主人公に食って掛かる噛ませ犬キャラだ。

 身長170cm前後。顔立ちはあまり良くない。

 髪の色はくすんだ金髪で、髪型はボサボサで適当。それがゲームのザコルだ。

 今のところ髪の色は同じみたいだ。


 主人公との初めての出会いは、冒険者登録をしにきた勇者パーティーに絡んで喧嘩を売って、ボコボコにされてしまう場面。その後も、勇者の仲間の姫や女騎士にちょっかいを出して、その度にやられるキャラだ。

 最後には主人公を闇討ちするが、返り討ちにあって死ぬ。救いようがないキャラだ。

 

 主人公はザコルを殺すが、殺人の後悔やザコルに対しての思いが語られるイベント等は一切無い。、ザコルは唯の敵キャラとして処理されてしまう。



 ――だがそれはゲームでの話だ!


 今の俺はザコルとして確かに生きている。前世の記憶を思い出さなかったら悪ガキのまま成長し、チンピラ同然の性格をしていた事だろう。

 

 だが、今の(ザコル)は違う。

 何も知らないザコルはもう居ない。

 未来を変えるために、今から鍛えることにしたのだ。


 ザコルにとって勇者である主人公は天敵だ。冒険者にならずに避けたりもできるし、逆に仲間になるという選択肢もあるかもしれない。


 だが俺は逃げない!真正面から絡んで食ってやる!噛ませ犬だって主人公を食えることを証明してやるよ!


 決戦の場所は主人公が冒険者登録をしにくる場面。今から約20年後になるだろう。それまでに、主人公を圧倒できる強さを身につけなければならい。



因みに。

 主人公に名前は無く、プレイヤーの任意で決定する。主人公は召喚された際に、光魔法や身体能力上昇等といった恩恵を受けており、常人よりも大分強くなっている。

 よくある中世ヨーロッパ風のファンタジー世界だ。

 ギャルゲー要素もある。

 メインヒロインであるヴァルク国の姫を筆頭に、条件を満たせば旅で出会うヒロイン達も仲間に出来て攻略可能となる。

 

 俺が前世の記憶で思い出したのは、このゲームの事と一般常識のみ。

 前世の自分の名前や素性は一切分からない。ただ、覚えている知識から言って、恐らく学生だったのだろう。あまり役立つ情報を覚えていないからだ。



 俺は素振りをしながら今までの経緯を思い浮かべた後、鍛錬を次の段階へ進ませる。


 「ふっ、ふっ、…素振りはここまでにして、次は走りこみだな。まだ村の外を出歩くのはまずいから、村の中を走るか」


 俺は手に持った木剣を腰に差し、村の中を走る。


 俺が住んでいる村は、ヴァルク国にあるヨイという村だ。

 人口300人程の小さな農村で、全周はおおよそ10km―この世界でも(メートル)や㎏といった単位を使う―

 村の住人は農業を営んでいて、大抵の住人は個人の畑を持っている。

 我が家も当然ながら農家だが、別に家業というわけではない。

 家を継ぐ継がないという話も無く、子供は自由に将来を選べる。

 勿論農作業の手伝いはするが。


 

 「おやザコルじゃないか。また走ってるのかい?てっきり三日坊主だと思ってたのになかなか根性あるじゃないか。少し見直したよ。ただの悪ガキじゃないみたいだね」


 走っていると、顔見知りのおばさんが話しかけて来たので一旦立ち止まる。


 「ああ。俺は変わったんだ。このままじゃいけないとね。だから強くなるために努力を惜しまないのさ」


 俺はにこやかに答えた。するとおばさんは、奇妙な物でも見るような目で俺を見た。失礼なババアだな!


 「……あんた変わり過ぎだろ。本当にザコルかい?まさか何か取り憑いてるんじゃないだろうね」


 何気に鋭い。だが俺はそんな事では動揺しないぜ!

 

 「そそそそそんな事あるわけないじゃなくなくなくなななない!」


 「……えっと神父さんの所に行かなくちゃ。ザコル良い子にしてるんだよ。きっと良くなるからね」


 「違うから!取り憑かれてないから!ちょっと噛んだだけだから!」

 

 それから何度も説得して、ようやく納得させた。

 そして、俺はまた走り出す。

 おかげで除霊される事はなくなった。まあ、取り憑かれてないけど?

 

 

 俺は目標として一日1kmほど走るようにしている。流石にまだ6歳児なので無理は出来ないのだ。

 道中すれ違う村人に挨拶をしながらゴールである冒険者ギルドに向かって走り続ける。

 だが、そこはやはり6歳児の体力。道半ばで体力が底を付いた。

 だが今日こそは完走してみせる!いつまでも昔の俺だと思うなよ!

 

 「はぁ、はぁ、まだだ!俺は行ける!自分を信じるんだ!やれるやれる!やれるって!!」

 

 諦めるな!もう少し…あとちょっと…あと1分…

 できる…俺はできる…信じてるぞ…俺……




 ――自分を鼓舞しながら走っていたら、いつの間にか冒険者ギルドの前にいた。自分でもちょっとビックリ。


 「はぁ、はぁ、し、しぬほ、どつかれ、たぜ。へ、へへへ、でも、じ、ぶん、しんじ、てよか、った!」


 「いや良くねえよ!お前死相が見えるぞ!?」


 俺が勝利の余韻に浸っていると、中年のオッサンが話しかけてきた。


 このオッサンの名前はサイード。36歳。

 ヨイ村に常駐している冒険者で、ランクはC。

 一般的にCランクの冒険者は一人前とされている。

 茶色の髪を短く整えており、体つきもがっしりとしていて、その上に全身を覆うプレートアーマーを着ている。顔も渋いダンディなオッサンだ。

 俺の師匠でもある。


 「はぁ、ぜぇ、…ふぅ。ああ師匠帰ってきてたんですね。今日は稽古はつけてくれますか?」

 

 「つけてもいいが、お前本当に大丈夫か?さっきすごい顔していたんだが…」

 

 「大丈夫です!問題ありません!」


 「はあ、分かったよ。ただし!休憩してからだ」


 「はい分かりました。ところで、何のクエストに行ってたんですか?」


 「ん?ああ、ゴブリンがちょっと増えてきてたみたいでな、その間引きだよ」


 「どうでしたか?」


 俺はゲームとしての知識はあるが、今は現実。実際の戦闘経験がある筈もなく、生でゴブリンを見た事もない。

 

 「そうだなぁ、数十匹ぐらい居るゴブリンの巣を発見して、勇敢な俺は果敢に挑み、ちぎっては投げての大活躍!そして…」


 「あっ、そういうのはいいです。普通に話して下さい」


 「可愛くないガキだな…。と言ってもなあ、単純に斬り伏せただけだしな。上位個体も居なかったし、ゴブリン発見! 突撃! 終了! で終わりだ」


 「え、終わり?」


 「そうだ」


 「はぁ。まあいいです。で、母さんとは上手くいってますか?」


 「何だ突然。まあ何だ、その、あーまあ、うん、良い感じかな」


 オッサンがモジモジしながら顔を赤らめている。


 「キモ!」


 「うるせえ!」


 俺の家は母子家庭で父親は俺が生まれる前に病気で死んだらしい。

母さんはまだ30歳で美人だ。十分再婚は可能だろう。


 オッサンは3年前にヨイ村に来て母さんに惚れてしまった。以来村に留まり俺達家族に世話を焼いてくれている。

 下心ありまくりだが、母さんも満更ではない様子だ。

 俺が稽古をつけてもらっているのも、その関係からだ。


 「それで師匠。休憩はもう良いのでは?」


 「そうだな。木剣は持っているな…良し、構え!」


 俺は腰に差している木剣を抜き、所謂正眼の構えをとる。


 「ほう、様になってきたじゃないか。サボってはいない様だな。いいぞ剣を振れ!」


 振り下ろす。切り上げ。突き。横薙ぎ。一連の動作を行う。


 「まだまだだな。剣筋も粗いし、力も入りすぎている。いいかまずは……」




 暫く師匠に稽古をつけてもらっていると、日が暮れてきた。


 「……今日はここまでだな。よし帰っていいぞ」


 「まあまあ、そう言わずに。家で一緒に夕食でもどうですか?」


 「……イレーネさんの料理は美味いからな。お前が誘ってくれるなら行こうかな」


 「まあ稽古のお礼ですよ。そのまま母さんと、夜の稽古でもしたらどうですか?」


 俺がそう言うと師匠は吹き出した。


 「お、おま、いきなり何言ってるの!?馬鹿なの?ねえお前馬鹿なの!?」

 

 「嫌だなあ。俺は夜の稽古としか言ってませんよ。何を想像したんですか?唯のギブアンドテイクですよギブアンドテイク。クックック」


 「悪ぅ!ザコル悪ぅ!お前こんな性格してたのか……」


 そんなやり取りをしながら俺達は家路についた。





~4年後・ザコル10歳~


 時刻は正午。庭で一人の男と向き合い木剣を構える。



 「じゃあいくよ父さん(・・・)


 「ああ。かかって来い!」


 今日は、師匠からクラスチェンジした父さんと模擬戦をしている。


 父さんと母さんは2年前に結婚し、今年には妹が生まれた。

 俺は相変わらず、ひたすら鍛え続けている。すべては決戦の為に!


 「はああ!!」

 

 一気に距離を詰めて木剣を振り下ろす。

 だが当然父さんは避ける。それは分かってる。体格の差があるので間合いを詰めるための牽制だ。


 距離が近づき俺の間合いに父さんが入った。勝負はこれからだ。


 「ふん」


 「シッ」


 父さんの木剣と俺の木剣がぶつかり合い音が鳴り響く。


 当然ぶつかり合えば打ち負けるのは俺だ。そんな事は分かりきってる。

 父さんの力に逆らわずに利用。

、体を回転。

 そのまま足を狙う。

 

 「おっとと。危ないな」 

 

 父さんは後ろに跳んで避けた。いい線いったと思ったのに。


 「今のは良かったぞ。じゃあ今度はこっちから行くぞ!」


 父さんが大人げなく本気を出してきた。

 幾重にも木剣を振るって俺に向かって何度も振り下ろしてくる。

  

 俺は捌くので精一杯だ!ちくしょう!

 体格が違いすぎる。

 木剣で防ぐ事しか出来ない。


 父さんの剣筋を見極めて弾く!弾く!弾く!


 …あっ、やべえ。腕痺れて……ああ!!


 俺は腕の痺れに負けて、木剣を落としてしまった。

 すると、ドヤ顔している父さんが視界に入った。


 「ふっふーん。ザコルもまだまだだな!」


 「……へえ、10歳の子供に本気を出して勝ってそんなに嬉しいんだ。小さいなあ器が」

 

 「本気じゃないね!まだ半分くらだし!」

 

 40歳のオッサンが言う台詞とは思えないな。まあ楽でいいけど。


 「はいはい分かりましたよ。父さんは凄く強いですねー。尊敬しますー。妹のミーアも、メロメロになるでしょうねー」


 「心にも無いお言葉ありがとよ!」


 失礼な。人が折角褒めてあげたというのに。まあ棒読みなのはご愛嬌という事で。


 「まあ実際ザコルは強くなったぞ。冒険者でいうとDランクくらいの実力はもうあるだろうな。10歳でこの強さとは将来が楽しみだ。いずれ俺を超えるだろう」


 超えなくては話にならない。ゲームのザコルはCランク冒険者だった。父さんも同じCランクなので、少なくとも父さんを倒すことが出来なければ主人公に勝つのは無理だ。


 「じゃあ父さん。稽古も終わったし、魔法の鍛錬をやるね」

 

 「分かった。あまり根を詰めるなよ?お前は頑張りすぎるからな」


 「大丈夫だって。ミーアの面倒でも見てあげなよ」


 「……俺はお前の事も血を分けた息子だと思ってる。もし何かミーアの事で俺に遠慮しているなら――」

 

 そんな野暮な台詞は遮って答える。


 「俺がそんな殊勝な子供に見えるの?遠慮なんかするわけないじゃん」


 「だよな。お前はそういう奴だよ」


 父さんは笑うと、家の中に入っていった。

 父さんはちゃんと俺の父さんだ。そんなの分かっているよ。



 ――さて気持ちを切り替えて魔法の鍛錬を始めよう。

 10歳前後になると魔力を扱えるようになる。

 それがこの世界の常識だ。

 人間が持つ魔力量の平均は少ない

 だが、稀に魔力が多い者も生まれる。そういった人達は、魔法使いになれる素養があるのだ。

 魔力は筋肉のように鍛えることが出来るが、上昇量は個人差がある。

 他にも魔法の適正等があり、例え魔力量が多い人間でも、適正が無ければ生活魔法や身体強化ぐらいしか出来ないのだ。


 俺は2ヶ月前に魔力が発現し、適正を調べた。

 ――俺には魔法の適正が無く、魔力はそこそこ多いという事が分かった。


 俺に適正が無いことが分かっても、落ち込むことはなかった。むしろ、魔力が多い事に驚いたぐらいだ。


 ザコルは魔法を扱えないのは知っていた。だが、ゲームには魔力による身体強化という概念が無かったのだ。能力を底上げする魔法は存在していたが、火属性や風属性の魔法だった。なので、魔力による身体強化は初耳だったのだ。


 俺はこの事実に興奮した。身体強化を極めて、主人公を圧倒できる可能性が出て来たのだから。

 

 ――今日も鍛錬を開始する。 

 魔力を体内に循環させるように巡らす。これが一般に知られている強化の方法だ。

 だが、これで納得はしていない。別の方法がある筈だ。


 魔力を循環させるときに、イメージをもっと強くしてみたら?

 

 イメージは血流。魔力を血液に見立てて循環させる。


 ……先ほどよりも効果は確かにある。

 だが、まだだ。もっと考えろ!

 血流のイメージは最初よりも細かく循環させていた。

 なら、もっと小さく細めて細胞レベルでの活性化はどうだろう?試してみよう。



 「……あがっ、があああああああ!!」


 細胞レベルで細かく魔力を循環させようとしたが、脳の処理能力を超えた様で、脳に直接手を入れられてかき回された様な激痛が走る。そして、大雑把に活性させた肉体にも激痛が走ったのだ。


 あまりの痛みに耐えられず、地面に倒れてしまう。ああ、土の匂いだぁ…….


 俺の叫び声が聞こえたのだろう。家から父さんと母さんが飛び出してきた。


 「ザコル!!一体どうしたの!?サイードどうしよう…ザコルが!!」


 「落ち着くんだイレーネ!外傷は無い様だ。…おいザコル一体何があった!?大丈夫なのか!?」


 正直死ぬほど痛くて口も開きたくはなかったが、そういうわけにもいかない。

 両親を安心させるために答えるべきだろう。それに対価もあったしな。


 「大丈夫……。ちょっと新しい修行を実践してみただけだよ……」


 「新しい修行?お前がやっていたのは身体強化のはずだが。それがどうしてこうなるんだよ……」


 「ああちょっとね……。俺が考えた独自の理論で身体強化をしてみたんだ。流石に初めてだから失敗しちゃったけど、これを完成させれば誰にも負けない力を得ることだって不可能じゃないよ!」


 肉体に激痛が走ったのは、急激な身体強化に俺の体が耐えられなかったからだ。だが、逆に言えばそれだけの力を引き出せたと言う事だ。

 今回は失敗してしまったが、これからは適度な強化具合を知ることや、魔力の扱い方をもっと精密に行えるようにするのが課題になる。

 いいぞ!楽しくなってきた!


 「ふふふふ。あーはっはっはっは!!」


 「……ねえザコル。あなたが無事で、機嫌が良いのは分かったわ。でもね?高笑いしても地面に転がったままじゃ格好つかないわよ?」


 「まあザコルだし……」


 「こら!どういう意味だ!!」




 新たな目標が出来た。

 日々を身体強化の特訓に費やしていく。

 そして、相変わらず決戦の為に自分を鍛え続けていくのだった……。






 そして時は流れ………………


 


 



 

 

いかがでしたでしょうか?

やっぱり変な文章ですよね……。というより描写が下手だ……。

今はこれで精一杯なんです。これからも文章を書いて上手くなれる様に努力しますので暖かく見守って下さい。


感想も受け付けているので、批判でも遠慮せずに言って下さいね。

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