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先生、好きです。  作者: おもち
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3年1組。

どうか温かい目でお願いします。

ドラマや小説で、「高校生と先生の恋」はよくある話だが、

「中学生と先生との恋」はあまり耳にしない。

いや、もともとあってはいけないことなのだろうけど・・・。

中学生とはまだ子供で、それこそ大人の先生からしてみれば ガキにしか見えないだろう。

先生に恋するなんてありえない!ってずっと思ってた。ドラマを見ても実話を聞いても

禁断の恋に興味が向かなかったし、なにより先生が嫌いだった。

忙しくもないのに頑張ってますアピールして、生徒のことなんか分かっていないのに勝手に怒鳴って。

そんな大人に親友、綾香は恋をした。一目ぼれだったらしい。

始業式にもかかわらず顔を火照らせて倒れたのだ。今ではとても感謝している。

綾香が倒れてなければ私は先生と一緒にいることは出来なかったから。

ありがとう綾香。ありがとう先生。


「バタッ!」

床にひざから倒れたのは私の親友綾香だった。

「ちょ、綾香!大丈夫!?ほら、乗って。」

綾香はとても馬鹿だ。・・・というよりは、後先を考えないという方が近いかな・・・。

小学校のころも、知らない人に「家まで送るよ」と言われ、そのままついて行って誘拐されたことが4回もある。

猫が道路で引かれてるときも「桜橋市3丁目大どうり!子猫が引かれて死んでいます!」

って警察に電話したり、

私が溺れたときに、水が大嫌いだった綾香が、25m近く泳いで結果2人とも溺れたっていうことも・・・。

今回だって、眠くないからって丸2日寝なかったなんて・・・。まったく、どんだけアホなのよ・・・。

「ほら、先生のところに連れていくから、乗って。」

綾香は眠いからか、体を重そうにのっけた。みんなからの視線が怖い・・・。

「茜・・・。あんたいいお嫁さんになるよ・・・。あたしが保障するよぉ~。」

「はぁ?一人で歩きたい?」

綾香はとても可愛い子だ。まるで子猫みたい・・・。くぅくぅと寝ている姿がとても可愛かったりする。

うらやましいな・・・。私もこんなに可愛かったらといつも思う。神様は不公平だよな~。

「先生、綾香が倒れました。多分寝てるだけなので、しばらく寝さしといてもらえませんか?

 おきたら説教でも雑用でもやらせていいので。」

私は始業式なので、またすぐに自分の立ち位置に戻った。まだ少しざわざわしている。

中学3年生になって私と綾香は初めて同じクラスになれた。

小学校のころはほとんど毎年同じクラスだったのに・・・。

綾香と同じクラスになれてとても嬉しい!あとは、担任によるな・・・。

綾香が一目ぼれした先生だといいねとか思ったら、ふっと笑顔が出来る。

「教師発表」

教頭先生がマイクを使って一言そう言うと、先生方がいっせいに生徒の前に並んだ。

右から順に校長、教頭、生徒指導、、と見ていくうちに、一人だけ若くてかっこいい先生がいた。

年齢は26ぐらいかな・・・。黒髪眼鏡で、真面目そうだけど、笑顔がかっこいい先生・・・。

綾香には悪いが、私も先生のことかっこいいと思ってたりする。私は黒髪めがねに弱いの知ってるでしょ?

でもやっぱり人は中身だから、まだわかんないし、綾香怒らないでね?

「3年1組、松元春せんせいです。科目は数学でサッカー部の顧問です。よろしくお願いします。」

校長先生がそう言うと、松元先生はペコリと頭を下げてにっこり笑った。

女子生徒の間で「やばい、あれ意外とかっこよくない?」と囁かれてた。

綾香よかったね!担任だよ!今にでも綾香を起こしてあの笑顔を見せてやりたいよ!

私は嬉しくて静かに拍手をした。個人的には誰が担任になろうと興味ないのだけれど・・・。

校歌斉唱をして始業式が終わり、綾香の所へ早く行こうと保健室へ向かってみる。

きっと保健室で寝てるのだろう。廊下を走ると怒られるので、早歩きで保健室へと向かった。

「ガラガラガラ・・・」

保健室のドアを開けるとそこには、さっきまで体育館にいた松元先生がいた。

「あ・・・。松森先生だ・・・。綾香はどうしてますか?・・・ってまだ生徒の名前も顔も分かりませんよね」

私は先生の横をスタスタと通り過ぎ、綾香が寝てるであろうベットへと足を進めた。

「綾香さんはまだ寝てますよ。急にバタッて音がしたからびっくりしましたよ、貧血とか?」

「いえ、2日間寝てないそうです、眠たくなかった、、とか。」

私は綾香のスリッパがおいてあるカーテンをめくり、中を覗いた。

気持ちよさそうに寝てる綾香がとても可愛いと改めて思う。

私は綾香のほっぺたを少しつついてカーテンを閉めた。しばらくは寝かしてやりたい。

私はなんとなく、先生の斜め右前の椅子に座った。特に話すこともなかったのだけれど・・・。

「えっと君は、、、あかりさんでしたっけ?」

「そうですね」

本当はあかねだけれど、間違われていたこと忘れるだろうから、どーでもいいや。ただそんだけだった。

「だめだよ~!違うときは違うって言わないと。本当に間違われちゃうよ~?」

「先生だってうちが松森先生って言っても指摘しなかったじゃんか」

「生徒は間違ってなんぼなの!そこを優しく包み込むのが先生ってもんよ!」

先生はかっこよさそうに胸を張っていった。

まるで、小学生がテストで100点取ったときに見せびらかしているような感じで言っていたのが、

とても可愛く感じた。

「あはははは。先生って小さい子みたいだね。私、沢田茜。好きな教科は理科。嫌いな教科は数学です」

一足早いが、ここで自己紹介することにした。あと10分もすれば学活が始まる・・・。

それまで綾香を寝かしておきたいし、時間をつぶしたい。

「先生、下の名前、なんて言うんでしたっけ?」

先生は近くにあったペンと紙を取って、何かを書き出した。

「松元・・・しゅん?はる?」

紙には「松元 春」と書かれていた。

「先生は、松元 あずま って言います。しゅんでもはるでもないからね!よく間違われるけど・・・。

 もうしゅんでもいいかなー。そっちのほうが覚えやすいし・・・。」

先生は悲しそうな顔でコーヒーを飲んだ。ブラックコーヒーの匂いが先生のかっこよさをさらに引き立たせた。


今度とも よろしくお願いします。

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